初心者向け No.34

気分トラッカー

毎日の気分を記録して履歴を一覧表示するアプリ。JSONファイルでデータを保存する方法を学びます。

🎯 難易度: ★★☆ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) ⏱️ 制作時間: 30〜90分

1. アプリ概要

毎日の気分を記録して履歴を一覧表示するアプリ。JSONファイルでデータを保存する方法を学びます。

このアプリは管理カテゴリに分類される実践的なGUIアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ) で、難易度は ★★☆ です。

このアプリは「整理ツール」カテゴリです。整理・分類系のツールはデータ構造とユーザー操作を結びつける書き方を学ぶ好機です。設計次第で書きやすさが大きく変わります。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。

完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。

カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。

気分トラッカー 実行画面(Windows)
実行画面(Windows)
気分トラッカー 実行画面(Linux Mint)
実行画面(Linux Mint)

2. 機能一覧

  • 「記録する」ボタン(record())で操作
  • JSON ファイルの保存・読み込み(起動時に自動実行)
  • messagebox.showinfo()messagebox.showwarning() によるダイアログ通知
  • ウィンドウはタイトル「気分トラッカー」・サイズ 641x460 で起動

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.10 以上
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app34.py
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, messagebox
import json
import os
from datetime import date


class App34:
    """気分トラッカー"""

    MOODS = [
        ("😄", "最高", "#27ae60"),
        ("😊", "良い", "#2ecc71"),
        ("😐", "普通", "#f39c12"),
        ("😔", "悪い", "#e67e22"),
        ("😢", "最悪", "#e74c3c"),
    ]
    SAVE_FILE = "mood_log.json"

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("気分トラッカー")
        self.root.geometry("641x460")
        self.root.minsize(641, 460)
        self.root.configure(bg="#f8f9fc")
        self.records = self._load()
        self._build_ui()
        self._refresh_history()

    def _load(self):
        if os.path.exists(self.SAVE_FILE):
            with open(self.SAVE_FILE, encoding="utf-8") as f:
                return json.load(f)
        return []

    def _save(self):
        with open(self.SAVE_FILE, "w", encoding="utf-8") as f:
            json.dump(self.records, f, ensure_ascii=False, indent=2)

    def _build_ui(self):
        title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
        title_frame.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(title_frame, text="気分トラッカー",
                 font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
                 bg="#3776ab", fg="white").pack()

        main_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=20, pady=12)
        main_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)

        # 今日の気分
        today_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text=f"今日の気分({date.today()})", padding=10)
        today_frame.pack(fill=tk.X, pady=(0, 10))

        bg_color = self.root.cget("bg")
        mood_row = tk.Frame(today_frame, bg=bg_color)
        mood_row.pack()
        self.mood_var = tk.IntVar(value=-1)
        for i, (emoji, label, color) in enumerate(self.MOODS):
            col = tk.Frame(mood_row, bg=bg_color)
            col.pack(side=tk.LEFT, padx=8)
            tk.Label(col, text=emoji, font=("Segoe UI Emoji", 26),
                     bg=bg_color).pack()
            tk.Radiobutton(col, text=label, variable=self.mood_var, value=i,
                           bg=bg_color,
                           activebackground=bg_color,
                           font=("Noto Sans JP", 9)).pack()

        tk.Label(today_frame, text="メモ(任意):", bg=bg_color).pack(anchor="w", pady=(8, 2))
        self.memo_entry = ttk.Entry(today_frame, font=("Noto Sans JP", 11), width=40)
        self.memo_entry.pack(fill=tk.X)

        ttk.Button(main_frame, text="記録する", command=self.record).pack(pady=8)

        # 履歴
        hist_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text="記録履歴", padding=8)
        hist_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)

        self.hist_text = tk.Text(hist_frame, font=("Noto Sans JP", 10),
                                 bg="white", relief=tk.FLAT, state=tk.DISABLED, height=8)
        self.hist_text.pack(side=tk.LEFT, fill=tk.BOTH, expand=True)
        sb = ttk.Scrollbar(hist_frame, command=self.hist_text.yview)
        self.hist_text.configure(yscrollcommand=sb.set)
        sb.pack(side=tk.RIGHT, fill=tk.Y)

    def record(self):
        mood_idx = self.mood_var.get()
        if mood_idx == -1:
            messagebox.showwarning("警告", "気分を選択してください")
            return
        emoji, label, _ = self.MOODS[mood_idx]
        memo = self.memo_entry.get().strip()
        rec = {"date": str(date.today()), "mood": label, "emoji": emoji, "memo": memo}
        self.records.append(rec)
        self._save()
        self.memo_entry.delete(0, tk.END)
        self.mood_var.set(-1)
        self._refresh_history()
        messagebox.showinfo("記録完了", f"今日の気分「{emoji} {label}」を記録しました")

    def _refresh_history(self):
        self.hist_text.config(state=tk.NORMAL)
        self.hist_text.delete("1.0", tk.END)
        for r in reversed(self.records[-30:]):
            line = f"{r['date']}  {r['emoji']} {r['mood']}"
            if r.get("memo"):
                line += f"  — {r['memo']}"
            self.hist_text.insert(tk.END, line + "\n")
        self.hist_text.config(state=tk.DISABLED)


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App34(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

気分トラッカーのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App34 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド6個・全114行)。__init__ ではタイトル「気分トラッカー」とウィンドウサイズ 641x460 を設定します。そのあと _build_ui()_refresh_history() の順に呼び出して初期状態を作ります。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×3(ほかにループでも生成)・tk.Label×2(ほかにループでも生成)・ttk.LabelFrame×2・tk.Radiobutton(ループで生成)・ttk.Entryttk.Buttontk.Textttk.Scrollbar で構成しています。見出し付きの枠(LabelFrame)は「記録履歴」のラベルでエリアを区切っています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「記録する」ボタン(record())を command= で接続しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

JSON への保存と読み込み

データは json.dump() でファイルへ保存します。起動時は json.load() で読み戻します。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

クラス定数によるデータ定義

クラスの先頭でデータを定数として定義しています:SAVE_FILE = 'mood_log.json'。ロジックの中に直接書かず定数にまとめておくと、内容を変えたいときに1か所を書き換えるだけで済みます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app34.py と保存します。使うのは datetimejsonostkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App34 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk()mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("気分トラッカー")geometry("641x460")configure(bg="#f8f9fc")minsize(641, 460) をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×3(ほかにループでも生成)・tk.Label×2(ほかにループでも生成)・ttk.LabelFrame×2・tk.Radiobutton(ループで生成)・ttk.Entryttk.Buttontk.Textttk.Scrollbar を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(record())につなぎます。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である record()(14行)・_refresh_history()(9行)・_load()(5行) を実装します。

  7. 7
    動作確認する

    python app34.py で起動し、各ボタンが反応することを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 クラス定数を書き換えて動きを変える

データはクラス定数(MOODSSAVE_FILE)にまとまっています。中身を書き換えて動きが変わることを確かめましょう。複数の定数が対応関係にある場合は、セットで整合させる必要がある点に注意してください。

💡 入力履歴機能

以前の入力値を覚えておいてComboboxのドロップダウンで再選択できる履歴機能を追加しましょう。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。

❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない

原因:geometry("641x460") の固定サイズで起動するためです。

解決法:geometry()minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(641, 460) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。難易度順に挑戦してみてください。

  1. 課題1:機能拡張

    気分トラッカーに新しい機能を1つ追加してみましょう。どんな機能があると便利か考えてから実装してください。

  2. 課題2:UIの改善

    色・フォント・レイアウトを変更して、より使いやすいUIにカスタマイズしてみましょう。

  3. 課題3:キー操作に対応させる

    ボタンから呼んでいる record() を、キーボードのキーからも呼べるようにしてみましょう。tkinter では bind を使ってキーイベントとメソッドを結び付けられます。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリにも挑戦してみましょう。

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