サイコロシミュレーター
1〜6のサイコロをパラパラ演出付きで振るシミュレーター。Canvasに目を描く描画とafter()で動きを付ける方法を学びます。
1. アプリ概要
手元にサイコロがないときに画面上で振れて、1〜6の目がそれぞれ何回出たかも数えるシミュレーターです。Canvasに目を描く描画と、after()でパラパラ演出を付ける方法を学びます。
「🎲 振る!」を押すと80ミリ秒ごとに仮の目を6回描き替えてから本当の目を確定し、演出中に押した分は無視します。
2. 機能一覧
- 「🎲 振る!」ボタン(
roll())・「リセット」ボタン(reset())で操作 after(80, ...)による80ミリ秒間隔の_animate()呼び出し(画面の自動更新)- ウィンドウはタイトル「サイコロシミュレーター」・サイズ 400x465 で起動
3. 事前準備・環境
Python 3.11 以上(Ubuntu で 3.14・3.15 の起動を確認) / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)
Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。
- Python 3.11 以上(Ubuntu で 3.14・3.15 の起動を確認)
- OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)
4. 完全なソースコード
右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。
import tkinter as tk
from tkinter import ttk
import random
class App19:
"""サイコロシミュレーター"""
FACES = {
1: "⚀", 2: "⚁", 3: "⚂",
4: "⚃", 5: "⚄", 6: "⚅",
}
# 各目のドット位置(サイコロ中心からの相対座標 -1〜+1)
PIPS = {
1: [(0, 0)],
2: [(-1, -1), (1, 1)],
3: [(-1, -1), (0, 0), (1, 1)],
4: [(-1, -1), (-1, 1), (1, -1), (1, 1)],
5: [(-1, -1), (-1, 1), (1, -1), (1, 1), (0, 0)],
6: [(-1, -1), (-1, 0), (-1, 1), (1, -1), (1, 0), (1, 1)],
}
DIE_SIZE = 100
def __init__(self, root):
self.root = root
self.root.title("サイコロシミュレーター")
self.root.geometry("400x465")
self.root.minsize(400, 465)
self.root.configure(bg="#f8f9fc")
self.roll_history = []
self.rolling = False
self._build_ui()
def _build_ui(self):
title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
title_frame.pack(fill=tk.X)
tk.Label(title_frame, text="サイコロシミュレーター",
font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
bg="#3776ab", fg="white").pack()
main_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=24, pady=16)
main_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)
# サイコロ表示(Canvas に本体と目を描く)
self.dice_canvas = tk.Canvas(main_frame, width=self.DIE_SIZE + 10,
height=self.DIE_SIZE + 10,
bg="#f8f9fc", highlightthickness=0)
self.dice_canvas.pack(pady=(0, 4))
self._draw_die(1)
self.result_label = tk.Label(main_frame, text="ボタンを押してサイコロを振ろう!",
bg="#f8f9fc", font=("Noto Sans JP", 12), fg="#555")
self.result_label.pack(pady=(0, 10))
# ボタン
btn_frame = tk.Frame(main_frame, bg="#f8f9fc")
btn_frame.pack()
tk.Button(btn_frame, text="🎲 振る!", font=("Noto Sans JP", 14, "bold"),
bg="#3776ab", fg="white", activebackground="#2a5a8a",
relief=tk.RAISED, bd=0, padx=20, pady=8,
command=self.roll).pack(side=tk.LEFT, padx=8)
ttk.Button(btn_frame, text="リセット", command=self.reset).pack(side=tk.LEFT)
# 統計
stats_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text="統計(各目の出た回数)", padding=8)
stats_frame.pack(fill=tk.X, pady=(12, 0))
self.stat_labels = {}
bg_color = self.root.cget("bg")
for col, face in enumerate(range(1, 7)):
tk.Label(stats_frame, text=self.FACES[face],
font=("Segoe UI Emoji", 18), bg=bg_color).grid(
row=0, column=col, padx=6)
lbl = tk.Label(stats_frame, text="0",
font=("Noto Sans JP", 11), bg=bg_color, fg="#555")
lbl.grid(row=1, column=col, padx=6)
self.stat_labels[face] = lbl
self.total_label = tk.Label(main_frame, text="合計: 0回",
bg="#f8f9fc", font=("Noto Sans JP", 10), fg="#888")
self.total_label.pack(pady=(6, 0))
def _draw_die(self, value):
"""Canvas にサイコロを1個描く(本体は四角形・目は create_oval)"""
c = self.dice_canvas
c.delete("all")
size = self.DIE_SIZE
x0 = y0 = 5
c.create_rectangle(x0, y0, x0 + size, y0 + size,
fill="white", outline="#333", width=3)
cx, cy = x0 + size // 2, y0 + size // 2
offset = size // 4 # 中心から目までの距離
r = size // 10 # 目の半径
for ox, oy in self.PIPS[value]:
dx, dy = cx + ox * offset, cy + oy * offset
c.create_oval(dx - r, dy - r, dx + r, dy + r,
fill="#1f2933", outline="")
def roll(self):
if self.rolling: # 演出中の連打を無視
return
self.rolling = True
self._animate(6)
def _animate(self, remaining):
# after() で 80ms ごとに仮の目を描き、最後に本当の目を確定する
if remaining > 0:
self._draw_die(random.randint(1, 6))
self.root.after(80, self._animate, remaining - 1)
return
result = random.randint(1, 6)
self._draw_die(result)
self.result_label.config(text=f"出た目: {result}")
self.roll_history.append(result)
self._update_stats()
self.rolling = False
def _update_stats(self):
for face in range(1, 7):
count = self.roll_history.count(face)
self.stat_labels[face].config(text=str(count))
self.total_label.config(text=f"合計: {len(self.roll_history)}回")
def reset(self):
self.roll_history.clear()
self._draw_die(1)
self.result_label.config(text="ボタンを押してサイコロを振ろう!")
for lbl in self.stat_labels.values():
lbl.config(text="0")
self.total_label.config(text="合計: 0回")
if __name__ == "__main__":
root = tk.Tk()
app = App19(root)
root.mainloop()
5. コード解説
サイコロシミュレーターのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。
クラス設計とコンストラクタ
App19 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド7個・全135行)。__init__ ではタイトル「サイコロシミュレーター」とウィンドウサイズ 400x465 を設定します。あわせて状態を保持する変数(self.rolling)を初期化し、最後に _build_ui() で画面を組み立てます。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
ウィジェット構成
画面は tk.Frame×3・tk.Label×3(ほかにループでも生成)・tk.Canvas・tk.Button・ttk.Button・ttk.LabelFrame で構成しています。見出し付きの枠(LabelFrame)は「統計(各目の出た回数)」のラベルでエリアを区切っています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
イベント処理とボタンの接続
「🎲 振る!」ボタン(roll())・「リセット」ボタン(reset())を command= で接続しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
after() による定期処理
_animate() の末尾で after(80, ...) を呼び、80ミリ秒後に自分自身の再実行を予約しています。tkinter では while ループで待つと画面が固まるため、この「予約の連鎖」で定期処理を作るのが定石です。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
クラス定数によるデータ定義
クラスの先頭でデータを定数として定義しています:FACES = {1: '⚀', 2: '⚁', 3: '⚂', 4: '⚃', 5: '⚄', 6: '⚅'}、DIE_SIZE = 100。ロジックの中に直接書かず定数にまとめておくと、内容を変えたいときに1か所を書き換えるだけで済みます。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
例外処理を書いていない理由
このコードには try-except による例外処理がありません。テキスト入力欄がなくボタン操作だけで完結し、ファイルやネットワークへのアクセスも無い設計のため、例外を投げうる処理(型変換・ファイル/通信)がそもそも無いからです。入力欄やファイル保存を追加する改造をするときは、例外処理もセットで検討しましょう。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
6. ステップバイステップガイド
このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。
-
1ファイルを作成する
新しいファイルを作成して app19.py と保存します。使うのは
random・tkinterだけなので、追加インストールは不要です。 -
2クラスの骨格を作る
App19クラスを定義し、__init__と、末尾のroot = tk.Tk()~mainloop()の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。 -
3ウィンドウを設定する
title("サイコロシミュレーター")・geometry("400x465")・configure(bg="#f8f9fc")・minsize(400, 465)をコンストラクタで設定します。 -
4画面部品を並べる
_build_ui()の中で、tk.Frame×3・tk.Label×3(ほかにループでも生成)・tk.Canvas・tk.Button・ttk.Button・ttk.LabelFrameを作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。 -
5イベントを接続する
「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを
command=で対応するメソッド(roll()・reset())につなぎます。 -
6中心になるメソッドを実装する
アプリの本体である
_animate()(12行)・reset()(7行)・roll()(5行) を実装します。定期処理はafter(80, ...)で自分自身を予約し続ける形にします。 -
7動作確認する
python app19.pyで起動し、各ボタンが反応すること・表示が自動で更新されることを確認します。
7. カスタマイズアイデア
基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。
💡 ダークモードを追加する
bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。
💡 クラス定数を書き換えて動きを変える
データはクラス定数(FACES・PIPS)にまとまっています。中身を書き換えて動きが変わることを確かめましょう。複数の定数が対応関係にある場合は、セットで整合させる必要がある点に注意してください。
💡 結果をファイルに保存する
このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。
8. よくある問題と解決法
❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う
原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。
解決法:サイコロの本体と目は Canvas の図形(create_rectangle・create_oval)で描いているので、フォントが変わっても形は崩れません。見た目が変わり得るのはタイトル・結果・「🎲 振る!」ボタン・回数の文字(Noto Sans JP)と、統計欄の ⚀〜⚅(Segoe UI Emoji)です。出た目の抽選と回数の集計は、どの書体で表示しても関係しません。書体を手元に合わせるなら、統計欄の font=("Segoe UI Emoji", 18) を含む各 font 引数のフォント名を書き換えるか、引数ごと省略してください。
❌ 改造したら表示の更新が二重になった・速くなった
原因:_animate() は after(80, ...) で自分自身を予約し続ける構造です。予約を止めずにもう一度開始経路を通ると、予約の連鎖が2本になり、更新が倍速になります。
解決法:開始処理の前に動作中かどうかをフラグで判定してください。
❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない
原因:geometry("400x465") の固定サイズで起動するためです。
解決法:geometry() と minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(400, 465) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。
9. 練習問題
アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。
-
課題1:各目の出た割合をパーセントで出す
統計は回数だけなので、サイコロの偏りを見たいときは自分で割り算することになります。回数の横に割合を並べて表示しましょう。
期待結果:10回振って 1 が3回出ていれば、⚀ の下が
3 (30.0%)と出る。「リセット」を押すと、6つとも0 (0.0%)に戻る。合格条件
- 6つの目それぞれに、回数と割合が並んで出る
- リセットした直後でも
ZeroDivisionErrorが出ない - 「合計: N回」の表示は、いままでどおり
ヒント①(どこを触るか): 触るのは2か所です。
_update_stats()で表示する文字列を組み立て直し、reset()のラベルを"0"に書き戻す2行をself._update_stats()の呼び出しに置き換えます。
ヒント②(使うもの): 合計はtotal = len(self.roll_history)で取れます。pct = count / total * 100 if total else 0と書けば0回でも割り算しません。表示はf"{count} ({pct:.1f}%)"で組み立てます。
つまずきやすい点:totalの判定を書かずにcount / totalとすると、リセットした直後にZeroDivisionError: division by zeroで止まります。小数第1位で丸めるので、6つの割合を足すと99.9%や100.1%になることがあります。 -
課題2:パラパラ演出の回数と間隔をクラス定数に出す
振ったときのパラパラ演出は6回・80ミリ秒間隔ですが、その2つの数字は
roll()と_animate()の中に直接書かれています。クラス定数に出して、演出の長さを定数の行だけで調整できるようにしましょう。期待結果:定数を
12・40に変えて振る。仮の目の切り替わりが6回から12回に増え、間隔は半分になる。演出にかかる時間は 6×80 も 12×40 も 480 ミリ秒で、体感はほぼ変わらない。統計はこれまでどおり1回ぶんだけ増える。合格条件
- 定数の数字を変えるだけで、切り替わりの回数と間隔が変わる
- 回数をいくつに変えても、1回振って増える統計は1つだけ
- 演出の途中で「🎲 振る!」を連打しても、統計は1つしか増えない
- 定数を
6・80に戻すと、いまと同じ動きになる
ヒント①(どこを触るか): 触るのは2行です。
roll()のself._animate(6)の6が演出の回数、_animate()のself.root.after(80, self._animate, remaining - 1)の80がミリ秒です。_animateという名前はコード内に3か所(呼び出し・定義・after()への受け渡し)出てきます。random.randint(1, 6)の6はサイコロの目の数なので触りません。
ヒント②(使うもの):DIE_SIZE = 100の下にANIM_TIMES = 6とANIM_DELAY = 80を並べ、self._animate(self.ANIM_TIMES)・self.root.after(self.ANIM_DELAY, self._animate, remaining - 1)と書き換えます。クラス定数はself.ANIM_TIMESの形で読み出せます。
つまずきやすい点:after(80, self._animate, remaining - 1)は「80ミリ秒後に_animate()を引数付きで呼ぶ」という予約で、その行でプログラムが止まるわけではありません。第2引数をself._animate(remaining - 1)と書くと、予約ではなくその場で呼ばれてしまい、演出が一瞬で終わります。ANIM_TIMESを0にすると仮の目を描かずに結果だけが決まります(エラーにはなりません)。 -
課題3:キー操作に対応させる
ボタンから呼んでいる
roll()を、キーボードのキーからも呼べるようにしてみましょう。tkinter では bind を使ってキーイベントとメソッドを結び付けられます。
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