初心者向け No.30

九九表ジェネレーター

任意の数の掛け算表をグリッド表示するアプリ。動的なウィジェット生成の仕組みを学びます。

🎯 難易度: ★☆☆ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) ⏱️ 制作時間: 30〜90分

1. アプリ概要

任意の数の掛け算表をグリッド表示するアプリ。動的なウィジェット生成の仕組みを学びます。

このアプリはツールカテゴリに分類される実践的なGUIアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ) で、難易度は ★☆☆ です。

このアプリは「ツール」カテゴリです。日々の作業を自動化する実用ツールは Python が最も得意とする領域です。短いコードで実用性のある成果物が作れる点が魅力です。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。

完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。

カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。

九九表ジェネレーター 実行画面(Windows)
実行画面(Windows)
九九表ジェネレーター 実行画面(Linux Mint)
実行画面(Linux Mint)

2. 機能一覧

  • 「生成」ボタン(generate())で操作
  • <Configure> イベント(ウィンドウ側からの通知)で lambda e: self.canvas.configure(scrollregion=self.canvas.bbox('all')) を自動実行
  • ウィンドウはタイトル「九九表ジェネレーター」・サイズ 560x480 で起動

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.10 以上
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app30.py
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, messagebox


class App30:
    """九九表ジェネレーター"""

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("九九表ジェネレーター")
        self.root.geometry("560x480")
        self.root.configure(bg="#f8f9fc")
        self._build_ui()
        self.generate()

    def _build_ui(self):
        title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
        title_frame.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(title_frame, text="九九表ジェネレーター",
                 font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
                 bg="#3776ab", fg="white").pack()

        control_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=20, pady=10)
        control_frame.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(control_frame, text="段数 (最大まで):", bg="#f8f9fc",
                 font=("Noto Sans JP", 11)).pack(side=tk.LEFT)
        self.max_var = tk.IntVar(value=9)
        ttk.Spinbox(control_frame, from_=2, to=20, textvariable=self.max_var,
                    width=5, font=("Arial", 12)).pack(side=tk.LEFT, padx=8)
        ttk.Button(control_frame, text="生成", command=self.generate).pack(side=tk.LEFT)

        # グリッドを表示するフレーム (スクロール付き)
        frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
        frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True, padx=8, pady=(0, 8))

        self.canvas = tk.Canvas(frame, bg="#f8f9fc")
        self.canvas.pack(side=tk.LEFT, fill=tk.BOTH, expand=True)

        v_sb = ttk.Scrollbar(frame, orient=tk.VERTICAL, command=self.canvas.yview)
        v_sb.pack(side=tk.RIGHT, fill=tk.Y)
        h_sb = ttk.Scrollbar(self.root, orient=tk.HORIZONTAL, command=self.canvas.xview)
        h_sb.pack(fill=tk.X)
        self.canvas.configure(xscrollcommand=h_sb.set, yscrollcommand=v_sb.set)

        self.inner_frame = tk.Frame(self.canvas, bg="#f8f9fc")
        self.canvas_window = self.canvas.create_window(0, 0, anchor="nw", window=self.inner_frame)
        self.inner_frame.bind("<Configure>",
                              lambda e: self.canvas.configure(scrollregion=self.canvas.bbox("all")))

    def generate(self):
        for w in self.inner_frame.winfo_children():
            w.destroy()

        n = self.max_var.get()
        cell_w = 5

        # ヘッダ行
        tk.Label(self.inner_frame, text="×", width=cell_w,
                 bg="#3776ab", fg="white", font=("Arial", 10, "bold"),
                 relief=tk.FLAT).grid(row=0, column=0, padx=1, pady=1)
        for j in range(1, n + 1):
            tk.Label(self.inner_frame, text=str(j), width=cell_w,
                     bg="#3776ab", fg="white", font=("Arial", 10, "bold"),
                     relief=tk.FLAT).grid(row=0, column=j, padx=1, pady=1)

        for i in range(1, n + 1):
            # ヘッダ列
            tk.Label(self.inner_frame, text=str(i), width=cell_w,
                     bg="#3776ab", fg="white", font=("Arial", 10, "bold"),
                     relief=tk.FLAT).grid(row=i, column=0, padx=1, pady=1)
            for j in range(1, n + 1):
                val = i * j
                # 対角線は強調
                is_diag = (i == j)
                bg = "#fff3cd" if is_diag else "#ffffff"
                fg = "#e67e22" if is_diag else "#222"
                tk.Label(self.inner_frame, text=str(val), width=cell_w,
                         bg=bg, fg=fg, font=("Arial", 10, "bold" if is_diag else "normal"),
                         relief=tk.FLAT).grid(row=i, column=j, padx=1, pady=1)


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App30(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

九九表ジェネレーターのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App30 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド3個・全85行)。__init__ ではタイトル「九九表ジェネレーター」とウィンドウサイズ 560x480 を設定します。そのあと _build_ui()generate() の順に呼び出して初期状態を作ります。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×4・tk.Label×3(ほかにループでも生成)・ttk.Spinboxttk.Buttontk.Canvasttk.Scrollbar×2 で構成しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「生成」ボタン(generate())を command= で接続しています。また bind("<Configure>", ...) から lambda e: self.canvas.configure(scrollregion=self.canvas.bbox('all')) を呼べるようにイベントも登録しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app30.py と保存します。使うのは tkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App30 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk()mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("九九表ジェネレーター")geometry("560x480")configure(bg="#f8f9fc") をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×4・tk.Label×3(ほかにループでも生成)・ttk.Spinboxttk.Buttontk.Canvasttk.Scrollbar×2 を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(generate())につなぎます。bind("<Configure>", ...) の登録も忘れずに。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である generate()(30行) を実装します。

  7. 7
    動作確認する

    python app30.py で起動し、各ボタンが反応することを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 結果をファイルに保存する

このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。

💡 入力履歴機能

以前の入力値を覚えておいてComboboxのドロップダウンで再選択できる履歴機能を追加しましょう。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。

❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない

原因:geometry("560x480") の固定サイズで起動するためです。

解決法:この数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。起動すると9段までの表が自動で作られ(14行・27行)、「生成」を押すたびに今の表を消してから作り直します(51〜52行)。表はウィンドウの中だけのもので、どこにも保存されません。

  1. 課題1:答えが偶数のマスに色を付ける

    いまは対角線(i == j)だけが黄色で強調されます(74〜76行)。答えが偶数のマスにも薄い色を付けて、九九の並びを見やすくしましょう。

    期待結果:9段で生成すると 2 6 8 のような偶数のマスが薄い色になり、対角線の 1 4 9 は今までどおり黄色(#fff3cd)のまま

    合格条件

    • 答えが偶数のマスだけ背景色が変わる
    • 対角線のマスは偶数(4・16・36・64)でも黄色のまま
    • 見出しの行と列(58〜70行)の青色は変わらない

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。背景色を決める75行です。
    ヒント②(使うもの): bg = "#fff3cd" if is_diag else ("#eef5fb" if val % 2 == 0 else "#ffffff") のように条件を入れ子にすると、3通りに分けられます。答えの値は72行の val にもう入っています。
    つまずきやすい点: 偶数の判定を先に書くと、416 のような偶数の対角線から黄色が消えます。75行は三項演算子で色を1つしか選ばないため、対角線の判定を必ず先に置いてください。文字色を決める76行は別の行なので、背景だけ変えたいときは触らなくてかまいません。

  2. 課題2:段数の入力が空や範囲外でも落ちないようにする

    段数の欄はキーボードで直接書き換えられます(28行)。空のまま「生成」を押すと表が消えて何も出なくなり、50 と打つと 2,601 個のラベルが作られます。

    期待結果:段数を空にして「生成」を押しても表が消えず、「2〜20の数字を入れてください」と知らせが出る

    合格条件

    • 空欄や 50 のような範囲外では表が作り直されず、知らせが出る
    • 2〜20 の数字なら今までどおり表が作られる
    • 知らせが出たあとも、直前に表示していた表がそのまま残る

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。段数を読む54行を、表を消す51行の手前へ動かし、そこで try と範囲の確認をします。
    ヒント②(使うもの): try: n = self.max_var.get()except tk.TclError: で受け、messagebox.showwarning("警告", "2〜20の数字を入れてください") のあと return で抜けます。messagebox は2行目で読み込み済みですが、このコードではまだ一度も使っていません。
    つまずきやすい点: self.max_varIntVar(27行)なので、欄が空のときは get() そのものが tk.TclError を出します。if not ... の形では守れません。54行に try を付けるだけだと、51〜52行が先に動いて表を消したあとなので、画面が空のまま何も出ない状態になります。ttk.Spinboxfrom_=2, to=20(28行)は上下ボタンの範囲で、キーボード入力までは止めません。

  3. 課題3:保存機能の追加

    入力値や計算結果をファイルに保存する機能を追加しましょう。jsonやcsvモジュールを使います。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリにも挑戦してみましょう。

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