初心者向け No.50

スネークゲーム

矢印キーで操作するクラシックなスネークゲーム。Canvasとキーボードイベントの本格的な活用を学びます。

🎯 難易度: ★★★ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) ⏱️ 制作時間: 30〜90分

1. アプリ概要

矢印キーで操作するクラシックなスネークゲーム。Canvasとキーボードイベントの本格的な活用を学びます。

このアプリはゲームカテゴリに分類される実践的なGUIアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ) で、難易度は ★★★ です。

このアプリは「ゲーム」カテゴリです。ゲーム実装は GUI イベント処理・状態管理・描画ループを同時に学べる教材で、画面・入力・ロジックの三層分離の感覚が掴めます。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。

完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。

カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。

スネークゲーム 実行画面(Windows)
実行画面(Windows)
スネークゲーム 実行画面(Linux Mint)
実行画面(Linux Mint)

2. 機能一覧

  • 「リスタート」ボタン(new_game())で操作
  • キー <Left> から change_dir() を実行
  • キー <Right> から change_dir() を実行
  • キー <Up> から change_dir() を実行
  • キー <Down> から change_dir() を実行
  • キー <a> から change_dir() を実行
  • キー <d> から change_dir() を実行
  • キー <w> から change_dir() を実行
  • キー <s> から change_dir() を実行
  • キー <space> から toggle_pause() を実行

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.10 以上
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app50.py
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, messagebox
import random


class App50:
    """スネークゲーム"""

    CELL = 20
    COLS = 20
    ROWS = 20
    SPEED = 150  # ms

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("スネークゲーム")
        self.root.configure(bg="#111")
        self.root.resizable(False, False)
        self._build_ui()
        self.new_game()

    def _build_ui(self):
        # ヘッダー
        header = tk.Frame(self.root, bg="#222", pady=6)
        header.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(header, text="🐍 スネークゲーム", font=("Noto Sans JP", 14, "bold"),
                 bg="#222", fg="#00ff88").pack(side=tk.LEFT, padx=12)
        self.score_label = tk.Label(header, text="スコア: 0", font=("Noto Sans JP", 12),
                                    bg="#222", fg="#fff")
        self.score_label.pack(side=tk.LEFT, padx=16)
        self.best_label = tk.Label(header, text="ベスト: 0", font=("Noto Sans JP", 10),
                                   bg="#222", fg="#aaa")
        self.best_label.pack(side=tk.LEFT)

        # キャンバス
        w = self.CELL * self.COLS
        h = self.CELL * self.ROWS
        self.canvas = tk.Canvas(self.root, width=w, height=h,
                                bg="#111", highlightthickness=0)
        self.canvas.pack(padx=8, pady=4)

        # フッター
        footer = tk.Frame(self.root, bg="#111", pady=4)
        footer.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(footer, text="矢印キー / WASD で操作  |  Space でポーズ",
                 bg="#111", fg="#555", font=("Noto Sans JP", 9)).pack(side=tk.LEFT, padx=12)
        ttk.Button(footer, text="リスタート", command=self.new_game).pack(side=tk.RIGHT, padx=8)

        # キーバインド
        self.root.bind("<Left>",  lambda e: self.change_dir((-1, 0)))
        self.root.bind("<Right>", lambda e: self.change_dir((1, 0)))
        self.root.bind("<Up>",    lambda e: self.change_dir((0, -1)))
        self.root.bind("<Down>",  lambda e: self.change_dir((0, 1)))
        self.root.bind("<a>", lambda e: self.change_dir((-1, 0)))
        self.root.bind("<d>", lambda e: self.change_dir((1, 0)))
        self.root.bind("<w>", lambda e: self.change_dir((0, -1)))
        self.root.bind("<s>", lambda e: self.change_dir((0, 1)))
        self.root.bind("<space>", lambda e: self.toggle_pause())

        self.best_score = 0
        self._after_id = None

    def new_game(self):
        if self._after_id:
            self.root.after_cancel(self._after_id)
        cx, cy = self.COLS // 2, self.ROWS // 2
        self.snake = [(cx, cy), (cx - 1, cy), (cx - 2, cy)]
        self.direction = (1, 0)
        self.next_dir = (1, 0)
        self.score = 0
        self.paused = False
        self.game_over = False
        self._place_food()
        self._draw()
        self._tick()

    def change_dir(self, d):
        dx, dy = d
        if (dx, dy) != (-self.direction[0], -self.direction[1]):
            self.next_dir = d

    def toggle_pause(self):
        if self.game_over:
            return
        self.paused = not self.paused
        if not self.paused:
            self._tick()

    def _place_food(self):
        free = [(x, y) for x in range(self.COLS) for y in range(self.ROWS)
                if (x, y) not in self.snake]
        self.food = random.choice(free)

    def _tick(self):
        if self.paused or self.game_over:
            return
        self.direction = self.next_dir
        head = (self.snake[0][0] + self.direction[0],
                self.snake[0][1] + self.direction[1])

        # 壁・自分に衝突
        if (head[0] < 0 or head[0] >= self.COLS or
                head[1] < 0 or head[1] >= self.ROWS or
                head in self.snake):
            self.game_over = True
            self._draw()
            return

        self.snake.insert(0, head)
        if head == self.food:
            self.score += 10
            if self.score > self.best_score:
                self.best_score = self.score
            self.score_label.config(text=f"スコア: {self.score}")
            self.best_label.config(text=f"ベスト: {self.best_score}")
            self._place_food()
        else:
            self.snake.pop()

        self._draw()
        speed = max(60, self.SPEED - self.score // 50 * 10)
        self._after_id = self.root.after(speed, self._tick)

    def _draw(self):
        self.canvas.delete("all")
        c = self.CELL

        # グリッド(薄く)
        for x in range(0, self.COLS * c, c):
            self.canvas.create_line(x, 0, x, self.ROWS * c, fill="#1a1a1a")
        for y in range(0, self.ROWS * c, c):
            self.canvas.create_line(0, y, self.COLS * c, y, fill="#1a1a1a")

        # フード
        fx, fy = self.food
        self.canvas.create_oval(fx*c+3, fy*c+3, (fx+1)*c-3, (fy+1)*c-3,
                                fill="#ff4444", outline="")

        # スネーク
        for i, (x, y) in enumerate(self.snake):
            color = "#00ff88" if i == 0 else "#00cc66" if i < 4 else "#009944"
            self.canvas.create_rectangle(x*c+1, y*c+1, (x+1)*c-1, (y+1)*c-1,
                                         fill=color, outline="")

        if self.game_over:
            self.canvas.create_rectangle(0, 0, self.COLS*c, self.ROWS*c,
                                         fill="", stipple="gray50", outline="")
            self.canvas.create_text(self.COLS*c//2, self.ROWS*c//2 - 20,
                                    text="GAME OVER", fill="white",
                                    font=("Arial", 24, "bold"))
            self.canvas.create_text(self.COLS*c//2, self.ROWS*c//2 + 20,
                                    text=f"スコア: {self.score}", fill="#aaa",
                                    font=("Arial", 14))

        if self.paused and not self.game_over:
            self.canvas.create_text(self.COLS*c//2, self.ROWS*c//2,
                                    text="PAUSE", fill="white",
                                    font=("Arial", 24, "bold"))


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App50(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

スネークゲームのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App50 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド8個・全164行)。__init__ ではタイトル「スネークゲーム」 を設定します。そのあと _build_ui()new_game() の順に呼び出して初期状態を作ります。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×2・tk.Label×4・tk.Canvasttk.Button で構成しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「リスタート」ボタン(new_game())を command= で接続しています。また bind("<Left>", ...) から change_dir()bind("<Right>", ...) から change_dir()bind("<Up>", ...) から change_dir()bind("<Down>", ...) から change_dir()bind("<a>", ...) から change_dir()bind("<d>", ...) から change_dir()bind("<w>", ...) から change_dir()bind("<s>", ...) から change_dir()bind("<space>", ...) から toggle_pause() を呼べるようにイベントも登録しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

クラス定数によるデータ定義

クラスの先頭でデータを定数として定義しています:CELL = 20COLS = 20。ロジックの中に直接書かず定数にまとめておくと、内容を変えたいときに1か所を書き換えるだけで済みます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

例外処理を書いていない理由

このコードには try-except による例外処理がありません。テキスト入力欄がなくボタン操作だけで完結し、ファイルやネットワークへのアクセスも無い設計のため、例外を投げうる処理(型変換・ファイル/通信)がそもそも無いからです。入力欄やファイル保存を追加する改造をするときは、例外処理もセットで検討しましょう。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app50.py と保存します。使うのは randomtkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App50 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk()mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("スネークゲーム")configure(bg="#111")resizable(False, False) をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×2・tk.Label×4・tk.Canvasttk.Button を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(new_game())につなぎます。bind("<Left>", ...)bind("<Right>", ...)bind("<Up>", ...)bind("<Down>", ...)bind("<a>", ...)bind("<d>", ...)bind("<w>", ...)bind("<s>", ...)bind("<space>", ...) の登録も忘れずに。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である _tick()(29行)・new_game()(13行)・toggle_pause()(6行)・change_dir()(4行) を実装します。

  7. 7
    動作確認する

    python app50.py で起動し、各ボタンが反応すること・キー操作(<Left><Right><Up><Down><a><d><w><s><space>)が効くことを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 クラス定数を書き換えて動きを変える

データはクラス定数(CELLCOLS)にまとまっています。中身を書き換えて動きが変わることを確かめましょう。複数の定数が対応関係にある場合は、セットで整合させる必要がある点に注意してください。

💡 結果をファイルに保存する

このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。

<Left> キーを押しても反応しない

原因:bind("<Left>", ...) はウィジェット単位で登録されるため、ウィンドウ(またはバインド先)にキーボードフォーカスが無いとイベントが届きません。

解決法:一度ウィンドウ内をクリックしてフォーカスを与えてから、キーを押してください。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。どちらの課題も新しいライブラリは要りません(起動して矢印キーと Space キーを押すだけで確かめられます)。

  1. 課題1:ポーズ中に「PAUSE」の文字を出す

    Space キーを押すとヘビは止まりますが、画面には何の合図も出ません。止まっていることが分かるよう、盤面の中央に文字を出しましょう。

    期待結果:ゲーム中に Space を押すとヘビが止まり、盤面の中央に白い「PAUSE」の文字が出る。もう一度 Space を押すと文字が消えて動き出す。いまは止まるだけで文字は出ない

    合格条件

    • ポーズ中もヘビとフードは消えずに残っている
    • もう一度 Space を押すと文字が消えて動き出す
    • 「GAME OVER」が出ているときに Space を押しても「PAUSE」は出ない

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。toggle_pause()self.paused = not self.paused の次の行に、描き直しの呼び出しを1行足します。
    ヒント②(使うもの): 文字を描く処理は _draw() の最後に if self.paused and not self.game_over: として用意済みで、いまは呼ばれていないだけです。self._draw() を足せば、そのまま「PAUSE」が出ます。
    つまずきやすい点: _tick() の先頭は if self.paused or self.game_over:_draw() を呼ぶ手前に戻ります。そのため Space を押しても描き直しは起きず、用意されている文字が画面に出ません。足す位置を if not self.paused: の中にすると、ポーズを解除したときだけ描き直すので「PAUSE」は出ないままです。

  2. 課題2:壁でぶつからず反対側から出てくるようにする

    いまは盤面の端に着いた時点でゲームオーバーです。壁を抜けて反対側から出てくる遊び方に変えてみましょう。

    期待結果:右へ進んで右端に着いてもゲームオーバーにならず、左端から出てくる。上下左右のどの端でも同じように反対側へ回り込む

    合格条件

    • 四方向すべてで反対側から出てくる
    • 自分の体に当たったときは今までどおり「GAME OVER」になる
    • スコアとベストの表示は今までどおり増える

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。_tick() の中で次の頭の位置を作っている2行(head = (self.snake[0][0] + self.direction[0], から始まる2行)です。
    ヒント②(使うもの): 横は % self.COLS、縦は % self.ROWS で折り返せます。Python では -1 % 2019 になるため、左端から出たときも右端へ回ります。壁の判定(head[0] < 0 など)は折り返したあとの座標では成り立たないので、消しても残しても動きは同じです。
    つまずきやすい点: head はタプルなので、あとから head[0] = self.COLS - 1 のように書き換えようとすると TypeError: 'tuple' object does not support item assignment が出ます。位置を作る式の中で % を掛けるのが簡単です。なお head in self.snake の自己衝突の判定まで消すと、体の上を通り抜けられてゲームが終わらなくなります。

  3. 課題3:新しいボタンを追加する

    既存のボタンと同じ書き方で新しいボタンを1つ足し、押されたときに動くメソッドを自作してみましょう。ボタンの作成と command= の接続がセットで身に付きます。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリにも挑戦してみましょう。

🐛
エラーが出て動かないときは

写経中に赤いエラー文が出たら、Pythonエラー一覧&解決法(英語メッセージ逆引き)で原因と直し方をすぐ確認できます。

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