初心者向け No.18

カレンダー表示アプリ

月のカレンダーをグリッド表示し前後月へ移動できるアプリ。calendarモジュールの活用方法を学びます。

🎯 難易度: ★★☆ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) ⏱️ 制作時間: 30〜90分

1. アプリ概要

月のカレンダーをグリッド表示し前後月へ移動できるアプリ。calendarモジュールの活用方法を学びます。

このアプリはツールカテゴリに分類される実践的なGUIアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ) で、難易度は ★★☆ です。

このアプリは「ツール」カテゴリです。日々の作業を自動化する実用ツールは Python が最も得意とする領域です。短いコードで実用性のある成果物が作れる点が魅力です。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。

完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。

カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。

カレンダー表示アプリ 実行画面(Windows)
実行画面(Windows)
カレンダー表示アプリ 実行画面(Linux Mint)
実行画面(Linux Mint)

2. 機能一覧

  • 「◀」ボタン(prev_month())・「▶」ボタン(next_month())・「今月」ボタン(goto_today())で操作
  • ウィンドウはタイトル「カレンダー表示アプリ」・サイズ 420x360 で起動

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.10 以上
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app18.py
import tkinter as tk
from tkinter import ttk
import calendar
from datetime import date


class App18:
    """カレンダー表示アプリ"""

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("カレンダー表示アプリ")
        self.root.geometry("420x360")
        self.root.configure(bg="#f8f9fc")
        today = date.today()
        self.year = today.year
        self.month = today.month
        self._build_ui()
        self._draw_calendar()

    def _build_ui(self):
        title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
        title_frame.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(title_frame, text="カレンダー",
                 font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
                 bg="#3776ab", fg="white").pack()

        nav_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", pady=8)
        nav_frame.pack(fill=tk.X, padx=16)

        ttk.Button(nav_frame, text="◀", width=3, command=self.prev_month).pack(side=tk.LEFT)
        self.month_label = tk.Label(nav_frame, text="", font=("Noto Sans JP", 14, "bold"),
                                    bg="#f8f9fc", width=16, anchor="center")
        self.month_label.pack(side=tk.LEFT, expand=True)
        ttk.Button(nav_frame, text="▶", width=3, command=self.next_month).pack(side=tk.RIGHT)
        ttk.Button(nav_frame, text="今月", width=5, command=self.goto_today).pack(side=tk.RIGHT, padx=4)

        self.cal_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
        self.cal_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True, padx=16, pady=(0, 12))

    def _draw_calendar(self):
        for w in self.cal_frame.winfo_children():
            w.destroy()

        self.month_label.config(text=f"{self.year}年 {self.month}月")

        cal = calendar.monthcalendar(self.year, self.month)
        today = date.today()

        headers = ["月", "火", "水", "木", "金", "土", "日"]
        for col, h in enumerate(headers):
            color = "#e74c3c" if h == "日" else "#3776ab" if h == "土" else "#555"
            tk.Label(self.cal_frame, text=h, font=("Noto Sans JP", 11, "bold"),
                     bg="#f8f9fc", fg=color, width=4).grid(row=0, column=col, pady=(0, 4))

        for row, week in enumerate(cal):
            for col, day in enumerate(week):
                if day == 0:
                    tk.Label(self.cal_frame, text="", bg="#f8f9fc", width=4).grid(
                        row=row + 1, column=col)
                    continue
                is_today = (day == today.day and self.month == today.month
                            and self.year == today.year)
                fg = "#e74c3c" if col == 6 else "#3776ab" if col == 5 else "#222"
                bg = "#3776ab" if is_today else "#f8f9fc"
                text_fg = "white" if is_today else fg
                lbl = tk.Label(self.cal_frame, text=str(day),
                               font=("Noto Sans JP", 11, "bold" if is_today else "normal"),
                               bg=bg, fg=text_fg, width=4, relief="flat",
                               padx=2, pady=2)
                lbl.grid(row=row + 1, column=col, padx=1, pady=1)

    def prev_month(self):
        if self.month == 1:
            self.month = 12
            self.year -= 1
        else:
            self.month -= 1
        self._draw_calendar()

    def next_month(self):
        if self.month == 12:
            self.month = 1
            self.year += 1
        else:
            self.month += 1
        self._draw_calendar()

    def goto_today(self):
        today = date.today()
        self.year = today.year
        self.month = today.month
        self._draw_calendar()


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App18(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

カレンダー表示アプリのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App18 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド6個・全99行)。__init__ ではタイトル「カレンダー表示アプリ」とウィンドウサイズ 420x360 を設定します。そのあと _build_ui()_draw_calendar() の順に呼び出して初期状態を作ります。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×3・tk.Label×2(ほかにループでも生成)・ttk.Button×3 で構成しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「◀」ボタン(prev_month())・「▶」ボタン(next_month())・「今月」ボタン(goto_today())を command= で接続しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

例外処理を書いていない理由

このコードには try-except による例外処理がありません。テキスト入力欄がなくボタン操作だけで完結し、ファイルやネットワークへのアクセスも無い設計のため、例外を投げうる処理(型変換・ファイル/通信)がそもそも無いからです。入力欄やファイル保存を追加する改造をするときは、例外処理もセットで検討しましょう。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app18.py と保存します。使うのは calendardatetimetkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App18 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk()mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("カレンダー表示アプリ")geometry("420x360")configure(bg="#f8f9fc") をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×3・tk.Label×2(ほかにループでも生成)・ttk.Button×3 を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(prev_month()next_month()goto_today())につなぎます。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である prev_month()(7行)・next_month()(7行)・goto_today()(5行) を実装します。

  7. 7
    動作確認する

    python app18.py で起動し、各ボタンが反応することを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 結果をファイルに保存する

このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。

💡 配色をまとめて管理する

背景色 #f8f9fc をはじめ、色コードが各所に直書きされています。色を1つの辞書にまとめると、テーマの切り替えが1か所の変更で済むようになります。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。

❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない

原因:geometry("420x360") の固定サイズで起動するためです。

解決法:この数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は全アプリ共通の定型課題です)。

  1. 課題1:週番号を左端に表示する

    各週の行の左端に、その週がその年の第何週かを表示します。曜日と日付の列は1つ右へずらしてください。

    期待結果:◀ ▶ で 2026年9月 に合わせると、行の左端に上から 36 / 37 / 38 / 39 / 40 と並ぶ。

    合格条件

    • 曜日の見出し(月〜日)と日付の列がそろっている
    • 土曜が青・日曜が赤・今日が青背景という今の色分けが変わらない
    • 前月・翌月へ移動しても週番号が正しく付け替わる

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは _draw_calendar() だけです。column=col と書いているのは3か所(曜日見出し・空白セル・日付セル)で、この3つを column=col + 1 にしてから行頭にラベルを足します。
    ヒント②(使うもの): 週番号は date(self.year, self.month, 日).isocalendar()[1] で取得可能です。date は4行目で読み込み済みで、その週の日付は week リストに入っています。
    つまずきやすい点: 色を決めている col == 6(日曜)と col == 5(土曜)の判定は col のままで正しいので、書き換えないでください。week には 0(前月・翌月の空き)が混ざるため、0 以外の日を選んで週番号を計算します。

  2. 課題2:年と月を指定して移動できるようにする

    ◀ ▶ で1か月ずつ動かす代わりに、年と月を直接指定して移動できるようにします。範囲外の月を入れたときは警告を出し、表示は変えないでください。

    期待結果:年に 2030・月に 12 と入れて「移動」を押すと、2030年 12月 のカレンダーになる。

    合格条件

    • 月に 13 や 0 を入れても落ちず、表示はそのまま
    • 数字以外の文字を入れても落ちない
    • 移動したあとに「今月」を押すと今月へ戻る

    ヒント①(どこを触るか): 入力欄と「移動」ボタンは _build_ui()nav_frame(「今月」ボタンが並ぶ場所)に足します。移動の処理は self.yearself.month を書き換えて self._draw_calendar() を呼ぶ新しいメソッドにします。
    ヒント②(使うもの): 入力欄は ttk.Spinbox(nav_frame, from_=1, to=12, width=3) が手軽です。範囲外や数字以外は try/except ValueError で受け止め、messagebox.showwarning() で知らせます。
    つまずきやすい点: messagebox はこのコードでは読み込んでいないので、from tkinter import messagebox の追加が必要です。calendar.monthcalendar() に 13 を渡すと IllegalMonthErrorValueError の一種)になります。

  3. 課題3:キー操作に対応させる

    ボタンから呼んでいる prev_month() を、キーボードのキーからも呼べるようにしてみましょう。tkinter では bind を使ってキーイベントとメソッドを結び付けられます。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリにも挑戦してみましょう。

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