初心者向け No.31

フィボナッチ数列ビューアー

フィボナッチ数列をN項まで表示するアプリ。ScrolledTextウィジェットの使い方を学びます。

🎯 難易度: ★☆☆ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) 🧩 作るもの: 項数を選んで数列と黄金比の近似を並べる表示(全81行)

1. アプリ概要

授業や課題でフィボナッチ数列が出てきても、第30項や第50項の大きさは手計算では追いきれません。このビューアーでは項数(1〜100)を決めて「生成する」を押すと、第1項からその項までの値が、3桁ごとのカンマ付きで「数列」枠に1行1項ずつ並びます。

項数が2以上なら、最終行には最後の2項の比が小数第6位まで出るので、項数を増やすほど黄金比 1.618034 に近づく様子も追えます。

数列を出す「数列」枠には ScrolledText を使っています。3行目の from tkinter.scrolledtext import ScrolledText で読み込み、41〜44行で Text と縦スクロールバーがセットになったウィジェットを1つ作っています。Text と ttk.Scrollbar を並べて yscrollcommand でつなぐ書き方なら7行かかるところが、説明のコメント(40行)を含めて5行で済みます。ただし import が1行増えるので、ファイル全体では 82 行から 81 行への1行減です。「5. コード解説」「6. ステップバイステップガイド」のウィジェット一覧は tk./ttk. から作る部品だけを挙げているため、ScrolledText はそこには出てきません。

フィボナッチ数列ビューアー 実行画面(Windows)。「数列」枠は ScrolledText で、右端に縦スクロールバーが付いています(起動直後のため数列は未生成)
実行画面(Windows・ScrolledText への置き換え後に撮影/右端のスクロールバーは ScrolledText のもので、見た目は置き換え前とほぼ同じ)
フィボナッチ数列ビューアー 実行画面(Linux Mint)。「数列」枠は ScrolledText で、右端に縦スクロールバーが付いています(起動直後のため数列は未生成)
実行画面(Linux Mint・ScrolledText への置き換え後に撮影/見た目は置き換え前とほぼ同じ)

2. 機能一覧

  • 「生成する」ボタン(generate())で操作
  • ScrolledText(縦スクロールバー付きの Text)による表示
  • messagebox.showwarning() によるダイアログ通知
  • ウィンドウはタイトル「フィボナッチ数列ビューアー」・サイズ 805x420 で起動

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.11 以上(Ubuntu で 3.14・3.15 の起動を確認) / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.11 以上(Ubuntu で 3.14・3.15 の起動を確認)
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

✅ 追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app31.py
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, messagebox
from tkinter.scrolledtext import ScrolledText


class App31:
    """フィボナッチ数列ビューアー"""

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("フィボナッチ数列ビューアー")
        self.root.geometry("805x420")
        self.root.minsize(805, 420)
        self.root.configure(bg="#f8f9fc")
        self._build_ui()

    def _build_ui(self):
        title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
        title_frame.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(title_frame, text="フィボナッチ数列ビューアー",
                 font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
                 bg="#3776ab", fg="white").pack()

        main_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=20, pady=16)
        main_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)

        input_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text="設定", padding=10)
        input_frame.pack(fill=tk.X, pady=(0, 10))

        tk.Label(input_frame, text="何項まで表示:").grid(row=0, column=0, sticky="w")
        self.n_var = tk.IntVar(value=20)
        ttk.Spinbox(input_frame, from_=1, to=100, textvariable=self.n_var,
                    width=8, font=("Arial", 12)).grid(row=0, column=1, padx=8, sticky="w")

        ttk.Button(main_frame, text="生成する", command=self.generate).pack(pady=8)

        result_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text="数列", padding=10)
        result_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)

        # ScrolledText = Text と縦スクロールバーがセットになったウィジェット
        self.result_text = ScrolledText(result_frame, font=("Courier New", 11),
                                        bg="white", relief=tk.FLAT, state=tk.DISABLED,
                                        wrap=tk.WORD)
        self.result_text.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)

    def generate(self):
        n = self.n_var.get()
        if n < 1:
            messagebox.showwarning("警告", "1以上の値を入力してください")
            return

        fibs = []
        a, b = 0, 1
        for _ in range(n):
            fibs.append(a)
            a, b = b, a + b

        lines = [f"フィボナッチ数列(第1〜第{n}項)\n"]
        lines.append("-" * 30)
        for i, f in enumerate(fibs, 1):
            lines.append(f"  第{i:3d}項: {f:,}")

        lines.append("")
        lines.append(f"最大値: {fibs[-1]:,}")
        if n >= 2:
            ratio = fibs[-1] / fibs[-2] if fibs[-2] != 0 else 0
            lines.append(f"黄金比に近似: {ratio:.6f}(黄金比 ≈ 1.618034)")

        self._show_result("\n".join(lines))

    def _show_result(self, text):
        self.result_text.config(state=tk.NORMAL)
        self.result_text.delete("1.0", tk.END)
        self.result_text.insert("1.0", text)
        self.result_text.config(state=tk.DISABLED)


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App31(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

フィボナッチ数列ビューアーのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App31 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド4個・全81行)。__init__ ではタイトル「フィボナッチ数列ビューアー」とウィンドウサイズ 805x420 を設定します。最後に _build_ui() で画面を組み立てます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×2・tk.Label×2・ttk.LabelFrame×2・ttk.Spinbox・ttk.Button・ScrolledText で構成しています。見出し付きの枠(LabelFrame)は「設定」「数列」のラベルでエリアを区切っています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「生成する」ボタン(generate())を command= で接続しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app31.py と保存します。使うのは tkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App31 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk() ~ mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("フィボナッチ数列ビューアー")・geometry("805x420")・configure(bg="#f8f9fc")・minsize(805, 420) をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×2・tk.Label×2・ttk.LabelFrame×2・ttk.Spinbox・ttk.Button・ScrolledText を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(generate())につなぎます。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である generate()(24行)・_show_result()(5行) を実装します。

  7. 7
    動作確認する

    python app31.py で起動し、各ボタンが反応することを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 結果をファイルに保存する

このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。

💡 入力履歴機能

以前の入力値を覚えておいてComboboxのドロップダウンで再選択できる履歴機能を追加しましょう。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:フォント名はタイトルに Noto Sans JP、項数のスピンボックスに Arial、「数列」枠に Courier New と、3か所で書き分けています。「数列」枠は 第{i:3d}項 で項番号を3桁ぶんの幅に空白で埋めているため、文字幅がそろわない書体に代わると、項番号が1桁の行と2桁の行とで「項:」が縦一列に並びません。項の値・最大値・黄金比の近似値は、書体を変えても値そのものは同一です。41行目の Courier New を PC にある別の等幅書体名にすれば、「項:」の縦の並びが戻ります。ScrolledText は font 引数を消しても、等幅の TkFixedFont が使われます。

❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない

原因:geometry("805x420") の固定サイズで起動するためです。

解決法:geometry() と minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(805, 420) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。数列そのものは generate() の52〜56行で作り、58〜67行で表示用の文字列に組み立てています。下の2問は、この組み立て部分だけで解けます。

  1. 課題1:数列の合計を1行足す

    いま出るのは各項と最大値、それに黄金比の近似だけです(58〜67行)。全部でいくつになるかは、読者が自分で足し算するしかありません。最大値の下に合計を1行足しましょう。

    期待結果:「何項まで表示」に 10 を入れて「生成する」を押すと、「最大値: 34」の下に「合計: 88」が出る。20 なら「最大値: 4,181」の下に「合計: 10,945」が出る。

    合格条件

    • 合計の行が最大値の行のすぐ下に出る
    • けた区切りが既存の表示と同じで、10,945 のようにカンマが入る
    • 黄金比の行はこれまでどおり最後に出て、20 のときの値は 1.618034 のまま

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは generate() の1か所です。lines.append(f"最大値: {fibs[-1]:,}")(64行)の直後に1行足します。「最大値」という文字列は64行の1か所だけです。
    ヒント②(使うもの): 合計は sum(fibs) で求まります。書式を64行と同じ f"合計: {値:,}" の形にすると、けた区切りがそろいます。
    つまずきやすい点: for ループ(60〜61行)の中に足すと、項ごとに合計の行が出ます。ループの外側、64行の直後に置いてください。1 項だけのときは「最大値: 0」「合計: 0」になります。

  2. 課題2:2項のときの「黄金比に近似: 0.000000」を直す

    2 を指定すると数列は 0, 1 の2つです。ひとつ前の項が 0 で割り算ができず、66行の else 0 が働きます。その結果、比が 0 であるかのような表示になります。

    期待結果:2 で生成すると、いまは「黄金比に近似: 0.000000(黄金比 ≈ 1.618034)」と出る。直したあとは近似値の代わりに「—」が出て、0.000000 は表示されない。

    合格条件

    • 2 のときに 0.000000 が出ない
    • 3 は 1.000000、20 は 1.618034 のまま変わらない
    • 1 のときは、これまでどおり黄金比の行そのものが出ない(65行の n >= 2 は変えない)
    • 「(黄金比 ≈ 1.618034)」の案内は残す

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは generate() の66〜67行の2行です。「黄金比に近似」という文字列は67行の1か所だけです。
    ヒント②(使うもの): fibs[-2] が 0 かどうかで、表示する文字列そのものを切り替えます。数値を組み立ててから lines.append に渡すと書きやすくなります。
    つまずきやすい点: 「—」を f"{ratio:.6f}" に渡すとエラーになります。メッセージは ValueError: Unknown format code 'f' for object of type 'str' です。書式指定を付ける側と付けない側を分けてください。

  3. 課題3:保存機能の追加

    入力値や計算結果をファイルに保存する機能を追加しましょう。jsonやcsvモジュールを使います。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリにも挑戦してみましょう。

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