ログインフォーム
ユーザー名・パスワード入力フォームのサンプル。Entryのshow属性でパスワードを隠す方法を学びます。
1. アプリ概要
ユーザー名・パスワード入力フォームのサンプル。Entryのshow属性でパスワードを隠す方法を学びます。
このアプリは基本カテゴリに分類される実践的なGUIアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ) で、難易度は ★☆☆ です。
このアプリは「入門」カテゴリです。ウィンドウ・ウィジェット・イベントの基本構造を反復することで、後から複雑なアプリを作るときの骨格が身につきます。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。
コードを読む前に実行することをおすすめします。動いている挙動を先に把握しておくと、解説で出てくる関数や処理がどこに対応するかが頭に入りやすくなります。
応用のヒントは、機能を 1 つ増やす・見た目を整える・例外を一つでも丁寧に扱う、のいずれかから始めるのがおすすめです。
2. 機能一覧
- 「ログイン」ボタン(
login())・「ログアウト」ボタン(_logout())で操作 - キー
<Return>からlogin()を実行 - ウィンドウはタイトル「ログインフォーム」・サイズ 407x484 で起動
3. 事前準備・環境
Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)
Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。
- Python 3.10 以上
- OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)
4. 完全なソースコード
右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, messagebox
class App33:
"""ログインフォーム"""
# サンプルユーザー(実際のアプリではDBなどで管理)
USERS = {
"admin": "password123",
"user1": "hello",
"python": "guido",
}
def __init__(self, root):
self.root = root
self.root.title("ログインフォーム")
self.root.geometry("407x484")
self.root.minsize(407, 484)
self.root.configure(bg="#f8f9fc")
self.attempts = 0
self.max_attempts = 3
self._build_ui()
def _build_ui(self):
title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
title_frame.pack(fill=tk.X)
tk.Label(title_frame, text="ログインフォーム",
font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
bg="#3776ab", fg="white").pack()
main_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=40, pady=24)
main_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)
# アイコン
tk.Label(main_frame, text="🔐", font=("Segoe UI Emoji", 36),
bg="#f8f9fc").pack(pady=(0, 16))
# フォーム
form_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text="アカウント情報を入力", padding=14)
form_frame.pack(fill=tk.X)
tk.Label(form_frame, text="ユーザー名:").grid(row=0, column=0, sticky="w", pady=6)
self.username_entry = ttk.Entry(form_frame, width=20, font=("Arial", 12))
self.username_entry.grid(row=0, column=1, padx=8, sticky="ew")
tk.Label(form_frame, text="パスワード:").grid(row=1, column=0, sticky="w", pady=6)
self.password_entry = ttk.Entry(form_frame, width=20, font=("Arial", 12), show="●")
self.password_entry.grid(row=1, column=1, padx=8, sticky="ew")
self.password_entry.bind("<Return>", lambda e: self.login())
# パスワード表示切替
self.show_pw = tk.BooleanVar(value=False)
ttk.Checkbutton(form_frame, text="パスワードを表示",
variable=self.show_pw,
command=self.toggle_pw).grid(row=2, column=1, sticky="w")
form_frame.columnconfigure(1, weight=1)
# ログインボタン
tk.Button(main_frame, text="ログイン",
font=("Noto Sans JP", 13, "bold"),
bg="#3776ab", fg="white", activebackground="#2a5a8a",
relief=tk.FLAT, padx=20, pady=8,
command=self.login).pack(pady=14)
self.status_label = tk.Label(main_frame, text="",
bg="#f8f9fc", font=("Noto Sans JP", 11))
self.status_label.pack()
# ヒント
tk.Label(main_frame, text="ヒント: ユーザー名「admin」パスワード「password123」",
bg="#f8f9fc", fg="#aaa", font=("Noto Sans JP", 9)).pack(pady=(8, 0))
def toggle_pw(self):
self.password_entry.config(show="" if self.show_pw.get() else "●")
def login(self):
username = self.username_entry.get().strip()
password = self.password_entry.get()
if not username or not password:
self.status_label.config(text="❗ ユーザー名とパスワードを入力してください", fg="#e67e22")
return
self.attempts += 1
if username in self.USERS and self.USERS[username] == password:
self.status_label.config(text=f"✅ ログイン成功!ようこそ、{username} さん!", fg="#27ae60")
self.root.after(1500, self._show_welcome, username)
else:
remaining = self.max_attempts - self.attempts
if remaining <= 0:
self.status_label.config(text="🔒 試行回数オーバー。ロックされました", fg="#e74c3c")
self.username_entry.config(state=tk.DISABLED)
self.password_entry.config(state=tk.DISABLED)
else:
self.status_label.config(
text=f"❌ ユーザー名またはパスワードが違います(残り{remaining}回)", fg="#e74c3c")
self.password_entry.delete(0, tk.END)
def _show_welcome(self, username):
for w in self.root.winfo_children():
w.destroy()
frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True, padx=40, pady=40)
tk.Label(frame, text="✅ ログイン成功",
font=("Noto Sans JP", 18, "bold"), bg="#f8f9fc", fg="#27ae60").pack(pady=(0, 12))
tk.Label(frame, text=f"ようこそ、{username} さん!",
font=("Noto Sans JP", 14), bg="#f8f9fc").pack()
ttk.Button(frame, text="ログアウト", command=self._logout).pack(pady=20)
def _logout(self):
for w in self.root.winfo_children():
w.destroy()
self.attempts = 0
self._build_ui()
if __name__ == "__main__":
root = tk.Tk()
app = App33(root)
root.mainloop()
5. コード解説
ログインフォームのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。
クラス設計とコンストラクタ
App33 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド6個・全122行)。__init__ ではタイトル「ログインフォーム」とウィンドウサイズ 407x484 を設定します。あわせて状態を保持する変数(self.attempts・self.max_attempts)を初期化し、最後に _build_ui() で画面を組み立てます。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
ウィジェット構成
画面は tk.Frame×3・tk.Label×8・ttk.LabelFrame・ttk.Entry×2・ttk.Checkbutton・tk.Button・ttk.Button で構成しています。見出し付きの枠(LabelFrame)は「アカウント情報を入力」のラベルでエリアを区切っています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
イベント処理とボタンの接続
「ログイン」ボタン(login())・「ログアウト」ボタン(_logout())を command= で接続しています。また bind("<Return>", ...) から login() を呼べるようにイベントも登録しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
クラス定数によるデータ定義
クラスの先頭でデータを定数として定義しています:USERS = {'admin': 'password123', 'user1': 'hello', 'python': 'guido'}。ロジックの中に直接書かず定数にまとめておくと、内容を変えたいときに1か所を書き換えるだけで済みます。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
6. ステップバイステップガイド
このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。
-
1ファイルを作成する
新しいファイルを作成して app33.py と保存します。使うのは
tkinterだけなので、追加インストールは不要です。 -
2クラスの骨格を作る
App33クラスを定義し、__init__と、末尾のroot = tk.Tk()~mainloop()の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。 -
3ウィンドウを設定する
title("ログインフォーム")・geometry("407x484")・configure(bg="#f8f9fc")・minsize(407, 484)をコンストラクタで設定します。 -
4画面部品を並べる
_build_ui()の中で、tk.Frame×3・tk.Label×8・ttk.LabelFrame・ttk.Entry×2・ttk.Checkbutton・tk.Button・ttk.Buttonを作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。 -
5イベントを接続する
「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを
command=で対応するメソッド(login()・_logout())につなぎます。bind("<Return>", ...)の登録も忘れずに。 -
6中心になるメソッドを実装する
アプリの本体である
_show_welcome()(10行)・login()(23行)・_logout()(5行) を実装します。 -
7動作確認する
python app33.pyで起動し、各ボタンが反応すること・キー操作(<Return>)が効くことを確認します。
7. カスタマイズアイデア
基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。
💡 ダークモードを追加する
bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。
💡 クラス定数を書き換えて動きを変える
データはクラス定数(USERS)にまとまっています。中身を書き換えて動きが変わることを確かめましょう。複数の定数が対応関係にある場合は、セットで整合させる必要がある点に注意してください。
💡 入力履歴機能
以前の入力値を覚えておいてComboboxのドロップダウンで再選択できる履歴機能を追加しましょう。
8. よくある問題と解決法
❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う
原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。
解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。
❌ <Return> キーを押しても反応しない
原因:bind("<Return>", ...) はウィジェット単位で登録されるため、ウィンドウ(またはバインド先)にキーボードフォーカスが無いとイベントが届きません。
解決法:一度ウィンドウ内をクリックしてフォーカスを与えてから、キーを押してください。
❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない
原因:geometry("407x484") の固定サイズで起動するためです。
解決法:geometry() と minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(407, 484) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。
9. 練習問題
アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は全アプリ共通の定型課題です)。このアプリの USERS はパスワードを平文で持つ学習用のサンプルです。課題を試すときも、課題3でファイルに保存するときも、実際に使っているパスワードは書かないでください。
-
課題1:ユーザー名欄でも Enter を効かせて、起動直後にカーソルを合わせる
いま
<Return>を登録しているのはパスワード欄だけです。ユーザー名欄でも Enter でログインできるようにし、起動直後はユーザー名欄にカーソルが入るようにします。期待結果:起動したらすぐユーザー名を打ち始められる。ユーザー名欄で Enter を押すとログインが実行される。
合格条件
- 起動直後のカーソルがユーザー名欄にある
- ユーザー名欄の Enter で
login()が動く(パスワード欄の Enter も今までどおり) - ログアウトしてフォームに戻ったときも同じ動きになる
ヒント①(どこを触るか): 触るのは2か所です。
self.username_entry.grid(...)の直後にbind()を1行、_build_ui()の最後にカーソル移動を1行足します。手本はパスワード欄のself.password_entry.bind("<Return>", lambda e: self.login())です。
ヒント②(使うもの): カーソル移動はself.username_entry.focus_set()です。_logout()は_build_ui()を呼び直す作りなので、この1行だけでログアウト後にも効きます。
つまずきやすい点:bind("<Return>", self.login)と書くとイベント引数が余り、TypeErrorになります。command=と違ってbind()のコールバックは引数を1つ受け取るため、lambda e:を挟んでください。 -
課題2:ロックしたらログインボタンも押せなくする
3回失敗するとロックのメッセージが出て、ユーザー名欄とパスワード欄が無効になります。ただしログインボタンはそのまま押せる状態なので、ボタンも一緒に無効にしましょう。
期待結果:ユーザー名とパスワードを入れて3回続けて失敗すると「🔒 試行回数オーバー」の表示になり、ログインボタンも押せなくなる。
合格条件
- ロック後にボタンを押しても表示が変わらない
- ロックまでの残り回数のメッセージは今までどおり出る
- ログイン成功後にログアウトすると、ボタンはまた押せる状態に戻る
ヒント①(どこを触るか): 触るのは2か所です。ボタンは
tk.Button(...).pack(pady=14)と1文なので、生成とpack()に分けてself.login_btnへ入れます。無効化はlogin()の中で入力欄をstate=tk.DISABLEDにしている分岐に1行足します。
ヒント②(使うもの): 無効化はself.login_btn.config(state=tk.DISABLED)です。戻す処理は要りません。_logout()が_build_ui()を呼び、ボタンごと作り直すためです。
つまずきやすい点:self.login_btn = tk.Button(...).pack(...)と1文で書くとNoneが入ります。pack()が返すのはNoneだからです。あとでconfig()を呼んだ時点でAttributeErrorになるので、生成と配置は必ず2文に分けてください。 -
課題3:保存機能の追加
入力値や計算結果をファイルに保存する機能を追加しましょう。jsonやcsvモジュールを使います。
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