四則演算ドリル
ランダムな計算問題を出題して正誤判定・スコア表示するドリルアプリ。難易度設定と制限時間モード付き。
1. アプリ概要
ランダムな計算問題を出題して正誤判定・スコア表示するドリルアプリ。難易度設定と制限時間モード付き。
このアプリはtoolsカテゴリの実践的なPythonアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ)、難易度は ★☆☆ です。
このアプリは「ツール」カテゴリです。日々の作業を自動化する実用ツールは Python が最も得意とする領域です。短いコードで実用性のある成果物が作れる点が魅力です。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。
コピー&実行で動作確認 → コード解説で構造理解 → カスタマイズで応用、の 3 ステップで進めると、短時間で本質を押さえられます。
アプリを完成させた後は、自分の使い方に合わせて改造するのが学びを定着させる近道です。カスタマイズ章のアイデアを足がかりに、独自機能を一つ追加してみてください。
2. 機能一覧
- 「スタート」ボタン(
start())・「回答」ボタン(_answer())・「次の問題」ボタン(next_question())で操作 - キー
<Return>から_answer()を実行 after(500, ...)による500ミリ秒間隔の_tick()呼び出し(画面の自動更新)messagebox.showinfo()によるダイアログ通知- ウィンドウはタイトル「四則演算ドリル」・サイズ 560x460 で起動
3. 事前準備・環境
Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)
Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。
- Python 3.10 以上
- OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)
4. 完全なソースコード
右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。
import operator
import random
import time
import tkinter as tk
from tkinter import messagebox, ttk
OPS = {
"+": (operator.add, "+"),
"-": (operator.sub, "-"),
"×": (operator.mul, "×"),
"÷": (operator.floordiv, "÷"),
}
class App059:
"""四則演算ドリル"""
def __init__(self, root):
self.root = root
self.root.title("四則演算ドリル")
self.root.geometry("560x460")
self.root.configure(bg="#f8f9fc")
self.score = 0
self.total = 0
self.start_ts = None
self.time_limit = 60
self.timed = False
self.running = False
self.current = None # (a, op, b, ans)
self._build_ui()
def _build_ui(self):
"""UI を構築する"""
title = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
title.pack(fill=tk.X)
tk.Label(title, text="四則演算ドリル", font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
bg="#3776ab", fg="white").pack()
opt = ttk.LabelFrame(self.root, text="設定", padding=8)
opt.pack(fill=tk.X, padx=15, pady=8)
ttk.Label(opt, text="難易度:").grid(row=0, column=0, padx=4)
self.level_var = tk.StringVar(value="ふつう")
ttk.Combobox(opt, textvariable=self.level_var, state="readonly", width=10,
values=["かんたん", "ふつう", "むずかしい"]).grid(row=0, column=1, padx=4)
ttk.Label(opt, text="演算:").grid(row=0, column=2, padx=4)
self.op_vars = {}
for i, sym in enumerate("+-×÷"):
v = tk.IntVar(value=1)
self.op_vars[sym] = v
ttk.Checkbutton(opt, text=sym, variable=v).grid(row=0, column=3 + i, padx=2)
self.timed_var = tk.IntVar(value=0)
ttk.Checkbutton(opt, text="制限時間モード(60秒)",
variable=self.timed_var).grid(row=0, column=8, padx=10)
score = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
score.pack(fill=tk.X, pady=4)
self.score_label = tk.Label(score, text="正解 0 / 0",
font=("Noto Sans JP", 12, "bold"),
bg="#f8f9fc", fg="#3776ab")
self.score_label.pack(side=tk.LEFT, padx=20)
self.time_label = tk.Label(score, text="", bg="#f8f9fc",
font=("Noto Sans JP", 12))
self.time_label.pack(side=tk.RIGHT, padx=20)
self.q_label = tk.Label(self.root, text="スタートを押してね",
font=("Noto Sans JP", 28, "bold"),
bg="white", relief=tk.GROOVE, pady=20)
self.q_label.pack(fill=tk.X, padx=20, pady=10)
self.entry = ttk.Entry(self.root, font=("Arial", 18),
justify="center", width=10)
self.entry.pack()
self.entry.bind("<Return>", lambda e: self._answer())
btns = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
btns.pack(pady=10)
ttk.Button(btns, text="スタート", command=self.start).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
ttk.Button(btns, text="回答", command=self._answer).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
ttk.Button(btns, text="次の問題", command=self.next_question).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
self.fb = tk.Label(self.root, text="", bg="#f8f9fc",
font=("Noto Sans JP", 12))
self.fb.pack()
def _range(self):
"""難易度に応じた数値範囲を返す"""
level = self.level_var.get()
if level == "かんたん":
return 1, 10
if level == "むずかしい":
return 10, 99
return 1, 30
def _allowed_ops(self):
"""選択中の演算子記号一覧を返す"""
ops = [s for s, v in self.op_vars.items() if v.get()]
return ops or ["+"]
def start(self):
"""ドリルを開始する"""
self.score = 0
self.total = 0
self.score_label.config(text="正解 0 / 0")
self.timed = bool(self.timed_var.get())
self.start_ts = time.time()
self.running = True
self.next_question()
if self.timed:
self._tick()
def next_question(self):
"""新しい問題を作成する"""
if not self.running:
self.start()
return
lo, hi = self._range()
sym = random.choice(self._allowed_ops())
op_func, _ = OPS[sym]
a = random.randint(lo, hi)
b = random.randint(lo, hi)
if sym == "-" and a < b:
a, b = b, a
if sym == "÷":
# 整数除算でも余りが出ないように調整
b = max(1, b)
ans = random.randint(lo, hi)
a = b * ans
ans = op_func(a, b)
self.current = (a, sym, b, ans)
self.q_label.config(text=f"{a} {sym} {b} = ?")
self.entry.delete(0, tk.END)
self.entry.focus_set()
self.fb.config(text="")
def _answer(self):
"""回答を判定する"""
if not self.running or self.current is None:
return
try:
user = int(self.entry.get().strip())
except ValueError:
self.fb.config(text="数値で入力してください", fg="red")
return
a, sym, b, ans = self.current
self.total += 1
if user == ans:
self.score += 1
self.fb.config(text="正解!", fg="green")
else:
self.fb.config(text=f"不正解。正解: {ans}", fg="red")
self.score_label.config(text=f"正解 {self.score} / {self.total}")
self.root.after(700, self.next_question)
def _tick(self):
"""残り時間を更新する"""
if not (self.running and self.timed):
return
remain = self.time_limit - int(time.time() - self.start_ts)
if remain <= 0:
self.running = False
self.time_label.config(text="残り 0 秒")
messagebox.showinfo("結果",
f"終了!\n正解: {self.score} / {self.total}")
return
self.time_label.config(text=f"残り {remain} 秒")
self.root.after(500, self._tick)
if __name__ == "__main__":
root = tk.Tk()
app = App059(root)
root.mainloop()
5. コード解説
四則演算ドリルのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。
クラス設計とコンストラクタ
App059 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド8個・全173行)。__init__ ではタイトル「四則演算ドリル」とウィンドウサイズ 560x460 を設定します。あわせて状態を保持する変数(self.score・self.total・self.start_ts・self.time_limit)を初期化し、最後に _build_ui() で画面を組み立てます。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
ウィジェット構成
画面は tk.Frame×3・tk.Label×5・ttk.LabelFrame・ttk.Label×2・ttk.Combobox・ttk.Checkbutton(ループで生成)・ttk.Entry・ttk.Button×3 で構成しています。見出し付きの枠(LabelFrame)は「設定」のラベルでエリアを区切っています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
イベント処理とボタンの接続
「スタート」ボタン(start())・「回答」ボタン(_answer())・「次の問題」ボタン(next_question())を command= で接続しています。また bind("<Return>", ...) から _answer() を呼べるようにイベントも登録しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
after() による定期処理
_tick() の末尾で after(500, ...) を呼び、500ミリ秒後に自分自身の再実行を予約しています。tkinter では while ループで待つと画面が固まるため、この「予約の連鎖」で定期処理を作るのが定石です。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
例外処理
try-except で ValueError を捕捉しています。あわせて messagebox.showinfo() のダイアログで、ユーザーへの通知・確認を行います。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
6. ステップバイステップガイド
このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。
-
1ファイルを作成する
新しいファイルを作成して app059.py と保存します。使うのは
operator・random・time・tkinterだけなので、追加インストールは不要です。 -
2クラスの骨格を作る
App059クラスを定義し、__init__と、末尾のroot = tk.Tk()~mainloop()の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。 -
3ウィンドウを設定する
title("四則演算ドリル")・geometry("560x460")・configure(bg="#f8f9fc")をコンストラクタで設定します。 -
4画面部品を並べる
_build_ui()の中で、tk.Frame×3・tk.Label×5・ttk.LabelFrame・ttk.Label×2・ttk.Combobox・ttk.Checkbutton(ループで生成)・ttk.Entry・ttk.Button×3 を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。 -
5イベントを接続する
「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを
command=で対応するメソッド(start()・_answer()・next_question())につなぎます。bind("<Return>", ...)の登録も忘れずに。 -
6中心になるメソッドを実装する
アプリの本体である
next_question()(23行)・_tick()(13行)・_answer()(18行)・start()(11行) を実装します。定期処理はafter(500, ...)で自分自身を予約し続ける形にします。 -
7動作確認する
python app059.pyで起動し、各ボタンが反応すること・表示が自動で更新されること・キー操作(<Return>)が効くことを確認します。
7. カスタマイズアイデア
基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。
💡 ダークモードを追加する
bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。
💡 更新間隔を変えてみる
after(500, ...) の 500 が更新間隔(ミリ秒)です。大きくすると更新頻度が下がって CPU 負荷が軽くなり、小さくすると更新が細かくなります(表示の刻み幅より細かくしても見た目は変わりません)。数値を変えて違いを確かめてみましょう。
💡 設定ダイアログ
フォントサイズや色などの設定をユーザーが変更できるオプションダイアログを追加しましょう。
8. よくある問題と解決法
❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う
原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。
解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。
❌ 改造したら表示の更新が二重になった・速くなった
原因:_tick() は after(500, ...) で自分自身を予約し続ける構造です。予約を止めずにもう一度開始経路を通ると、予約の連鎖が2本になり、更新が倍速になります。
解決法:開始処理の前に動作中かどうかをフラグで判定してください。
❌ <Return> キーを押しても反応しない
原因:bind("<Return>", ...) はウィジェット単位で登録されるため、ウィンドウ(またはバインド先)にキーボードフォーカスが無いとイベントが届きません。
解決法:一度ウィンドウ内をクリックしてフォーカスを与えてから、キーを押してください。
❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない
原因:geometry("560x460") の固定サイズで起動するためです。
解決法:この数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。
9. 練習問題
アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。どちらの課題も新しいライブラリは要りません(設定の「制限時間モード(60秒)」にチェックを入れて確かめます)。
-
課題1:残り10秒を切ったら時間表示を赤くする
制限時間モードの残り時間は、いつも同じ色で表示されます。終わりが近いことが目で分かるように、残り10秒から色を変えましょう。
期待結果:「制限時間モード(60秒)」にチェックを入れてスタートする。「残り 11 秒」までは今までの色のままで、「残り 10 秒」に変わった時点から文字が赤くなる。
合格条件
- 残り11秒以上のあいだは赤くならない
- 残り10秒から0秒までは赤いままになる
- もう一度スタートすると、最初の「残り 60 秒」は赤くない
ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。
_tick()のself.time_label.config(text=f"残り {remain} 秒")です。remainは同じ_tick()の中で先に計算されています。
ヒント②(使うもの):color = "red" if remain <= 10 else "black"を作り、self.time_label.config(text=f"残り {remain} 秒", fg=color)のように色も一緒に渡します。self.time_labelはtk.Labelなのでfgの指定が可能です。
つまずきやすい点: 赤いときだけfg="red"を渡す書き方だと、いちど赤くした文字は次のゲームでも赤いままです。config()を呼ぶたびに、黒と赤のどちらかを必ず渡す形にしてください。なおstart()はtime_labelを空にしないので、制限時間モードのチェックを外して始めると、前回の「残り 0 秒」が消えずに残ります。 -
課題2:時間切れのあとに勝手に再スタートしないようにする
制限時間モードで時間切れになったあと「次の問題」を押すと、断りなく新しいゲームが始まってスコアが消えます。案内を出すだけにしましょう。
期待結果:時間切れで「正解 3 / 5」と出ている状態で「次の問題」を押すと、「先に『スタート』を押してください」と出る。スコア欄は「正解 3 / 5」のまま変わらない(いまは「正解 0 / 0」に戻って新しい問題が出る)。
合格条件
- 時間切れのあとに「次の問題」を押しても、スコア欄の数字が変わらない
- 起動直後に「次の問題」を押すと、案内だけが出て問題は出ない
- 「スタート」を押せば今までどおり最初から始まる
ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。
next_question()の先頭にあるif not self.running:の中のself.start()です。
ヒント②(使うもの):self.start()をmessagebox.showinfo("情報", "先に『スタート』を押してください")に置き換え、その下のreturnはそのまま残します。messageboxは冒頭のfrom tkinter import messagebox, ttkで読み込み済みです。
つまずきやすい点: 時間切れの直前に回答していると、_answer()が入れたself.root.after(700, self.next_question)の予約が時間切れのあとに動きます。直す前はこの予約だけで新しいゲームが始まるので、ボタンを押していないのにスコアが 0 に戻ります。直したあとは、結果ダイアログの後ろに案内が1回出ることがありますが、スコアは消えません。 -
課題3:保存機能の追加
処理結果をファイルに保存する機能を追加しましょう。
写経中に赤いエラー文が出たら、Pythonエラー一覧&解決法(英語メッセージ逆引き)で原因と直し方をすぐ確認できます。
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