初心者向け No.46

神経衰弱ゲーム

カードをめくってペアを探す神経衰弱ゲーム。Buttonの動的生成とゲームロジックの実装を学びます。

🎯 難易度: ★★☆ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) ⏱️ 制作時間: 30〜90分

1. アプリ概要

カードをめくってペアを探す神経衰弱ゲーム。Buttonの動的生成とゲームロジックの実装を学びます。

このアプリはゲームカテゴリに分類される実践的なGUIアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ) で、難易度は ★★☆ です。

このアプリは「ゲーム」カテゴリです。ゲーム実装は GUI イベント処理・状態管理・描画ループを同時に学べる教材で、画面・入力・ロジックの三層分離の感覚が掴めます。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。

完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。

カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。

神経衰弱ゲーム 実行画面(Windows)
実行画面(Windows)
神経衰弱ゲーム 実行画面(Linux Mint)
実行画面(Linux Mint)

2. 機能一覧

  • ループで生成するボタン群を flip() に接続
  • 「新しいゲーム」ボタン(new_game())で操作
  • messagebox.showinfo() によるダイアログ通知
  • ウィンドウはタイトル「神経衰弱ゲーム」・サイズ 480x605 で起動

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.10 以上
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app46.py
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, messagebox
import random


class App46:
    """神経衰弱ゲーム"""

    EMOJIS = ["🐍", "🐍", "🦊", "🦊", "🐻", "🐻", "🦁", "🦁",
              "🐘", "🐘", "🦋", "🦋", "🦄", "🦄", "🐬", "🐬"]

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("神経衰弱ゲーム")
        self.root.geometry("480x605")
        self.root.minsize(480, 605)
        self.root.configure(bg="#f8f9fc")
        self._build_ui()
        self.new_game()

    def _build_ui(self):
        title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
        title_frame.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(title_frame, text="神経衰弱ゲーム",
                 font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
                 bg="#3776ab", fg="white").pack()

        top = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=16, pady=6)
        top.pack(fill=tk.X)
        self.score_label = tk.Label(top, text="ペア: 0/8  試行: 0",
                                    bg="#f8f9fc", font=("Noto Sans JP", 11), fg="#555")
        self.score_label.pack(side=tk.LEFT)
        ttk.Button(top, text="新しいゲーム", command=self.new_game).pack(side=tk.RIGHT)

        self.grid_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
        self.grid_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True, padx=16, pady=8)

        self.status_label = tk.Label(self.root, text="カードをクリックしてください",
                                     bg="#f8f9fc", font=("Noto Sans JP", 12), fg="#888")
        self.status_label.pack(pady=4)

    def new_game(self):
        for w in self.grid_frame.winfo_children():
            w.destroy()

        self.cards_values = random.sample(self.EMOJIS, 16)
        self.revealed = [False] * 16
        self.matched = [False] * 16
        self.selected = []
        self.pairs = 0
        self.tries = 0
        self.locked = False
        self.buttons = []

        for i in range(16):
            btn = tk.Button(self.grid_frame, text="❓",
                            font=("Segoe UI Emoji", 22),
                            width=4, height=2,
                            bg="white", activebackground="#dceeff",
                            relief=tk.RAISED, bd=2,
                            command=lambda x=i: self.flip(x))
            row, col = divmod(i, 4)
            btn.grid(row=row, column=col, padx=4, pady=4)
            self.buttons.append(btn)

        for i in range(4):
            self.grid_frame.columnconfigure(i, weight=1)

        self._update_score()
        self.status_label.config(text="カードをクリックしてください", fg="#888")

    def flip(self, idx):
        if self.locked or self.revealed[idx] or self.matched[idx]:
            return
        self.revealed[idx] = True
        self.buttons[idx].config(text=self.cards_values[idx], bg="#fff9c4")
        self.selected.append(idx)

        if len(self.selected) == 2:
            self.locked = True
            self.tries += 1
            self.root.after(800, self.check_pair)

    def check_pair(self):
        a, b = self.selected
        if self.cards_values[a] == self.cards_values[b]:
            self.matched[a] = self.matched[b] = True
            self.buttons[a].config(bg="#d4edda")
            self.buttons[b].config(bg="#d4edda")
            self.pairs += 1
            self.status_label.config(text="✅ ペア!", fg="#27ae60")
            if self.pairs == 8:
                self.root.after(400, self._finish)
        else:
            self.revealed[a] = self.revealed[b] = False
            self.buttons[a].config(text="❓", bg="white")
            self.buttons[b].config(text="❓", bg="white")
            self.status_label.config(text="❌ 違います", fg="#e74c3c")

        self.selected = []
        self.locked = False
        self._update_score()

    def _update_score(self):
        self.score_label.config(text=f"ペア: {self.pairs}/8  試行: {self.tries}")

    def _finish(self):
        messagebox.showinfo("クリア!",
                            f"🎉 全ペアを見つけました!\n試行回数: {self.tries}回")


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App46(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

神経衰弱ゲームのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App46 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド7個・全115行)。__init__ ではタイトル「神経衰弱ゲーム」とウィンドウサイズ 480x605 を設定します。そのあと _build_ui()new_game() の順に呼び出して初期状態を作ります。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×3・tk.Label×3・ttk.Buttontk.Button×16(ループで生成) で構成しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「新しいゲーム」ボタン(new_game())を command= で接続しています。ボタンはループ内で command=lambda x=i: self.flip(x) の形で生成しています。既定引数でループ変数を固定するのがポイントで、これを書かないと全ボタンが最後の値で動いてしまいます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

クラス定数によるデータ定義

クラスの先頭でデータを定数として定義しています:EMOJIS = ['🐍', '🐍', '🦊', '🦊', '🐻', '🐻', '🦁', '🦁', '🐘', '🐘', '🦋', '🦋', '🦄', '🦄', '🐬', '🐬']。ロジックの中に直接書かず定数にまとめておくと、内容を変えたいときに1か所を書き換えるだけで済みます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

例外処理を書いていない理由

このコードには try-except による例外処理がありません。テキスト入力欄がなくボタン操作だけで完結し、ファイルやネットワークへのアクセスも無い設計のため、例外を投げうる処理(型変換・ファイル/通信)がそもそも無いからです。入力欄やファイル保存を追加する改造をするときは、例外処理もセットで検討しましょう。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app46.py と保存します。使うのは randomtkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App46 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk()mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("神経衰弱ゲーム")geometry("480x605")configure(bg="#f8f9fc")minsize(480, 605) をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×3・tk.Label×3・ttk.Buttontk.Button×16(ループで生成) を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(new_game())につなぎます。ループ生成のボタンは command=lambda x=i: self.flip(x) の形で接続します。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である check_pair()(19行)・_finish()(3行)・new_game()(29行)・flip()(11行) を実装します。

  7. 7
    動作確認する

    python app46.py で起動し、各ボタンが反応することを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 クラス定数を書き換えて動きを変える

データはクラス定数(EMOJIS)にまとまっています。中身を書き換えて動きが変わることを確かめましょう。複数の定数が対応関係にある場合は、セットで整合させる必要がある点に注意してください。

💡 結果をファイルに保存する

このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。

❌ 写経したら全部のボタンが同じ動きになる

原因:ループでボタンを作るとき、このコードは command=lambda x=i: self.flip(x) のように既定引数でループ変数を固定しています。これを省略してループ変数を直接書くと、ループ終了後の最後の値が全ボタンで共有されてしまいます(Python のクロージャの有名な罠です)。

解決法:掲載コードのとおり、lambda の既定引数でその時点の値を渡してください。

❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない

原因:geometry("480x605") の固定サイズで起動するためです。

解決法:geometry()minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(480, 605) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。

  1. 課題1:カードの枚数を EMOJIS から自動で決める

    いまのコードは16枚・8ペアを前提に、数字が何か所も直接書かれています。EMOJIS を12個(6ペア)に減らすと起動できません。random.sample()ValueError になるためです。枚数とペア数を EMOJIS から計算するように変えましょう。

    期待結果EMOJIS を12個(6ペア)にして起動すると、カードが3行×4列で並び、表示が「ペア: 0/6」に変わる。6組そろえるとクリアのダイアログが出る。

    合格条件

    • EMOJIS を12個にしても16個に戻しても、ほかを直さずに遊べる
    • 12個のときの表示が「ペア: 0/6」になる
    • 全部そろえるとクリアのダイアログが出る

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは6か所です。枚数の 16 は random.sample()revealedmatchedfor i in range(16) の4か所にあります。ペア数の 8 は if self.pairs == 8_update_score() の2か所です。divmod(i, 4)columnconfigure の 4 は列数なので、そのままで構いません。score_label の初期テキストにも 8 が入っています。起動時に _update_score() が上書きするため、画面には出ません(直すのは任意)。
    ヒント②(使うもの): 枚数は len(self.EMOJIS)、ペア数は len(self.EMOJIS) // 2 で求まります。random.sample(self.EMOJIS, len(self.EMOJIS)) は「全部の札を並べ替える」という意味になります。
    つまずきやすい点: EMOJIS は同じ絵柄を2つずつ並べたリストです。1種類だけ足すと枚数が奇数になり、// 2 で求めたペア数と合わなくなります。枚数が4の倍数でないと、最後の行だけ列がそろいません。

  2. 課題2:判定待ちの途中で「新しいゲーム」を押しても落ちないようにする

    2枚めくると flip()after(800, self.check_pair) で判定を予約します。その0.8秒の間に「新しいゲーム」を押すと、selected は空に戻された状態です。あとから動いた check_pair()a, b = self.selectedValueError になります。予約を取り消して、この例外を防ぐのが課題です。

    期待結果:カードを2枚めくってすぐ「新しいゲーム」を押しても、コンソールに ValueError が出ない。新しい盤面をそのまま遊べる。

    合格条件

    • 2枚めくった直後に「新しいゲーム」を押してもエラーが出ない
    • ふつうにめくったときは、今までどおり0.8秒後にペア判定が動く
    • 「新しいゲーム」を続けて2回押してもエラーにならない

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは3か所です。①は __init__()self.pair_job = None を用意。②は flip()after(800, ...) の戻り値を、その変数へ代入。③は new_game() の先頭で取り消し。new_game()__init__() から呼ばれるので、用意する行はその呼び出しより前に置いてください。
    ヒント②(使うもの): after() の戻り値が予約IDです。取り消しは self.root.after_cancel(self.pair_job) で、済んだら None に戻しておきます。
    つまずきやすい点: 予約が無いのに after_cancel(None) を呼ぶと ValueError になります。if self.pair_job: で確かめてから呼んでください。check_pair() の中身は変えずに、この3か所だけで直せます。

  3. 課題3:キー操作に対応させる

    ボタンから呼んでいる new_game() を、キーボードのキーからも呼べるようにしてみましょう。tkinter では bind を使ってキーイベントとメソッドを結び付けられます。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリにも挑戦してみましょう。

🐛
エラーが出て動かないときは

写経中に赤いエラー文が出たら、Pythonエラー一覧&解決法(英語メッセージ逆引き)で原因と直し方をすぐ確認できます。

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