初心者向け No.10

じゃんけんゲーム

コンピューターとじゃんけんで対戦するゲーム。勝敗判定ロジックとスコア記録機能の実装を学びます。

🎯 難易度: ★☆☆ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) ⏱️ 制作時間: 30〜90分

1. アプリ概要

コンピューターとじゃんけんで対戦するゲーム。勝敗判定ロジックとスコア記録機能の実装を学びます。

このアプリはゲームカテゴリに分類される実践的なGUIアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ) で、難易度は ★☆☆ です。

このアプリは「ゲーム」カテゴリです。ゲーム実装は GUI イベント処理・状態管理・描画ループを同時に学べる教材で、画面・入力・ロジックの三層分離の感覚が掴めます。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。

完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。

カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。

じゃんけんゲーム 起動時の画面
起動時の画面
じゃんけんゲーム じゃんけん結果表示
じゃんけん結果表示
じゃんけんゲーム 実行画面(Linux Mint)
実行画面(Linux Mint)

2. 機能一覧

  • ループで生成するボタン群(CHOICES 定数「グー ✊」「チョキ ✌️」「パー 🖐️」から生成)を play() に接続
  • 「リセット」ボタン(reset())で操作
  • ウィンドウはタイトル「じゃんけんゲーム」・サイズ 520x440 で起動

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.10 以上
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app10.py
import tkinter as tk
from tkinter import ttk
import random


class App10:
    """じゃんけんゲーム"""

    CHOICES = ["グー ✊", "チョキ ✌️", "パー 🖐️"]
    WINS = {0: 1, 1: 2, 2: 0}  # グー→チョキ、チョキ→パー、パー→グー

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("じゃんけんゲーム")
        self.root.geometry("520x440")
        self.root.minsize(520, 440)
        self.root.configure(bg="#f8f9fc")
        self.wins = self.draws = self.losses = 0
        self._build_ui()

    def _build_ui(self):
        title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
        title_frame.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(title_frame, text="じゃんけんゲーム",
                 font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
                 bg="#3776ab", fg="white").pack()

        main_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=24, pady=16)
        main_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)

        tk.Label(main_frame, text="手を選んでください", bg="#f8f9fc",
                 font=("Noto Sans JP", 12)).pack(pady=(0, 10))

        # じゃんけんボタン
        btn_frame = tk.Frame(main_frame, bg="#f8f9fc")
        btn_frame.pack()
        for i, label in enumerate(self.CHOICES):
            tk.Button(btn_frame, text=label, font=("Noto Sans JP", 13, "bold"),
                      width=9, height=2, bg="#ffffff", activebackground="#dceeff",
                      relief=tk.RAISED, bd=2,
                      command=lambda x=i: self.play(x)).grid(row=0, column=i, padx=6)

        # 対戦表示
        vs_frame = tk.Frame(main_frame, bg="#f8f9fc")
        vs_frame.pack(pady=14)
        self.player_label = tk.Label(vs_frame, text="あなた\n ? ",
                                     font=("Noto Sans JP", 14, "bold"),
                                     bg="#f8f9fc", fg="#3776ab", width=10, justify="center")
        self.player_label.grid(row=0, column=0)
        tk.Label(vs_frame, text="VS", font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
                 bg="#f8f9fc", fg="#888").grid(row=0, column=1, padx=16)
        self.cpu_label = tk.Label(vs_frame, text="CPU\n ? ",
                                  font=("Noto Sans JP", 14, "bold"),
                                  bg="#f8f9fc", fg="#e74c3c", width=10, justify="center")
        self.cpu_label.grid(row=0, column=2)

        # 結果
        self.result_label = tk.Label(main_frame, text="", bg="#f8f9fc",
                                     font=("Noto Sans JP", 20, "bold"))
        self.result_label.pack(pady=6)

        # スコア
        self.score_label = tk.Label(main_frame, text="勝: 0  引: 0  負: 0",
                                    bg="#f8f9fc", font=("Noto Sans JP", 11), fg="#555")
        self.score_label.pack()

        ttk.Button(main_frame, text="リセット", command=self.reset).pack(pady=(10, 0))

    def play(self, player_idx):
        cpu_idx = random.randint(0, 2)
        player_name = self.CHOICES[player_idx].split()[0]
        cpu_name = self.CHOICES[cpu_idx].split()[0]

        self.player_label.config(text=f"あなた\n{self.CHOICES[player_idx]}")
        self.cpu_label.config(text=f"CPU\n{self.CHOICES[cpu_idx]}")

        if player_idx == cpu_idx:
            result, color = "引き分け 🤝", "#888"
            self.draws += 1
        elif self.WINS[player_idx] == cpu_idx:
            result, color = "あなたの勝ち! 🎉", "#27ae60"
            self.wins += 1
        else:
            result, color = "あなたの負け 😢", "#e74c3c"
            self.losses += 1

        self.result_label.config(text=result, fg=color)
        self.score_label.config(
            text=f"勝: {self.wins}  引: {self.draws}  負: {self.losses}")

    def reset(self):
        self.wins = self.draws = self.losses = 0
        self.player_label.config(text="あなた\n ? ")
        self.cpu_label.config(text="CPU\n ? ")
        self.result_label.config(text="")
        self.score_label.config(text="勝: 0  引: 0  負: 0")


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App10(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

じゃんけんゲームのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App10 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド4個・全102行)。__init__ ではタイトル「じゃんけんゲーム」とウィンドウサイズ 520x440 を設定します。あわせて状態を保持する変数(self.winsself.drawsself.losses)を初期化し、最後に _build_ui() で画面を組み立てます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×4・tk.Label×7・tk.Button×3(ループで生成)・ttk.Button で構成しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「リセット」ボタン(reset())を command= で接続しています。ボタンはループ内で command=lambda x=i: self.play(x) の形で生成しています。既定引数でループ変数を固定するのがポイントで、これを書かないと全ボタンが最後の値で動いてしまいます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

クラス定数によるデータ定義

クラスの先頭でデータを定数として定義しています:CHOICES = ['グー ✊', 'チョキ ✌️', 'パー 🖐️']WINS = {0: 1, 1: 2, 2: 0}。ロジックの中に直接書かず定数にまとめておくと、内容を変えたいときに1か所を書き換えるだけで済みます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

例外処理を書いていない理由

このコードには try-except による例外処理がありません。テキスト入力欄がなくボタン操作だけで完結し、ファイルやネットワークへのアクセスも無い設計のため、例外を投げうる処理(型変換・ファイル/通信)がそもそも無いからです。入力欄やファイル保存を追加する改造をするときは、例外処理もセットで検討しましょう。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app10.py と保存します。使うのは randomtkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App10 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk()mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("じゃんけんゲーム")geometry("520x440")configure(bg="#f8f9fc")minsize(520, 440) をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×4・tk.Label×7・tk.Button×3(ループで生成)・ttk.Button を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(reset())につなぎます。ループ生成のボタンは command=lambda x=i: self.play(x) の形で接続します。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である play()(21行)・reset()(6行) を実装します。

  7. 7
    動作確認する

    python app10.py で起動し、各ボタンが反応することを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 クラス定数を書き換えて動きを変える

データはクラス定数(CHOICESWINS)にまとまっています。中身を書き換えて動きが変わることを確かめましょう。複数の定数が対応関係にある場合は、セットで整合させる必要がある点に注意してください。

💡 結果をファイルに保存する

このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。

❌ 写経したら全部のボタンが同じ動きになる

原因:ループでボタンを作るとき、このコードは command=lambda x=i: self.play(x) のように既定引数でループ変数を固定しています。これを省略してループ変数を直接書くと、ループ終了後の最後の値が全ボタンで共有されてしまいます(Python のクロージャの有名な罠です)。

解決法:掲載コードのとおり、lambda の既定引数でその時点の値を渡してください。

❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない

原因:geometry("520x440") の固定サイズで起動するためです。

解決法:geometry()minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(520, 440) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。

  1. 課題1:勝率を表示する

    スコア表示に勝率を足します。まだ1回も対戦していないときは割り算をしないようにしてください。

    期待結果:3回対戦して2勝1分なら「勝: 2 引: 1 負: 0(勝率 67%)」。起動直後と「リセット」直後は「勝: 0 引: 0 負: 0(勝率 -)」。

    合格条件

    • 2勝1分のときの表示が「勝率 67%」(66.7% を丸めた整数)になる
    • 勝率の分母は勝ち+引き分け+負けの合計(引き分けを除かない)
    • 「リセット」を押すと勝率の表示も初期状態に戻る

    ヒント①(どこを触るか): スコア文字列を組み立てているのは play() の末尾と reset()、それに _build_ui() の初期表示(tk.Label(..., text="勝: 0 引: 0 負: 0", ...))を合わせた3か所です。__init__()reset() を呼ばないので、初期表示を直さないと起動直後だけ勝率が出ません。
    ヒント②(使うもの): 対戦数は self.wins + self.draws + self.losses、書式は f-string の {rate:.0f}% です。
    つまずきやすい点: 起動直後とリセット直後は対戦数が 0 なので、そのまま割ると ZeroDivisionError になります。分母が 0 のときの分岐を先に書いてください。

  2. 課題2:3本先取でマッチを終わらせる

    どちらかが3勝したら結果ラベルに「🏆 マッチ勝利!」(負けたら「マッチ敗北…」)と出し、じゃんけんの3つのボタンを押せなくします。「リセット」で再開できるようにしてください。

    期待結果:3勝すると「🏆 マッチ勝利!」が出て、グー・チョキ・パーの3ボタンがグレーになり押せなくなる。「リセット」を押すとスコアが 0 に戻り、3ボタンがまた押せる。

    合格条件

    • 3勝でも3敗でもマッチが終わる(引き分けは何回でもカウントしない)
    • マッチ終了後にボタンを押しても勝敗数が増えない
    • 「リセット」後はボタンが押せる状態に戻る

    ヒント①(どこを触るか): いまのコードは _build_ui() のループでボタンを作りっぱなしにしていて、あとから触れません。作ったボタンを self.choice_buttons のようなリストに貯めるところから始めます。
    ヒント②(使うもの): 有効・無効の切り替えは btn.config(state=tk.DISABLED)tk.NORMAL。勝敗の判定は play() の最後、戻すのは reset() です。
    つまずきやすい点: btn = tk.Button(...).grid(...) と書くと btn には None が入ります(grid() はウィジェットを返しません)。ボタンを作る行と grid() する行を分けてください。

  3. 課題3:キー操作に対応させる

    ボタンから呼んでいる reset() を、キーボードのキーからも呼べるようにしてみましょう。tkinter では bind を使ってキーイベントとメソッドを結び付けられます。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリにも挑戦してみましょう。

🐛
エラーが出て動かないときは

写経中に赤いエラー文が出たら、Pythonエラー一覧&解決法(英語メッセージ逆引き)で原因と直し方をすぐ確認できます。

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独学を1冊で体系化するなら

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