初心者向け No.066

漢字クイズ

漢字の読み方を入力して正解を競うクイズアプリ。正解率・経過時間・苦手漢字の重点出題機能付き。

🎯 難易度: ★☆☆ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) ⏱️ 制作時間: 30〜90分

1. アプリ概要

漢字の読み方を入力して正解を競うクイズアプリ。正解率・経過時間・苦手漢字の重点出題機能付き。

このアプリはgamesカテゴリの実践的なPythonアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ)、難易度は ★☆☆ です。

このアプリは「ゲーム」カテゴリです。ゲーム実装は GUI イベント処理・状態管理・描画ループを同時に学べる教材で、画面・入力・ロジックの三層分離の感覚が掴めます。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。

完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。

カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。

漢字クイズ 実行画面(Windows)
実行画面(Windows)
漢字クイズ 実行画面(Linux Mint)
実行画面(Linux Mint)

2. 機能一覧

  • 「回答」ボタン(_answer())・「スキップ」ボタン(next_question())・「リセット」ボタン(reset())で操作
  • キー <Return> から _answer() を実行
  • after(1000, ...) による1000ミリ秒間隔の _tick() 呼び出し(画面の自動更新)
  • messagebox.askyesno() によるダイアログ通知
  • ウィンドウはタイトル「漢字クイズ」・サイズ 620x460 で起動

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.10 以上
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app066.py
import random
import time
import tkinter as tk
from tkinter import messagebox, ttk


# 漢字 → 読み方 (複数読みは | で区切り)
KANJI_DATA = {
    "桜": "さくら",
    "紅葉": "もみじ|こうよう",
    "雪": "ゆき",
    "海": "うみ",
    "山": "やま",
    "川": "かわ",
    "空": "そら",
    "星": "ほし",
    "月": "つき",
    "太陽": "たいよう",
    "風": "かぜ",
    "雲": "くも",
    "雨": "あめ",
    "虹": "にじ",
    "雷": "かみなり",
    "蝶": "ちょう",
    "蛍": "ほたる",
    "鯨": "くじら",
    "鷲": "わし",
    "象": "ぞう",
    "麒麟": "きりん",
    "薔薇": "ばら",
    "向日葵": "ひまわり",
    "紫陽花": "あじさい",
    "煙突": "えんとつ",
    "鞄": "かばん",
    "玄関": "げんかん",
    "厨房": "ちゅうぼう",
    "醤油": "しょうゆ",
    "珈琲": "コーヒー",
}


class App066:
    """漢字クイズ"""

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("漢字クイズ")
        self.root.geometry("620x460")
        self.root.configure(bg="#f8f9fc")
        self.score = 0
        self.total = 0
        self.start_ts = time.time()
        self.weights = {k: 1 for k in KANJI_DATA}
        self.current = None
        self._build_ui()
        self.next_question()
        self._tick()

    def _build_ui(self):
        """UI を構築する"""
        title = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
        title.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(title, text="漢字クイズ", font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
                 bg="#3776ab", fg="white").pack()

        info = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
        info.pack(fill=tk.X, pady=8)
        self.score_label = tk.Label(info, text="正解 0 / 0",
                                    font=("Noto Sans JP", 12), bg="#f8f9fc",
                                    fg="#3776ab")
        self.score_label.pack(side=tk.LEFT, padx=20)
        self.time_label = tk.Label(info, text="経過: 0秒",
                                   font=("Noto Sans JP", 12), bg="#f8f9fc")
        self.time_label.pack(side=tk.RIGHT, padx=20)

        self.q_label = tk.Label(self.root, text="",
                                font=("Noto Sans JP", 60, "bold"),
                                bg="white", relief=tk.GROOVE,
                                width=6, height=1)
        self.q_label.pack(pady=15)

        self.entry = ttk.Entry(self.root, font=("Noto Sans JP", 16),
                               justify="center", width=18)
        self.entry.pack(pady=4)
        self.entry.bind("<Return>", lambda e: self._answer())
        self.entry.focus_set()

        btns = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
        btns.pack(pady=8)
        ttk.Button(btns, text="回答", command=self._answer).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
        ttk.Button(btns, text="スキップ", command=self.next_question).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
        ttk.Button(btns, text="リセット", command=self.reset).pack(side=tk.LEFT, padx=4)

        self.fb = tk.Label(self.root, text="", bg="#f8f9fc",
                          font=("Noto Sans JP", 12))
        self.fb.pack(pady=4)

    def _weighted_choice(self):
        """重みに基づいて漢字を選ぶ"""
        items = list(self.weights.items())
        total = sum(w for _, w in items)
        r = random.uniform(0, total)
        s = 0
        for k, w in items:
            s += w
            if r <= s:
                return k
        return items[-1][0]

    def next_question(self):
        """新しい問題を出題する"""
        self.current = self._weighted_choice()
        self.q_label.config(text=self.current)
        self.entry.delete(0, tk.END)
        self.fb.config(text="")
        self.entry.focus_set()

    def _answer(self):
        """回答を判定する"""
        if self.current is None:
            return
        ans = self.entry.get().strip()
        if not ans:
            return
        self.total += 1
        accepts = KANJI_DATA[self.current].split("|")
        if ans in accepts:
            self.score += 1
            self.fb.config(text="正解!", fg="green")
            self.weights[self.current] = max(1, self.weights[self.current] - 1)
        else:
            self.fb.config(text=f"不正解。正解: {accepts[0]}", fg="red")
            self.weights[self.current] += 3
        rate = int(self.score / self.total * 100) if self.total else 0
        self.score_label.config(text=f"正解 {self.score} / {self.total}  ({rate}%)")
        # 1秒後に次の問題
        self.root.after(900, self.next_question)

    def reset(self):
        """成績をリセットする"""
        if not messagebox.askyesno("確認", "成績をリセットしますか?"):
            return
        self.score = 0
        self.total = 0
        self.start_ts = time.time()
        self.weights = {k: 1 for k in KANJI_DATA}
        self.score_label.config(text="正解 0 / 0")
        self.next_question()

    def _tick(self):
        """経過時間を更新する"""
        elapsed = int(time.time() - self.start_ts)
        self.time_label.config(text=f"経過: {elapsed}秒")
        self.root.after(1000, self._tick)


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App066(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

漢字クイズのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App066 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド7個・全160行)。__init__ ではタイトル「漢字クイズ」とウィンドウサイズ 620x460 を設定します。あわせて状態を保持する変数(self.scoreself.totalself.current)を初期化し、そのあと _build_ui()next_question()_tick() の順に呼び出して初期状態を作ります。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×3・tk.Label×5・ttk.Entryttk.Button×3 で構成しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「回答」ボタン(_answer())・「スキップ」ボタン(next_question())・「リセット」ボタン(reset())を command= で接続しています。また bind("<Return>", ...) から _answer() を呼べるようにイベントも登録しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

after() による定期処理

_tick() の末尾で after(1000, ...) を呼び、1000ミリ秒後に自分自身の再実行を予約しています。tkinter では while ループで待つと画面が固まるため、この「予約の連鎖」で定期処理を作るのが定石です。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app066.py と保存します。使うのは randomtimetkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App066 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk()mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("漢字クイズ")geometry("620x460")configure(bg="#f8f9fc") をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×3・tk.Label×5・ttk.Entryttk.Button×3 を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(_answer()next_question()reset())につなぎます。bind("<Return>", ...) の登録も忘れずに。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である next_question()(7行)・_tick()(5行)・_answer()(20行)・reset()(10行) を実装します。定期処理は after(1000, ...) で自分自身を予約し続ける形にします。

  7. 7
    動作確認する

    python app066.py で起動し、各ボタンが反応すること・表示が自動で更新されること・キー操作(<Return>)が効くことを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 更新間隔を変えてみる

after(1000, ...) の 1000 が更新間隔(ミリ秒)です。大きくすると更新頻度が下がって CPU 負荷が軽くなり、小さくすると更新が細かくなります(表示の刻み幅より細かくしても見た目は変わりません)。数値を変えて違いを確かめてみましょう。

💡 設定ダイアログ

フォントサイズや色などの設定をユーザーが変更できるオプションダイアログを追加しましょう。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。

❌ 改造したら表示の更新が二重になった・速くなった

原因:_tick()after(1000, ...) で自分自身を予約し続ける構造です。予約を止めずにもう一度開始経路を通ると、予約の連鎖が2本になり、更新が倍速になります。

解決法:開始処理の前に動作中かどうかをフラグで判定してください。

<Return> キーを押しても反応しない

原因:bind("<Return>", ...) はウィジェット単位で登録されるため、ウィンドウ(またはバインド先)にキーボードフォーカスが無いとイベントが届きません。

解決法:一度ウィンドウ内をクリックしてフォーカスを与えてから、キーを押してください。

❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない

原因:geometry("620x460") の固定サイズで起動するためです。

解決法:この数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。出題されるのは8〜39行の KANJI_DATA に入っている30語だけで、登録された読みと文字がぴたり一致したときだけ正解になります(「珈琲」はカタカナの「コーヒー」で登録)。成績も経過時間もメモリの中だけにあり、ウィンドウを閉じると消えます。

  1. 課題1:回答直後の「スキップ」で1問余計に飛ぶのを直す

    回答すると0.9秒後に自動で次の問題へ進みます(137行)。その待ち時間に「スキップ」を押すと、押したぶんと自動のぶんで2問進んでしまいます。

    期待結果:回答してすぐ(1秒たたないうち)に「スキップ」を押しても、問題が変わるのは1回だけ

    合格条件

    • 回答直後にスキップを押しても、そのあと勝手にもう1問進まない
    • 何も押さずに待てば、今までどおり0.9秒後に次の問題へ進む
    • 「リセット」を押したあとも同じように余計な問題送りが起きない

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは3か所です。__init__(52行のあたり)と _answer() の137行、next_question() の先頭(112行の手前)です。
    ヒント②(使うもの): self.after_id = None を最初に用意し、137行を self.after_id = self.root.after(900, self.next_question) に変えます。next_question() の先頭では、予約が残っていれば self.root.after_cancel(self.after_id) で取り消してから None に戻します。
    つまずきやすい点: after_cancel()None を渡すと tkinter 側の検査で ValueError になるため、if self.after_id: で確かめてから呼びます。すでに動き終わった予約の ID を渡すぶんには何も起きません。_tick()(150〜154行)の after は経過時間の更新用なので、こちらを取り消すと時計が止まります。

  2. 課題2:経過時間を「◯分◯秒」で表示する

    経過時間は「経過: 754秒」のように秒だけで増え続けます(153行)。分と秒に分けて読みやすくしましょう。

    期待結果:起動から75秒たつと 経過: 1分15秒 と表示され、59秒の時点では 経過: 0分59秒 になる

    合格条件

    • 60秒を境に 経過: 0分59秒 から 経過: 1分0秒 へ変わる
    • 「リセット」を押すと1秒以内に 経過: 0分0秒 に戻る(145行)
    • 表示は1秒ごとに更新され続ける(154行)

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。表示の文字を作る153行です。
    ヒント②(使うもの): elapsed // 60 が分、elapsed % 60 が秒になります。f"経過: {elapsed // 60}分{elapsed % 60}秒" の形へ書き換えます。
    つまずきやすい点: 152行の int() は小数を切り捨てるので、59.9秒の時点ではまだ 0分59秒 のままです。reset()(139行)が145行で start_ts を入れ直しても、表示が変わるのは次に _tick() が動いたときで、最大1秒ずれます。72行の初期表示は「経過: 0秒」と書いてあるため、書式をそろえたいときはここも直してください。

  3. 課題3:保存機能の追加

    処理結果をファイルに保存する機能を追加しましょう。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリに挑戦しましょう。

🐛
エラーが出て動かないときは

写経中に赤いエラー文が出たら、Pythonエラー一覧&解決法(英語メッセージ逆引き)で原因と直し方をすぐ確認できます。

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