初心者向け No.19

サイコロシミュレーター

1〜6のサイコロをパラパラ演出付きで振るシミュレーター。Canvasに目を描く描画とafter()で動きを付ける方法を学びます。

🎯 難易度: ★☆☆ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) 🧩 作るもの: Canvasに目を描くサイコロと出目の回数集計(全135行)

1. アプリ概要

手元にサイコロがないときに画面上で振れて、1〜6の目がそれぞれ何回出たかも数えるシミュレーターです。Canvasに目を描く描画と、after()でパラパラ演出を付ける方法を学びます。

「🎲 振る!」を押すと80ミリ秒ごとに仮の目を6回描き替えてから本当の目を確定し、演出中に押した分は無視します。

サイコロシミュレーター 実行画面(Windows)。Canvas に描かれた四角いサイコロと丸い目が表示されています
実行画面(Windows・Canvas 描画への変更後に撮影/統計欄の ⚀〜⚅ は絵文字のまま)
サイコロシミュレーター 実行画面(Linux Mint)。Canvas に描かれた四角いサイコロと丸い目が表示されています
実行画面(Linux Mint・Canvas 描画への変更後に撮影)

2. 機能一覧

  • 「🎲 振る!」ボタン(roll())・「リセット」ボタン(reset())で操作
  • after(80, ...) による80ミリ秒間隔の _animate() 呼び出し(画面の自動更新)
  • ウィンドウはタイトル「サイコロシミュレーター」・サイズ 400x465 で起動

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.11 以上(Ubuntu で 3.14・3.15 の起動を確認) / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.11 以上(Ubuntu で 3.14・3.15 の起動を確認)
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

✅ 追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app19.py
import tkinter as tk
from tkinter import ttk
import random


class App19:
    """サイコロシミュレーター"""

    FACES = {
        1: "⚀", 2: "⚁", 3: "⚂",
        4: "⚃", 5: "⚄", 6: "⚅",
    }
    # 各目のドット位置(サイコロ中心からの相対座標 -1〜+1)
    PIPS = {
        1: [(0, 0)],
        2: [(-1, -1), (1, 1)],
        3: [(-1, -1), (0, 0), (1, 1)],
        4: [(-1, -1), (-1, 1), (1, -1), (1, 1)],
        5: [(-1, -1), (-1, 1), (1, -1), (1, 1), (0, 0)],
        6: [(-1, -1), (-1, 0), (-1, 1), (1, -1), (1, 0), (1, 1)],
    }
    DIE_SIZE = 100

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("サイコロシミュレーター")
        self.root.geometry("400x465")
        self.root.minsize(400, 465)
        self.root.configure(bg="#f8f9fc")
        self.roll_history = []
        self.rolling = False
        self._build_ui()

    def _build_ui(self):
        title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
        title_frame.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(title_frame, text="サイコロシミュレーター",
                 font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
                 bg="#3776ab", fg="white").pack()

        main_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=24, pady=16)
        main_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)

        # サイコロ表示(Canvas に本体と目を描く)
        self.dice_canvas = tk.Canvas(main_frame, width=self.DIE_SIZE + 10,
                                     height=self.DIE_SIZE + 10,
                                     bg="#f8f9fc", highlightthickness=0)
        self.dice_canvas.pack(pady=(0, 4))
        self._draw_die(1)

        self.result_label = tk.Label(main_frame, text="ボタンを押してサイコロを振ろう!",
                                     bg="#f8f9fc", font=("Noto Sans JP", 12), fg="#555")
        self.result_label.pack(pady=(0, 10))

        # ボタン
        btn_frame = tk.Frame(main_frame, bg="#f8f9fc")
        btn_frame.pack()
        tk.Button(btn_frame, text="🎲 振る!", font=("Noto Sans JP", 14, "bold"),
                  bg="#3776ab", fg="white", activebackground="#2a5a8a",
                  relief=tk.RAISED, bd=0, padx=20, pady=8,
                  command=self.roll).pack(side=tk.LEFT, padx=8)
        ttk.Button(btn_frame, text="リセット", command=self.reset).pack(side=tk.LEFT)

        # 統計
        stats_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text="統計(各目の出た回数)", padding=8)
        stats_frame.pack(fill=tk.X, pady=(12, 0))
        self.stat_labels = {}
        bg_color = self.root.cget("bg")
        for col, face in enumerate(range(1, 7)):
            tk.Label(stats_frame, text=self.FACES[face],
                     font=("Segoe UI Emoji", 18), bg=bg_color).grid(
                row=0, column=col, padx=6)
            lbl = tk.Label(stats_frame, text="0",
                           font=("Noto Sans JP", 11), bg=bg_color, fg="#555")
            lbl.grid(row=1, column=col, padx=6)
            self.stat_labels[face] = lbl

        self.total_label = tk.Label(main_frame, text="合計: 0回",
                                    bg="#f8f9fc", font=("Noto Sans JP", 10), fg="#888")
        self.total_label.pack(pady=(6, 0))

    def _draw_die(self, value):
        """Canvas にサイコロを1個描く(本体は四角形・目は create_oval)"""
        c = self.dice_canvas
        c.delete("all")
        size = self.DIE_SIZE
        x0 = y0 = 5
        c.create_rectangle(x0, y0, x0 + size, y0 + size,
                           fill="white", outline="#333", width=3)
        cx, cy = x0 + size // 2, y0 + size // 2
        offset = size // 4      # 中心から目までの距離
        r = size // 10          # 目の半径
        for ox, oy in self.PIPS[value]:
            dx, dy = cx + ox * offset, cy + oy * offset
            c.create_oval(dx - r, dy - r, dx + r, dy + r,
                          fill="#1f2933", outline="")

    def roll(self):
        if self.rolling:        # 演出中の連打を無視
            return
        self.rolling = True
        self._animate(6)

    def _animate(self, remaining):
        # after() で 80ms ごとに仮の目を描き、最後に本当の目を確定する
        if remaining > 0:
            self._draw_die(random.randint(1, 6))
            self.root.after(80, self._animate, remaining - 1)
            return
        result = random.randint(1, 6)
        self._draw_die(result)
        self.result_label.config(text=f"出た目: {result}")
        self.roll_history.append(result)
        self._update_stats()
        self.rolling = False

    def _update_stats(self):
        for face in range(1, 7):
            count = self.roll_history.count(face)
            self.stat_labels[face].config(text=str(count))
        self.total_label.config(text=f"合計: {len(self.roll_history)}回")

    def reset(self):
        self.roll_history.clear()
        self._draw_die(1)
        self.result_label.config(text="ボタンを押してサイコロを振ろう!")
        for lbl in self.stat_labels.values():
            lbl.config(text="0")
        self.total_label.config(text="合計: 0回")


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App19(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

サイコロシミュレーターのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App19 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド7個・全135行)。__init__ ではタイトル「サイコロシミュレーター」とウィンドウサイズ 400x465 を設定します。あわせて状態を保持する変数(self.rolling)を初期化し、最後に _build_ui() で画面を組み立てます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×3・tk.Label×3(ほかにループでも生成)・tk.Canvas・tk.Button・ttk.Button・ttk.LabelFrame で構成しています。見出し付きの枠(LabelFrame)は「統計(各目の出た回数)」のラベルでエリアを区切っています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「🎲 振る!」ボタン(roll())・「リセット」ボタン(reset())を command= で接続しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

after() による定期処理

_animate() の末尾で after(80, ...) を呼び、80ミリ秒後に自分自身の再実行を予約しています。tkinter では while ループで待つと画面が固まるため、この「予約の連鎖」で定期処理を作るのが定石です。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

クラス定数によるデータ定義

クラスの先頭でデータを定数として定義しています:FACES = {1: '⚀', 2: '⚁', 3: '⚂', 4: '⚃', 5: '⚄', 6: '⚅'}、DIE_SIZE = 100。ロジックの中に直接書かず定数にまとめておくと、内容を変えたいときに1か所を書き換えるだけで済みます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

例外処理を書いていない理由

このコードには try-except による例外処理がありません。テキスト入力欄がなくボタン操作だけで完結し、ファイルやネットワークへのアクセスも無い設計のため、例外を投げうる処理(型変換・ファイル/通信)がそもそも無いからです。入力欄やファイル保存を追加する改造をするときは、例外処理もセットで検討しましょう。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app19.py と保存します。使うのは random・tkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App19 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk() ~ mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("サイコロシミュレーター")・geometry("400x465")・configure(bg="#f8f9fc")・minsize(400, 465) をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×3・tk.Label×3(ほかにループでも生成)・tk.Canvas・tk.Button・ttk.Button・ttk.LabelFrame を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(roll()・reset())につなぎます。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である _animate()(12行)・reset()(7行)・roll()(5行) を実装します。定期処理は after(80, ...) で自分自身を予約し続ける形にします。

  7. 7
    動作確認する

    python app19.py で起動し、各ボタンが反応すること・表示が自動で更新されることを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 クラス定数を書き換えて動きを変える

データはクラス定数(FACES・PIPS)にまとまっています。中身を書き換えて動きが変わることを確かめましょう。複数の定数が対応関係にある場合は、セットで整合させる必要がある点に注意してください。

💡 結果をファイルに保存する

このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:サイコロの本体と目は Canvas の図形(create_rectangle・create_oval)で描いているので、フォントが変わっても形は崩れません。見た目が変わり得るのはタイトル・結果・「🎲 振る!」ボタン・回数の文字(Noto Sans JP)と、統計欄の ⚀〜⚅(Segoe UI Emoji)です。出た目の抽選と回数の集計は、どの書体で表示しても関係しません。書体を手元に合わせるなら、統計欄の font=("Segoe UI Emoji", 18) を含む各 font 引数のフォント名を書き換えるか、引数ごと省略してください。

❌ 改造したら表示の更新が二重になった・速くなった

原因:_animate() は after(80, ...) で自分自身を予約し続ける構造です。予約を止めずにもう一度開始経路を通ると、予約の連鎖が2本になり、更新が倍速になります。

解決法:開始処理の前に動作中かどうかをフラグで判定してください。

❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない

原因:geometry("400x465") の固定サイズで起動するためです。

解決法:geometry() と minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(400, 465) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。

  1. 課題1:各目の出た割合をパーセントで出す

    統計は回数だけなので、サイコロの偏りを見たいときは自分で割り算することになります。回数の横に割合を並べて表示しましょう。

    期待結果:10回振って 1 が3回出ていれば、⚀ の下が 3 (30.0%) と出る。「リセット」を押すと、6つとも 0 (0.0%) に戻る。

    合格条件

    • 6つの目それぞれに、回数と割合が並んで出る
    • リセットした直後でも ZeroDivisionError が出ない
    • 「合計: N回」の表示は、いままでどおり

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは2か所です。_update_stats() で表示する文字列を組み立て直し、reset() のラベルを "0" に書き戻す2行を self._update_stats() の呼び出しに置き換えます。
    ヒント②(使うもの): 合計は total = len(self.roll_history) で取れます。pct = count / total * 100 if total else 0 と書けば0回でも割り算しません。表示は f"{count} ({pct:.1f}%)" で組み立てます。
    つまずきやすい点: total の判定を書かずに count / total とすると、リセットした直後に ZeroDivisionError: division by zero で止まります。小数第1位で丸めるので、6つの割合を足すと 99.9% や 100.1% になることがあります。

  2. 課題2:パラパラ演出の回数と間隔をクラス定数に出す

    振ったときのパラパラ演出は6回・80ミリ秒間隔ですが、その2つの数字は roll() と _animate() の中に直接書かれています。クラス定数に出して、演出の長さを定数の行だけで調整できるようにしましょう。

    期待結果:定数を 12・40 に変えて振る。仮の目の切り替わりが6回から12回に増え、間隔は半分になる。演出にかかる時間は 6×80 も 12×40 も 480 ミリ秒で、体感はほぼ変わらない。統計はこれまでどおり1回ぶんだけ増える。

    合格条件

    • 定数の数字を変えるだけで、切り替わりの回数と間隔が変わる
    • 回数をいくつに変えても、1回振って増える統計は1つだけ
    • 演出の途中で「🎲 振る!」を連打しても、統計は1つしか増えない
    • 定数を 6・80 に戻すと、いまと同じ動きになる

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは2行です。roll() の self._animate(6) の 6 が演出の回数、_animate() の self.root.after(80, self._animate, remaining - 1) の 80 がミリ秒です。_animate という名前はコード内に3か所(呼び出し・定義・after() への受け渡し)出てきます。random.randint(1, 6) の 6 はサイコロの目の数なので触りません。
    ヒント②(使うもの): DIE_SIZE = 100 の下に ANIM_TIMES = 6 と ANIM_DELAY = 80 を並べ、self._animate(self.ANIM_TIMES)・self.root.after(self.ANIM_DELAY, self._animate, remaining - 1) と書き換えます。クラス定数は self.ANIM_TIMES の形で読み出せます。
    つまずきやすい点: after(80, self._animate, remaining - 1) は「80ミリ秒後に _animate() を引数付きで呼ぶ」という予約で、その行でプログラムが止まるわけではありません。第2引数を self._animate(remaining - 1) と書くと、予約ではなくその場で呼ばれてしまい、演出が一瞬で終わります。ANIM_TIMES を 0 にすると仮の目を描かずに結果だけが決まります(エラーにはなりません)。

  3. 課題3:キー操作に対応させる

    ボタンから呼んでいる roll() を、キーボードのキーからも呼べるようにしてみましょう。tkinter では bind を使ってキーイベントとメソッドを結び付けられます。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリにも挑戦してみましょう。

🐛
エラーが出て動かないときは

写経中に赤いエラー文が出たら、Pythonエラー一覧&解決法(英語メッセージ逆引き)で原因と直し方をすぐ確認できます。

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