初心者向け No.43

成績計算アプリ

科目別の点数を入力して平均・最高・最低点と評価を計算するアプリ。統計計算の実装を学びます。

🎯 難易度: ★☆☆ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) ⏱️ 制作時間: 30〜90分

1. アプリ概要

科目別の点数を入力して平均・最高・最低点と評価を計算するアプリ。統計計算の実装を学びます。

このアプリはツールカテゴリに分類される実践的なGUIアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ) で、難易度は ★☆☆ です。

このアプリは「ツール」カテゴリです。日々の作業を自動化する実用ツールは Python が最も得意とする領域です。短いコードで実用性のある成果物が作れる点が魅力です。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。

コピー&実行で動作確認 → コード解説で構造理解 → カスタマイズで応用、の 3 ステップで進めると、短時間で本質を押さえられます。

アプリを完成させた後は、自分の使い方に合わせて改造するのが学びを定着させる近道です。カスタマイズ章のアイデアを足がかりに、独自機能を一つ追加してみてください。

成績計算アプリ 実行画面(Windows)
実行画面(Windows)
成績計算アプリ 実行画面(Linux Mint)
実行画面(Linux Mint)

2. 機能一覧

  • 「追加」ボタン(add_subject())・「選択削除」ボタン(delete_subject())で操作
  • キー <Return> から add_subject() を実行
  • ttk.Treeview による表形式の一覧表示
  • messagebox.showerror()messagebox.showwarning() によるダイアログ通知
  • ウィンドウはタイトル「成績計算アプリ」・サイズ 500x580 で起動

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.10 以上
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app43.py
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, messagebox


class App43:
    """成績計算アプリ"""

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("成績計算アプリ")
        self.root.geometry("500x580")
        self.root.minsize(500, 580)
        self.root.configure(bg="#f8f9fc")
        self.subjects = []
        self._build_ui()

    def _build_ui(self):
        title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
        title_frame.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(title_frame, text="成績計算アプリ",
                 font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
                 bg="#3776ab", fg="white").pack()

        main_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=16, pady=12)
        main_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)

        # 科目追加
        add_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text="科目と点数を追加", padding=10)
        add_frame.pack(fill=tk.X, pady=(0, 10))

        tk.Label(add_frame, text="科目名:").grid(row=0, column=0, sticky="w")
        self.subject_entry = ttk.Entry(add_frame, width=14, font=("Noto Sans JP", 11))
        self.subject_entry.grid(row=0, column=1, padx=6, sticky="ew")

        tk.Label(add_frame, text="点数:").grid(row=0, column=2, sticky="w", padx=(8, 0))
        self.score_entry = ttk.Entry(add_frame, width=8, font=("Arial", 12))
        self.score_entry.grid(row=0, column=3, padx=6, sticky="w")
        self.score_entry.bind("<Return>", lambda e: self.add_subject())

        ttk.Button(add_frame, text="追加", command=self.add_subject).grid(row=0, column=4, padx=4)
        add_frame.columnconfigure(1, weight=1)

        # 一覧
        list_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text="科目一覧", padding=8)
        list_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True, pady=(0, 8))

        cols = ("科目", "点数", "評価")
        self.tree = ttk.Treeview(list_frame, columns=cols, show="headings", height=8)
        for col, w in zip(cols, [180, 80, 80]):
            self.tree.heading(col, text=col)
            self.tree.column(col, width=w, anchor="center")
        self.tree.pack(side=tk.LEFT, fill=tk.BOTH, expand=True)
        sb = ttk.Scrollbar(list_frame, command=self.tree.yview)
        self.tree.configure(yscrollcommand=sb.set)
        sb.pack(side=tk.RIGHT, fill=tk.Y)

        ttk.Button(main_frame, text="選択削除", command=self.delete_subject).pack(anchor="e")

        # 統計
        stats_frame = ttk.LabelFrame(main_frame, text="統計", padding=10)
        stats_frame.pack(fill=tk.X, pady=(8, 0))
        self.stats_labels = {}
        for col, (label, key) in enumerate([
            ("平均点", "avg"), ("最高点", "max"), ("最低点", "min"), ("科目数", "count")
        ]):
            box = tk.Frame(stats_frame, bg="white", relief=tk.SOLID, bd=1, padx=10, pady=6)
            box.pack(side=tk.LEFT, fill=tk.X, expand=True, padx=4)
            tk.Label(box, text=label, bg="white", fg="#888", font=("Noto Sans JP", 9)).pack()
            lbl = tk.Label(box, text="--", bg="white", fg="#3776ab",
                           font=("Noto Sans JP", 14, "bold"))
            lbl.pack()
            self.stats_labels[key] = lbl

        self.overall_label = tk.Label(main_frame, text="",
                                      bg="#f8f9fc", font=("Noto Sans JP", 12, "bold"))
        self.overall_label.pack(pady=(8, 0))

    def _grade(self, score):
        if score >= 90:
            return "A"
        elif score >= 80:
            return "B"
        elif score >= 70:
            return "C"
        elif score >= 60:
            return "D"
        else:
            return "F"

    def add_subject(self):
        subject = self.subject_entry.get().strip()
        score_str = self.score_entry.get().strip()
        if not subject or not score_str:
            messagebox.showwarning("警告", "科目名と点数を入力してください")
            return
        try:
            score = float(score_str)
        except ValueError:
            messagebox.showerror("エラー", "点数は数値で入力してください")
            return
        if not 0 <= score <= 100:
            messagebox.showerror("エラー", "点数は0〜100で入力してください")
            return
        self.subjects.append({"subject": subject, "score": score})
        self.subject_entry.delete(0, tk.END)
        self.score_entry.delete(0, tk.END)
        self._refresh()

    def _refresh(self):
        for item in self.tree.get_children():
            self.tree.delete(item)
        for s in self.subjects:
            grade = self._grade(s["score"])
            self.tree.insert("", tk.END, values=(s["subject"], f"{s['score']:.1f}", grade))

        if not self.subjects:
            for lbl in self.stats_labels.values():
                lbl.config(text="--")
            self.overall_label.config(text="")
            return

        scores = [s["score"] for s in self.subjects]
        avg = sum(scores) / len(scores)
        self.stats_labels["avg"].config(text=f"{avg:.1f}")
        self.stats_labels["max"].config(text=f"{max(scores):.1f}")
        self.stats_labels["min"].config(text=f"{min(scores):.1f}")
        self.stats_labels["count"].config(text=str(len(scores)))

        overall_grade = self._grade(avg)
        color = {"A": "#27ae60", "B": "#2ecc71", "C": "#f39c12", "D": "#e67e22", "F": "#e74c3c"}
        self.overall_label.config(
            text=f"総合評価: {overall_grade}(平均 {avg:.1f}点)",
            fg=color.get(overall_grade, "#333"))

    def delete_subject(self):
        sel = self.tree.selection()
        if not sel:
            return
        idx = self.tree.index(sel[0])
        self.subjects.pop(idx)
        self._refresh()


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App43(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

成績計算アプリのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App43 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド6個・全147行)。__init__ ではタイトル「成績計算アプリ」とウィンドウサイズ 500x580 を設定します。最後に _build_ui() で画面を組み立てます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×2(ほかにループでも生成)・tk.Label×4(ほかにループでも生成)・ttk.LabelFrame×3・ttk.Entry×2・ttk.Button×2・ttk.Treeviewttk.Scrollbar で構成しています。見出し付きの枠(LabelFrame)は「科目と点数を追加」「科目一覧」「統計」のラベルでエリアを区切っています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「追加」ボタン(add_subject())・「選択削除」ボタン(delete_subject())を command= で接続しています。また bind("<Return>", ...) から add_subject() を呼べるようにイベントも登録しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

例外処理

try-except で ValueError を捕捉しています。あわせて messagebox.showerror()messagebox.showwarning() のダイアログで、ユーザーへの通知・確認を行います。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app43.py と保存します。使うのは tkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App43 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk()mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("成績計算アプリ")geometry("500x580")configure(bg="#f8f9fc")minsize(500, 580) をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×2(ほかにループでも生成)・tk.Label×4(ほかにループでも生成)・ttk.LabelFrame×3・ttk.Entry×2・ttk.Button×2・ttk.Treeviewttk.Scrollbar を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(add_subject()delete_subject())につなぎます。bind("<Return>", ...) の登録も忘れずに。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である add_subject()(18行)・delete_subject()(7行)・_refresh()(25行) を実装します。

  7. 7
    動作確認する

    python app43.py で起動し、各ボタンが反応すること・キー操作(<Return>)が効くことを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。少しずつ機能を追加することで、Pythonのスキルが飛躍的に向上します。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 結果をファイルに保存する

このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。

💡 入力履歴機能

以前の入力値を覚えておいてComboboxのドロップダウンで再選択できる履歴機能を追加しましょう。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。

<Return> キーを押しても反応しない

原因:bind("<Return>", ...) はウィジェット単位で登録されるため、ウィンドウ(またはバインド先)にキーボードフォーカスが無いとイベントが届きません。

解決法:一度ウィンドウ内をクリックしてフォーカスを与えてから、キーを押してください。

❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない

原因:geometry("500x580") の固定サイズで起動するためです。

解決法:geometry()minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(500, 580) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。このアプリは入力した点数を平均・最高・最低で集計し、78〜88行の区切りで A〜F を割り当てるだけです。学力や進路を判断する機能はありません。練習には「数学80・英語95・国語60」のような仮の点数を使えます。入力した点数はファイルに残らず、ウィンドウを閉じると消えます。

  1. 課題1:同じ科目名を二重に登録できないようにする

    いまは同じ科目名を何度でも追加でき、その分だけ平均点も変わります(104行)。打ち間違いに気づけるよう、登録済みの名前は断りましょう。

    期待結果:数学80を追加したあと、もう一度「数学」で追加しようとすると警告が出て、一覧は1行のままになる

    合格条件

    • 登録済みの科目名では追加されず、統計(平均・最高・最低・科目数)も変わらない
    • 別の科目名なら今までどおり追加できる
    • 警告のあと、入力した文字が消えずに残る

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。add_subject()self.subjects.append(...)(104行)の手前です。
    ヒント②(使うもの): any(s["subject"] == subject for s in self.subjects) で登録済みかどうか調べられます。知らせ方は99行の messagebox.showerror が手本で、そのあと return で抜けます。
    つまずきやすい点: return を書かずに警告だけ出すと、そのまま104行が動いて二重に登録されます。入力欄を空にする105〜106行は append のあとなので、return で抜ければ打ち直す文字はそのまま残ります。科目名は91行で前後の空白が取り除かれるため、数学数学 は同じ名前として扱われます。

  2. 課題2:点数の高い順に並べ替える

    一覧は追加した順に並びます(112〜114行)。点数の高い順に並べ替えて、見比べやすくしましょう。

    期待結果:数学80・英語95・国語60 の順に追加すると、一覧は英語95.0 → 数学80.0 → 国語60.0 の順で表示される。統計は平均78.3・最高95.0・最低60.0・科目数3 のまま変わらない

    合格条件

    • 一覧が点数の高い順に並ぶ
    • 統計と総合評価の表示(131〜133行)が並べ替えの前後で変わらない
    • 「選択削除」で選んだ行の科目が正しく消える

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。_refresh() で一覧に入れ直す for s in self.subjects:(112行)の手前です。
    ヒント②(使うもの): self.subjects.sort(key=lambda s: s["score"], reverse=True) と書くと、リスト自体が点数の高い順に並びます。表示だけでなく中身も並ぶので、122〜127行の統計はそのままで正しい値になります。
    つまずきやすい点: 表示だけを並べ替えて self.subjects を元の順のままにすると、「選択削除」が別の科目を消します。delete_subject() は選んだ行の位置を self.tree.index(sel[0])(139行)で取り、その番号のまま self.subjects.pop(idx)(140行)を呼ぶためです。リスト自体を並べ替えれば、表示と中身の順番がそろってずれません。

  3. 課題3:保存機能の追加

    入力値や計算結果をファイルに保存する機能を追加しましょう。jsonやcsvモジュールを使います。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリにも挑戦してみましょう。

🐛
エラーが出て動かないときは

写経中に赤いエラー文が出たら、Pythonエラー一覧&解決法(英語メッセージ逆引き)で原因と直し方をすぐ確認できます。

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