アラームクロック
指定時刻にアラームを鳴らすアプリ。after()による毎秒の時刻監視とwinsoundモジュールの使い方を学びます。
1. アプリ概要
指定時刻にアラームを鳴らすアプリ。after()による毎秒の時刻監視とwinsoundモジュールの使い方を学びます。
このアプリはツールカテゴリに分類される実践的なGUIアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ)・threading で、難易度は ★★☆ です。
このアプリは「ツール」カテゴリです。日々の作業を自動化する実用ツールは Python が最も得意とする領域です。短いコードで実用性のある成果物が作れる点が魅力です。tkinter(標準ライブラリ)・threading を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。
動かしながら読むことが理解の最短経路です。まずはコードをコピーして実行し、想定どおりに動くことを確認したうえで解説と照らし合わせてください。
カスタマイズでは「機能追加」「UI 改善」「エラー耐性」の三方向で考えると視野が広がります。練習問題にもそれぞれの方向の具体例を用意しています。
2. 機能一覧
- 「⏰ アラームをセット」ボタン(
toggle_alarm())で操作 after(1000, ...)による1000ミリ秒間隔の_tick()呼び出し(画面の自動更新)messagebox.showerror()・messagebox.showinfo()によるダイアログ通知- ウィンドウはタイトル「アラームクロック」・サイズ 420x400 で起動
3. 事前準備・環境
Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動を確認(通知音は Windows 以外では Tk の bell() で代替)
Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。通知音に使う winsound は Windows 専用の標準モジュールです。import を try-except で囲んでいるので、macOS・Linux では Tk の bell()(システムのビープ音)で代替します。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では、winsound が無い環境でも import で止まらずに起動することを確認しました。ビープ音が実際に鳴るところまでは確認していません。macOS は未検証です。
- Python 3.10 以上
- OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)/Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動を確認・鳴動音は未確認)/macOS は未検証
4. 完全なソースコード
右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, messagebox
from datetime import datetime
import threading
# winsound は Windows 専用。他の OS では ImportError になるので None にしておく
try:
import winsound
except ImportError:
winsound = None
class App24:
"""アラームクロック"""
def __init__(self, root):
self.root = root
self.root.title("アラームクロック")
self.root.geometry("420x400")
self.root.configure(bg="#111")
self.alarm_time = None
self.alarm_active = False
self._build_ui()
self._tick()
def _build_ui(self):
title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#111", pady=8)
title_frame.pack(fill=tk.X)
tk.Label(title_frame, text="アラームクロック",
font=("Noto Sans JP", 15, "bold"),
bg="#111", fg="#00ff88").pack()
# 現在時刻
self.clock_label = tk.Label(self.root, text="",
font=("Courier New", 48, "bold"),
bg="#111", fg="#00ff88")
self.clock_label.pack(pady=(4, 0))
self.date_label = tk.Label(self.root, text="",
font=("Noto Sans JP", 12),
bg="#111", fg="#555")
self.date_label.pack()
# アラーム設定
setting_frame = tk.Frame(self.root, bg="#222", padx=20, pady=14)
setting_frame.pack(fill=tk.X, pady=12)
tk.Label(setting_frame, text="アラーム設定", bg="#222",
font=("Noto Sans JP", 11, "bold"), fg="#aaa").pack(anchor="w")
time_row = tk.Frame(setting_frame, bg="#222")
time_row.pack(pady=(6, 0))
tk.Label(time_row, text="時:", bg="#222", fg="#ccc",
font=("Noto Sans JP", 12)).pack(side=tk.LEFT)
self.hour_var = tk.StringVar(value="07")
ttk.Spinbox(time_row, from_=0, to=23, textvariable=self.hour_var,
width=4, font=("Arial", 14), format="%02.0f").pack(side=tk.LEFT, padx=4)
tk.Label(time_row, text="分:", bg="#222", fg="#ccc",
font=("Noto Sans JP", 12)).pack(side=tk.LEFT, padx=(8, 0))
self.minute_var = tk.StringVar(value="00")
ttk.Spinbox(time_row, from_=0, to=59, textvariable=self.minute_var,
width=4, font=("Arial", 14), format="%02.0f").pack(side=tk.LEFT, padx=4)
self.set_btn = tk.Button(setting_frame, text="⏰ アラームをセット",
font=("Noto Sans JP", 12, "bold"),
bg="#3776ab", fg="white", activebackground="#2a5a8a",
relief=tk.FLAT, padx=12, pady=6,
command=self.toggle_alarm)
self.set_btn.pack(pady=(10, 0))
self.status_label = tk.Label(self.root, text="アラームは設定されていません",
bg="#111", fg="#666",
font=("Noto Sans JP", 11))
self.status_label.pack(pady=6)
def _tick(self):
now = datetime.now()
self.clock_label.config(text=now.strftime("%H:%M:%S"))
self.date_label.config(text=now.strftime("%Y年%m月%d日(") +
["月","火","水","木","金","土","日"][now.weekday()] + ")")
if self.alarm_active and self.alarm_time:
if now.strftime("%H:%M") == self.alarm_time:
self._fire_alarm()
self.root.after(1000, self._tick)
def toggle_alarm(self):
if self.alarm_active:
self.alarm_active = False
self.alarm_time = None
self.set_btn.config(text="⏰ アラームをセット", bg="#3776ab")
self.status_label.config(text="アラームは設定されていません", fg="#666")
else:
try:
h = int(self.hour_var.get())
m = int(self.minute_var.get())
except ValueError:
messagebox.showerror("エラー", "時刻を正しく入力してください")
return
self.alarm_time = f"{h:02d}:{m:02d}"
self.alarm_active = True
self.set_btn.config(text="❌ アラームを解除", bg="#e74c3c")
self.status_label.config(
text=f"アラーム設定済み: {self.alarm_time}", fg="#00ff88")
def _fire_alarm(self):
self.alarm_active = False
self.status_label.config(text="🔔 アラーム!", fg="#ff4444")
self.set_btn.config(text="⏰ アラームをセット", bg="#3776ab")
messagebox.showinfo("アラーム", f"⏰ {self.alarm_time} になりました!")
if winsound is not None:
threading.Thread(target=lambda: winsound.Beep(880, 1000), daemon=True).start()
else:
self.root.bell() # Windows 以外はシステムのビープ音で代替
if __name__ == "__main__":
root = tk.Tk()
app = App24(root)
root.mainloop()
5. コード解説
アラームクロックのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。
クラス設計とコンストラクタ
App24 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド5個・全121行)。__init__ ではタイトル「アラームクロック」とウィンドウサイズ 420x400 を設定します。あわせて状態を保持する変数(self.alarm_time・self.alarm_active)を初期化し、そのあと _build_ui() → _tick() の順に呼び出して初期状態を作ります。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
ウィジェット構成
画面は tk.Frame×3・tk.Label×7・ttk.Spinbox×2・tk.Button で構成しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
イベント処理とボタンの接続
「⏰ アラームをセット」ボタン(toggle_alarm())を command= で接続しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
after() による定期処理
_tick() の末尾で after(1000, ...) を呼び、1000ミリ秒後に自分自身の再実行を予約しています。tkinter では while ループで待つと画面が固まるため、この「予約の連鎖」で定期処理を作るのが定石です。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
例外処理
try-except で ImportError・ValueError を捕捉しています。あわせて messagebox.showerror()・messagebox.showinfo() のダイアログで、ユーザーへの通知・確認を行います。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
6. ステップバイステップガイド
このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。
-
1ファイルを作成する
新しいファイルを作成して app24.py と保存します。使うのは
datetime・threading・tkinter・winsoundだけなので、追加インストールは不要です。 -
2クラスの骨格を作る
App24クラスを定義し、__init__と、末尾のroot = tk.Tk()~mainloop()の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。 -
3ウィンドウを設定する
title("アラームクロック")・geometry("420x400")・configure(bg="#111")をコンストラクタで設定します。 -
4画面部品を並べる
_build_ui()の中で、tk.Frame×3・tk.Label×7・ttk.Spinbox×2・tk.Buttonを作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。 -
5イベントを接続する
「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを
command=で対応するメソッド(toggle_alarm())につなぎます。 -
6中心になるメソッドを実装する
アプリの本体である
_tick()(11行)・toggle_alarm()(18行)・_fire_alarm()(9行) を実装します。定期処理はafter(1000, ...)で自分自身を予約し続ける形にします。 -
7動作確認する
python app24.pyで起動し、各ボタンが反応すること・表示が自動で更新されることを確認します。
7. カスタマイズアイデア
基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。
💡 ダークモードを追加する
bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。
💡 更新間隔を変えてみる
after(1000, ...) の 1000 が更新間隔(ミリ秒)です。大きくすると更新頻度が下がって CPU 負荷が軽くなり、小さくすると更新が細かくなります(表示の刻み幅より細かくしても見た目は変わりません)。数値を変えて違いを確かめてみましょう。
💡 入力履歴機能
以前の入力値を覚えておいてComboboxのドロップダウンで再選択できる履歴機能を追加しましょう。
8. よくある問題と解決法
❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う
原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。
解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。
❌ 改造したら表示の更新が二重になった・速くなった
原因:_tick() は after(1000, ...) で自分自身を予約し続ける構造です。予約を止めずにもう一度開始経路を通ると、予約の連鎖が2本になり、更新が倍速になります。
解決法:開始処理の前に動作中かどうかをフラグで判定してください。
❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない
原因:geometry("420x400") の固定サイズで起動するためです。
解決法:この数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。
9. 練習問題
アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。このアプリはパソコンを起動してウィンドウを開いている間しか動きません。寝坊できない予定の目覚ましとしては使わないでください。
-
課題1:範囲外の時刻を弾く
時と分の欄はキーボードから自由に打ち込めます。いまは
25と入れてもそのまま設定でき、いつまでも鳴りません。0〜23 と 0〜59 の範囲だけを受け付けるようにしましょう。期待結果:時の欄に
25と打ってセットを押す。いまは「アラーム設定済み: 25:00」と緑で出るが、直したあとはエラーが出て「アラームは設定されていません」のまま。合格条件
25や-1を入れるとエラーが出て、設定されない- 範囲内の時刻は、いままでどおりセットできる
- 数字以外を入れたときのエラーも今までどおり出る
ヒント①(どこを触るか): 触るのは
toggle_alarm()の1か所です。except ValueErrorのブロックの直後、self.alarm_time = f"{h:02d}:{m:02d}"の手前に判定を入れます。_tick()と_fire_alarm()は触りません。
ヒント②(使うもの):if not (0 <= h <= 23) or not (0 <= m <= 59):で弾き、中でmessagebox.showerror("エラー", "時刻の範囲が違います")を出してreturnします。messageboxは2行目でインポート済みです。
つまずきやすい点: いまのtryが捕まえるのはint()の失敗だけです。25は数値として読めるのでexcept ValueErrorには入らず、範囲の判定を別に書く必要があります。-1のときはf"{-1:02d}"が-1になり、-1:00という文字列が保存されます。 -
課題2:ダイアログより先にアラーム音を鳴らす
いまは
messagebox.showinfoを先に呼んでいるため、OK を押すまで音が始まりません。音を先に鳴らし、鳴っている間にダイアログを出す順番へ直しましょう。期待結果:設定した時刻になる。いまはダイアログが出て、OK を押したあとにビープ音が鳴る。直したあとは音が先に鳴り、その最中にダイアログが出る。
合格条件
- 時刻になった瞬間に音が鳴り、ダイアログはそのあとに出る
- OK を押すとボタンが「⏰ アラームをセット」に戻る(いままでどおり)
winsoundが使えない環境でも、bell()の音がダイアログより先に鳴る
ヒント①(どこを触るか): 触るのは
_fire_alarm()の1か所です。if winsound is not None:からself.root.bell()までの4行を、messagebox.showinfo(...)の行より前へ移すだけです。
ヒント②(使うもの): 追加のモジュールは要りません。threading.Thread(..., daemon=True).start()はすぐ次の行へ進むので、1秒鳴らしている間にダイアログを出せます。
つまずきやすい点: 音を鳴らす部分をwinsound.Beep(880, 1000)だけに書き換えると、鳴っている1秒の間は画面が固まります。別スレッドにしているのは、これを避けるためです。self.alarm_active = Falseの行を消した場合は、同じ分のあいだ1秒ごとに_tick()が反応してダイアログが増え続けます。 -
課題3:保存機能の追加
入力値や計算結果をファイルに保存する機能を追加しましょう。jsonやcsvモジュールを使います。
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