フィボナッチ数列ビューアー
フィボナッチ数列をN項まで表示するアプリ。ScrolledTextウィジェットの使い方を学びます。
1. アプリ概要
授業や課題でフィボナッチ数列が出てきても、第30項や第50項の大きさは手計算では追いきれません。このビューアーでは項数(1〜100)を決めて「生成する」を押すと、第1項からその項までの値が、3桁ごとのカンマ付きで「数列」枠に1行1項ずつ並びます。
項数が2以上なら、最終行には最後の2項の比が小数第6位まで出るので、項数を増やすほど黄金比 1.618034 に近づく様子も追えます。
数列を出す「数列」枠には ScrolledText を使っています。3行目の from tkinter.scrolledtext import ScrolledText で読み込み、41〜44行で Text と縦スクロールバーがセットになったウィジェットを1つ作っています。Text と ttk.Scrollbar を並べて yscrollcommand でつなぐ書き方なら7行かかるところが、説明のコメント(40行)を含めて5行で済みます。ただし import が1行増えるので、ファイル全体では 82 行から 81 行への1行減です。「5. コード解説」「6. ステップバイステップガイド」のウィジェット一覧は tk./ttk. から作る部品だけを挙げているため、ScrolledText はそこには出てきません。
ScrolledText への置き換え後に撮影/右端のスクロールバーは ScrolledText のもので、見た目は置き換え前とほぼ同じ)
ScrolledText への置き換え後に撮影/見た目は置き換え前とほぼ同じ)2. 機能一覧
- 「生成する」ボタン(
generate())で操作 ScrolledText(縦スクロールバー付きの Text)による表示messagebox.showwarning()によるダイアログ通知- ウィンドウはタイトル「フィボナッチ数列ビューアー」・サイズ 805x420 で起動
3. 事前準備・環境
Python 3.11 以上(Ubuntu で 3.14・3.15 の起動を確認) / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)
Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。
- Python 3.11 以上(Ubuntu で 3.14・3.15 の起動を確認)
- OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)
4. 完全なソースコード
右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, messagebox
from tkinter.scrolledtext import ScrolledText
class App31:
"""フィボナッチ数列ビューアー"""
def __init__(self, root):
self.root = root
self.root.title("フィボナッチ数列ビューアー")
self.root.geometry("805x420")
self.root.minsize(805, 420)
self.root.configure(bg="#f8f9fc")
self._build_ui()
def _build_ui(self):
title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
title_frame.pack(fill=tk.X)
tk.Label(title_frame, text="フィボナッチ数列ビューアー",
font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
bg="#3776ab", fg="white").pack()
main_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=20, pady=16)
main_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)
input_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text="設定", padding=10)
input_frame.pack(fill=tk.X, pady=(0, 10))
tk.Label(input_frame, text="何項まで表示:").grid(row=0, column=0, sticky="w")
self.n_var = tk.IntVar(value=20)
ttk.Spinbox(input_frame, from_=1, to=100, textvariable=self.n_var,
width=8, font=("Arial", 12)).grid(row=0, column=1, padx=8, sticky="w")
ttk.Button(main_frame, text="生成する", command=self.generate).pack(pady=8)
result_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text="数列", padding=10)
result_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)
# ScrolledText = Text と縦スクロールバーがセットになったウィジェット
self.result_text = ScrolledText(result_frame, font=("Courier New", 11),
bg="white", relief=tk.FLAT, state=tk.DISABLED,
wrap=tk.WORD)
self.result_text.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)
def generate(self):
n = self.n_var.get()
if n < 1:
messagebox.showwarning("警告", "1以上の値を入力してください")
return
fibs = []
a, b = 0, 1
for _ in range(n):
fibs.append(a)
a, b = b, a + b
lines = [f"フィボナッチ数列(第1〜第{n}項)\n"]
lines.append("-" * 30)
for i, f in enumerate(fibs, 1):
lines.append(f" 第{i:3d}項: {f:,}")
lines.append("")
lines.append(f"最大値: {fibs[-1]:,}")
if n >= 2:
ratio = fibs[-1] / fibs[-2] if fibs[-2] != 0 else 0
lines.append(f"黄金比に近似: {ratio:.6f}(黄金比 ≈ 1.618034)")
self._show_result("\n".join(lines))
def _show_result(self, text):
self.result_text.config(state=tk.NORMAL)
self.result_text.delete("1.0", tk.END)
self.result_text.insert("1.0", text)
self.result_text.config(state=tk.DISABLED)
if __name__ == "__main__":
root = tk.Tk()
app = App31(root)
root.mainloop()
5. コード解説
フィボナッチ数列ビューアーのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。
クラス設計とコンストラクタ
App31 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド4個・全81行)。__init__ ではタイトル「フィボナッチ数列ビューアー」とウィンドウサイズ 805x420 を設定します。最後に _build_ui() で画面を組み立てます。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
ウィジェット構成
画面は tk.Frame×2・tk.Label×2・ttk.LabelFrame×2・ttk.Spinbox・ttk.Button・ScrolledText で構成しています。見出し付きの枠(LabelFrame)は「設定」「数列」のラベルでエリアを区切っています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
イベント処理とボタンの接続
「生成する」ボタン(generate())を command= で接続しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
6. ステップバイステップガイド
このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。
-
1ファイルを作成する
新しいファイルを作成して app31.py と保存します。使うのは
tkinterだけなので、追加インストールは不要です。 -
2クラスの骨格を作る
App31クラスを定義し、__init__と、末尾のroot = tk.Tk()~mainloop()の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。 -
3ウィンドウを設定する
title("フィボナッチ数列ビューアー")・geometry("805x420")・configure(bg="#f8f9fc")・minsize(805, 420)をコンストラクタで設定します。 -
4画面部品を並べる
_build_ui()の中で、tk.Frame×2・tk.Label×2・ttk.LabelFrame×2・ttk.Spinbox・ttk.Button・ScrolledTextを作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。 -
5イベントを接続する
「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを
command=で対応するメソッド(generate())につなぎます。 -
6中心になるメソッドを実装する
アプリの本体である
generate()(24行)・_show_result()(5行) を実装します。 -
7動作確認する
python app31.pyで起動し、各ボタンが反応することを確認します。
7. カスタマイズアイデア
基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。
💡 ダークモードを追加する
bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。
💡 結果をファイルに保存する
このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。
💡 入力履歴機能
以前の入力値を覚えておいてComboboxのドロップダウンで再選択できる履歴機能を追加しましょう。
8. よくある問題と解決法
❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う
原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。
解決法:フォント名はタイトルに Noto Sans JP、項数のスピンボックスに Arial、「数列」枠に Courier New と、3か所で書き分けています。「数列」枠は 第{i:3d}項 で項番号を3桁ぶんの幅に空白で埋めているため、文字幅がそろわない書体に代わると、項番号が1桁の行と2桁の行とで「項:」が縦一列に並びません。項の値・最大値・黄金比の近似値は、書体を変えても値そのものは同一です。41行目の Courier New を PC にある別の等幅書体名にすれば、「項:」の縦の並びが戻ります。ScrolledText は font 引数を消しても、等幅の TkFixedFont が使われます。
❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない
原因:geometry("805x420") の固定サイズで起動するためです。
解決法:geometry() と minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(805, 420) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。
9. 練習問題
アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。数列そのものは generate() の52〜56行で作り、58〜67行で表示用の文字列に組み立てています。下の2問は、この組み立て部分だけで解けます。
-
課題1:数列の合計を1行足す
いま出るのは各項と最大値、それに黄金比の近似だけです(58〜67行)。全部でいくつになるかは、読者が自分で足し算するしかありません。最大値の下に合計を1行足しましょう。
期待結果:「何項まで表示」に
10を入れて「生成する」を押すと、「最大値: 34」の下に「合計: 88」が出る。20なら「最大値: 4,181」の下に「合計: 10,945」が出る。合格条件
- 合計の行が最大値の行のすぐ下に出る
- けた区切りが既存の表示と同じで、
10,945のようにカンマが入る - 黄金比の行はこれまでどおり最後に出て、
20のときの値は1.618034のまま
ヒント①(どこを触るか): 触るのは
generate()の1か所です。lines.append(f"最大値: {fibs[-1]:,}")(64行)の直後に1行足します。「最大値」という文字列は64行の1か所だけです。
ヒント②(使うもの): 合計はsum(fibs)で求まります。書式を64行と同じf"合計: {値:,}"の形にすると、けた区切りがそろいます。
つまずきやすい点:forループ(60〜61行)の中に足すと、項ごとに合計の行が出ます。ループの外側、64行の直後に置いてください。1項だけのときは「最大値: 0」「合計: 0」になります。 -
課題2:2項のときの「黄金比に近似: 0.000000」を直す
2を指定すると数列は0, 1の2つです。ひとつ前の項が0で割り算ができず、66行のelse 0が働きます。その結果、比が0であるかのような表示になります。期待結果:
2で生成すると、いまは「黄金比に近似: 0.000000(黄金比 ≈ 1.618034)」と出る。直したあとは近似値の代わりに「—」が出て、0.000000は表示されない。合格条件
2のときに0.000000が出ない3は1.000000、20は1.618034のまま変わらない1のときは、これまでどおり黄金比の行そのものが出ない(65行のn >= 2は変えない)- 「(黄金比 ≈ 1.618034)」の案内は残す
ヒント①(どこを触るか): 触るのは
generate()の66〜67行の2行です。「黄金比に近似」という文字列は67行の1か所だけです。
ヒント②(使うもの):fibs[-2]が0かどうかで、表示する文字列そのものを切り替えます。数値を組み立ててからlines.appendに渡すと書きやすくなります。
つまずきやすい点: 「—」をf"{ratio:.6f}"に渡すとエラーになります。メッセージはValueError: Unknown format code 'f' for object of type 'str'です。書式指定を付ける側と付けない側を分けてください。 -
課題3:保存機能の追加
入力値や計算結果をファイルに保存する機能を追加しましょう。jsonやcsvモジュールを使います。
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