神経衰弱ゲーム
カードをめくってペアを探す神経衰弱ゲーム。Buttonの動的生成とゲームロジックの実装を学びます。
1. アプリ概要
カードをめくってペアを探す神経衰弱ゲーム。Buttonの動的生成とゲームロジックの実装を学びます。
このアプリはゲームカテゴリに分類される実践的なGUIアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ) で、難易度は ★★☆ です。
このアプリは「ゲーム」カテゴリです。ゲーム実装は GUI イベント処理・状態管理・描画ループを同時に学べる教材で、画面・入力・ロジックの三層分離の感覚が掴めます。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。
完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。
カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。
2. 機能一覧
- ループで生成するボタン群を
flip()に接続 - 「新しいゲーム」ボタン(
new_game())で操作 messagebox.showinfo()によるダイアログ通知- ウィンドウはタイトル「神経衰弱ゲーム」・サイズ 480x605 で起動
3. 事前準備・環境
Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)
Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。
- Python 3.10 以上
- OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)
4. 完全なソースコード
右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, messagebox
import random
class App46:
"""神経衰弱ゲーム"""
EMOJIS = ["🐍", "🐍", "🦊", "🦊", "🐻", "🐻", "🦁", "🦁",
"🐘", "🐘", "🦋", "🦋", "🦄", "🦄", "🐬", "🐬"]
def __init__(self, root):
self.root = root
self.root.title("神経衰弱ゲーム")
self.root.geometry("480x605")
self.root.minsize(480, 605)
self.root.configure(bg="#f8f9fc")
self._build_ui()
self.new_game()
def _build_ui(self):
title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
title_frame.pack(fill=tk.X)
tk.Label(title_frame, text="神経衰弱ゲーム",
font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
bg="#3776ab", fg="white").pack()
top = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=16, pady=6)
top.pack(fill=tk.X)
self.score_label = tk.Label(top, text="ペア: 0/8 試行: 0",
bg="#f8f9fc", font=("Noto Sans JP", 11), fg="#555")
self.score_label.pack(side=tk.LEFT)
ttk.Button(top, text="新しいゲーム", command=self.new_game).pack(side=tk.RIGHT)
self.grid_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
self.grid_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True, padx=16, pady=8)
self.status_label = tk.Label(self.root, text="カードをクリックしてください",
bg="#f8f9fc", font=("Noto Sans JP", 12), fg="#888")
self.status_label.pack(pady=4)
def new_game(self):
for w in self.grid_frame.winfo_children():
w.destroy()
self.cards_values = random.sample(self.EMOJIS, 16)
self.revealed = [False] * 16
self.matched = [False] * 16
self.selected = []
self.pairs = 0
self.tries = 0
self.locked = False
self.buttons = []
for i in range(16):
btn = tk.Button(self.grid_frame, text="❓",
font=("Segoe UI Emoji", 22),
width=4, height=2,
bg="white", activebackground="#dceeff",
relief=tk.RAISED, bd=2,
command=lambda x=i: self.flip(x))
row, col = divmod(i, 4)
btn.grid(row=row, column=col, padx=4, pady=4)
self.buttons.append(btn)
for i in range(4):
self.grid_frame.columnconfigure(i, weight=1)
self._update_score()
self.status_label.config(text="カードをクリックしてください", fg="#888")
def flip(self, idx):
if self.locked or self.revealed[idx] or self.matched[idx]:
return
self.revealed[idx] = True
self.buttons[idx].config(text=self.cards_values[idx], bg="#fff9c4")
self.selected.append(idx)
if len(self.selected) == 2:
self.locked = True
self.tries += 1
self.root.after(800, self.check_pair)
def check_pair(self):
a, b = self.selected
if self.cards_values[a] == self.cards_values[b]:
self.matched[a] = self.matched[b] = True
self.buttons[a].config(bg="#d4edda")
self.buttons[b].config(bg="#d4edda")
self.pairs += 1
self.status_label.config(text="✅ ペア!", fg="#27ae60")
if self.pairs == 8:
self.root.after(400, self._finish)
else:
self.revealed[a] = self.revealed[b] = False
self.buttons[a].config(text="❓", bg="white")
self.buttons[b].config(text="❓", bg="white")
self.status_label.config(text="❌ 違います", fg="#e74c3c")
self.selected = []
self.locked = False
self._update_score()
def _update_score(self):
self.score_label.config(text=f"ペア: {self.pairs}/8 試行: {self.tries}")
def _finish(self):
messagebox.showinfo("クリア!",
f"🎉 全ペアを見つけました!\n試行回数: {self.tries}回")
if __name__ == "__main__":
root = tk.Tk()
app = App46(root)
root.mainloop()
5. コード解説
神経衰弱ゲームのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。
クラス設計とコンストラクタ
App46 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド7個・全115行)。__init__ ではタイトル「神経衰弱ゲーム」とウィンドウサイズ 480x605 を設定します。そのあと _build_ui() → new_game() の順に呼び出して初期状態を作ります。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
ウィジェット構成
画面は tk.Frame×3・tk.Label×3・ttk.Button・tk.Button×16(ループで生成) で構成しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
イベント処理とボタンの接続
「新しいゲーム」ボタン(new_game())を command= で接続しています。ボタンはループ内で command=lambda x=i: self.flip(x) の形で生成しています。既定引数でループ変数を固定するのがポイントで、これを書かないと全ボタンが最後の値で動いてしまいます。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
クラス定数によるデータ定義
クラスの先頭でデータを定数として定義しています:EMOJIS = ['🐍', '🐍', '🦊', '🦊', '🐻', '🐻', '🦁', '🦁', '🐘', '🐘', '🦋', '🦋', '🦄', '🦄', '🐬', '🐬']。ロジックの中に直接書かず定数にまとめておくと、内容を変えたいときに1か所を書き換えるだけで済みます。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
例外処理を書いていない理由
このコードには try-except による例外処理がありません。テキスト入力欄がなくボタン操作だけで完結し、ファイルやネットワークへのアクセスも無い設計のため、例外を投げうる処理(型変換・ファイル/通信)がそもそも無いからです。入力欄やファイル保存を追加する改造をするときは、例外処理もセットで検討しましょう。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
6. ステップバイステップガイド
このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。
-
1ファイルを作成する
新しいファイルを作成して app46.py と保存します。使うのは
random・tkinterだけなので、追加インストールは不要です。 -
2クラスの骨格を作る
App46クラスを定義し、__init__と、末尾のroot = tk.Tk()~mainloop()の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。 -
3ウィンドウを設定する
title("神経衰弱ゲーム")・geometry("480x605")・configure(bg="#f8f9fc")・minsize(480, 605)をコンストラクタで設定します。 -
4画面部品を並べる
_build_ui()の中で、tk.Frame×3・tk.Label×3・ttk.Button・tk.Button×16(ループで生成) を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。 -
5イベントを接続する
「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを
command=で対応するメソッド(new_game())につなぎます。ループ生成のボタンはcommand=lambda x=i: self.flip(x)の形で接続します。 -
6中心になるメソッドを実装する
アプリの本体である
check_pair()(19行)・_finish()(3行)・new_game()(29行)・flip()(11行) を実装します。 -
7動作確認する
python app46.pyで起動し、各ボタンが反応することを確認します。
7. カスタマイズアイデア
基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。
💡 ダークモードを追加する
bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。
💡 クラス定数を書き換えて動きを変える
データはクラス定数(EMOJIS)にまとまっています。中身を書き換えて動きが変わることを確かめましょう。複数の定数が対応関係にある場合は、セットで整合させる必要がある点に注意してください。
💡 結果をファイルに保存する
このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。
8. よくある問題と解決法
❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う
原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。
解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。
❌ 写経したら全部のボタンが同じ動きになる
原因:ループでボタンを作るとき、このコードは command=lambda x=i: self.flip(x) のように既定引数でループ変数を固定しています。これを省略してループ変数を直接書くと、ループ終了後の最後の値が全ボタンで共有されてしまいます(Python のクロージャの有名な罠です)。
解決法:掲載コードのとおり、lambda の既定引数でその時点の値を渡してください。
❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない
原因:geometry("480x605") の固定サイズで起動するためです。
解決法:geometry() と minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(480, 605) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。
9. 練習問題
アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。
-
課題1:カードの枚数を EMOJIS から自動で決める
いまのコードは16枚・8ペアを前提に、数字が何か所も直接書かれています。
EMOJISを12個(6ペア)に減らすと起動できません。random.sample()がValueErrorになるためです。枚数とペア数をEMOJISから計算するように変えましょう。期待結果:
EMOJISを12個(6ペア)にして起動すると、カードが3行×4列で並び、表示が「ペア: 0/6」に変わる。6組そろえるとクリアのダイアログが出る。合格条件
EMOJISを12個にしても16個に戻しても、ほかを直さずに遊べる- 12個のときの表示が「ペア: 0/6」になる
- 全部そろえるとクリアのダイアログが出る
ヒント①(どこを触るか): 触るのは6か所です。枚数の 16 は
random.sample()・revealed・matched・for i in range(16)の4か所にあります。ペア数の 8 はif self.pairs == 8と_update_score()の2か所です。divmod(i, 4)とcolumnconfigureの 4 は列数なので、そのままで構いません。score_labelの初期テキストにも 8 が入っています。起動時に_update_score()が上書きするため、画面には出ません(直すのは任意)。
ヒント②(使うもの): 枚数はlen(self.EMOJIS)、ペア数はlen(self.EMOJIS) // 2で求まります。random.sample(self.EMOJIS, len(self.EMOJIS))は「全部の札を並べ替える」という意味になります。
つまずきやすい点:EMOJISは同じ絵柄を2つずつ並べたリストです。1種類だけ足すと枚数が奇数になり、// 2で求めたペア数と合わなくなります。枚数が4の倍数でないと、最後の行だけ列がそろいません。 -
課題2:判定待ちの途中で「新しいゲーム」を押しても落ちないようにする
2枚めくると
flip()がafter(800, self.check_pair)で判定を予約します。その0.8秒の間に「新しいゲーム」を押すと、selectedは空に戻された状態です。あとから動いたcheck_pair()のa, b = self.selectedはValueErrorになります。予約を取り消して、この例外を防ぐのが課題です。期待結果:カードを2枚めくってすぐ「新しいゲーム」を押しても、コンソールに
ValueErrorが出ない。新しい盤面をそのまま遊べる。合格条件
- 2枚めくった直後に「新しいゲーム」を押してもエラーが出ない
- ふつうにめくったときは、今までどおり0.8秒後にペア判定が動く
- 「新しいゲーム」を続けて2回押してもエラーにならない
ヒント①(どこを触るか): 触るのは3か所です。①は
__init__()でself.pair_job = Noneを用意。②はflip()のafter(800, ...)の戻り値を、その変数へ代入。③はnew_game()の先頭で取り消し。new_game()は__init__()から呼ばれるので、用意する行はその呼び出しより前に置いてください。
ヒント②(使うもの):after()の戻り値が予約IDです。取り消しはself.root.after_cancel(self.pair_job)で、済んだらNoneに戻しておきます。
つまずきやすい点: 予約が無いのにafter_cancel(None)を呼ぶとValueErrorになります。if self.pair_job:で確かめてから呼んでください。check_pair()の中身は変えずに、この3か所だけで直せます。 -
課題3:キー操作に対応させる
ボタンから呼んでいる
new_game()を、キーボードのキーからも呼べるようにしてみましょう。tkinter では bind を使ってキーイベントとメソッドを結び付けられます。
写経中に赤いエラー文が出たら、Pythonエラー一覧&解決法(英語メッセージ逆引き)で原因と直し方をすぐ確認できます。
写経しながら「なぜこう書くのか」が気になり始めたら、入門書を1冊通して読むと断片的な知識がつながります。Python入門書のおすすめ2冊(当サイトの参考書ランキング総合1〜2位)で、独学者向けの最初の1冊を比較しています。