時間割ビューアー
曜日×時限グリッドに授業を入力・表示する時間割アプリ。セルクリックで編集しJSONに保存する。
1. アプリ概要
曜日×時限グリッドに授業を入力・表示する時間割アプリ。セルクリックで編集しJSONに保存する。
このアプリはorganizersカテゴリの実践的なPythonアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ)、難易度は ★★☆ です。
このアプリは「整理ツール」カテゴリです。整理・分類系のツールはデータ構造とユーザー操作を結びつける書き方を学ぶ好機です。設計次第で書きやすさが大きく変わります。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。
完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。
カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。
2. 機能一覧
- 「保存」ボタン(
_save())・「クリア」ボタン(clear_all())で操作 - マウス操作
<Button-1>からedit_cell()を実行 - JSON ファイルの保存(「保存」ボタン)・読み込み(起動時に自動実行)
messagebox.askyesno()・messagebox.showerror()によるダイアログ通知- ウィンドウはタイトル「時間割ビューアー」・サイズ 680x485 で起動
3. 事前準備・環境
Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)
Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。
- Python 3.10 以上
- OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)
4. 完全なソースコード
右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, simpledialog, messagebox
import json
import os
class App082:
"""時間割ビューアー"""
DAYS = ("月", "火", "水", "木", "金")
PERIODS = 6
SAVE_FILE = "timetable.json"
def __init__(self, root):
self.root = root
self.root.title("時間割ビューアー")
self.root.geometry("680x485")
self.root.minsize(680, 485)
self.root.configure(bg="#f8f9fc")
# data[period][day] = subject
self.data = [["" for _ in self.DAYS] for _ in range(self.PERIODS)]
self._build_ui()
self._load()
self._refresh()
def _build_ui(self):
"""UIを構築する"""
title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=10)
title_frame.pack(fill=tk.X)
tk.Label(
title_frame, text="時間割ビューアー",
font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
bg="#3776ab", fg="white"
).pack()
main_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=20, pady=20)
main_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)
grid_frame = tk.Frame(main_frame, bg="#f8f9fc")
grid_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)
# ヘッダー
tk.Label(grid_frame, text="", width=8, bg="#dee2e6", relief=tk.RIDGE).grid(row=0, column=0, sticky="nsew")
for c, day in enumerate(self.DAYS):
tk.Label(grid_frame, text=day, bg="#dee2e6", relief=tk.RIDGE, font=("Noto Sans JP", 11, "bold")).grid(row=0, column=c + 1, sticky="nsew")
self.cell_labels = [] # [[label]]
for r in range(self.PERIODS):
tk.Label(grid_frame, text=f"{r+1}限", bg="#dee2e6", relief=tk.RIDGE, font=("Noto Sans JP", 11, "bold")).grid(row=r + 1, column=0, sticky="nsew")
row_labels = []
for c in range(len(self.DAYS)):
lab = tk.Label(grid_frame, text="", bg="white", relief=tk.RIDGE, font=("Noto Sans JP", 11), height=2)
lab.grid(row=r + 1, column=c + 1, sticky="nsew", padx=1, pady=1)
lab.bind("<Button-1>", lambda e, r=r, c=c: self.edit_cell(r, c))
row_labels.append(lab)
self.cell_labels.append(row_labels)
for c in range(len(self.DAYS) + 1):
grid_frame.columnconfigure(c, weight=1)
for r in range(self.PERIODS + 1):
grid_frame.rowconfigure(r, weight=1)
btn_frame = tk.Frame(main_frame, bg="#f8f9fc")
btn_frame.pack(pady=8)
ttk.Button(btn_frame, text="保存", command=self._save).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
ttk.Button(btn_frame, text="クリア", command=self.clear_all).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
tk.Label(main_frame, text="セルをクリックして授業名を入力してください。",
bg="#f8f9fc", fg="#666").pack(anchor="w")
def edit_cell(self, r, c):
"""セルをクリックで編集"""
cur = self.data[r][c]
val = simpledialog.askstring(
"授業入力", f"{r+1}限 {self.DAYS[c]}曜日の授業名:", initialvalue=cur
)
if val is None:
return
self.data[r][c] = val.strip()
self._save()
self._refresh()
def clear_all(self):
"""全セルクリア(要確認)"""
if not messagebox.askyesno("確認", "全セルをクリアしますか?"):
return
self.data = [["" for _ in self.DAYS] for _ in range(self.PERIODS)]
self._save()
self._refresh()
def _refresh(self):
"""表示を再描画"""
for r in range(self.PERIODS):
for c in range(len(self.DAYS)):
v = self.data[r][c]
self.cell_labels[r][c].config(text=v if v else "—", fg="#222" if v else "#bbb")
def _load(self):
"""JSON保存ファイルを読込"""
if os.path.exists(self.SAVE_FILE):
try:
with open(self.SAVE_FILE, "r", encoding="utf-8") as f:
d = json.load(f)
if isinstance(d, list) and len(d) == self.PERIODS:
self.data = [[(row[c] if c < len(row) else "") for c in range(len(self.DAYS))] for row in d]
except Exception:
pass
def _save(self):
"""JSONに保存"""
try:
with open(self.SAVE_FILE, "w", encoding="utf-8") as f:
json.dump(self.data, f, ensure_ascii=False, indent=2)
except Exception as e:
messagebox.showerror("エラー", f"保存失敗: {e}")
if __name__ == "__main__":
root = tk.Tk()
app = App082(root)
root.mainloop()
5. コード解説
時間割ビューアーのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。
クラス設計とコンストラクタ
App082 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド7個・全121行)。__init__ ではタイトル「時間割ビューアー」とウィンドウサイズ 680x485 を設定します。そのあと _build_ui() → _load() → _refresh() の順に呼び出して初期状態を作ります。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
ウィジェット構成
画面は tk.Frame×4・tk.Label×8(ほかにループでも生成)・ttk.Button×2 で構成しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
イベント処理とボタンの接続
「保存」ボタン(_save())・「クリア」ボタン(clear_all())を command= で接続しています。また bind("<Button-1>", ...) から edit_cell() を呼べるようにイベントも登録しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
JSON への保存と読み込み
保存は「保存」ボタンから _save() が呼ばれ、json.dump() でファイルへ書き出します。起動時は json.load() で読み戻します。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
クラス定数によるデータ定義
クラスの先頭でデータを定数として定義しています:DAYS = ('月', '火', '水', '木', '金')、PERIODS = 6。ロジックの中に直接書かず定数にまとめておくと、内容を変えたいときに1か所を書き換えるだけで済みます。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
例外処理
try-except で Exception を捕捉しています。あわせて messagebox.askyesno()・messagebox.showerror() のダイアログで、ユーザーへの通知・確認を行います。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
6. ステップバイステップガイド
このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。
-
1ファイルを作成する
新しいファイルを作成して app082.py と保存します。使うのは
json・os・tkinterだけなので、追加インストールは不要です。 -
2クラスの骨格を作る
App082クラスを定義し、__init__と、末尾のroot = tk.Tk()~mainloop()の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。 -
3ウィンドウを設定する
title("時間割ビューアー")・geometry("680x485")・configure(bg="#f8f9fc")・minsize(680, 485)をコンストラクタで設定します。 -
4画面部品を並べる
_build_ui()の中で、tk.Frame×4・tk.Label×8(ほかにループでも生成)・ttk.Button×2 を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。 -
5イベントを接続する
「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを
command=で対応するメソッド(_save()・clear_all())につなぎます。bind("<Button-1>", ...)の登録も忘れずに。 -
6中心になるメソッドを実装する
アプリの本体である
edit_cell()(11行)・clear_all()(7行)・_save()(7行) を実装します。 -
7動作確認する
python app082.pyで起動し、各ボタンが反応すること・マウス操作(クリック・ホイールなど)が効くことを確認します。
7. カスタマイズアイデア
基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。
💡 ダークモードを追加する
bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。
💡 クラス定数を書き換えて動きを変える
データはクラス定数(DAYS・PERIODS)にまとまっています。中身を書き換えて動きが変わることを確かめましょう。複数の定数が対応関係にある場合は、セットで整合させる必要がある点に注意してください。
💡 設定ダイアログ
フォントサイズや色などの設定をユーザーが変更できるオプションダイアログを追加しましょう。
8. よくある問題と解決法
❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う
原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。
解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。
❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない
原因:geometry("680x485") の固定サイズで起動するためです。
解決法:geometry() と minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(680, 485) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。
9. 練習問題
アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。セルに入れた授業名は timetable.json へ自動で保存されます(74〜81行)。先生や同級生の名前など、他人の個人情報は入れないでください。保存先は「起動したフォルダ」で、実行の仕方によって場所が変わります。この点は課題1で扱います。
-
課題1:保存先をスクリプトと同じフォルダに固定する
12行の
SAVE_FILEはファイル名だけの相対パスです。open()は起動したフォルダを基準に探します(100行・102行・112行)。別のフォルダへ移動してからフルパスで起動すると、前に入力した時間割が読み込まれません。空の表が出て、そこで保存すると新しいtimetable.jsonがそのフォルダに作られます。期待結果:どのフォルダから起動しても、
app082.pyと同じフォルダのtimetable.jsonを読み書きする合格条件
- 別のフォルダに移動してフルパスで起動しても、前に入力した授業名が表示される
- 「保存」(65行)と「クリア」(66行)も同じファイルに効く
- これまでに別の場所へ作られた
timetable.jsonは自動では移動しない(必要なら手で移す)
ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。12行の
SAVE_FILE = "timetable.json"だけです。クラス定数なので、100行・102行・112行の3か所が同時に新しい場所を見ます。
ヒント②(使うもの):os.path.dirname(os.path.abspath(__file__))で、このファイルが置かれたフォルダが取れます。os.path.join()でファイル名とつなぎます。osは4行目で読み込み済みです。
つまずきやすい点:os.getcwd()を使うと、今までと同じ「起動したフォルダ」のままなので直りません。12行はクラス本体なので、この計算はクラスを読み込むときに1回だけ動きます。そこにはまだselfがないため、self.SAVE_FILEとは書けません。 -
課題2:同じ曜日に同じ授業名が2つ入ったら知らせる
セルは入力された文字列をそのまま受け取ります(74〜79行)。同じ曜日の別の時限に「数学」を2回入れても、確認は何も出ません。入力ミスなのか本当に2コマあるのかは、表を見比べるまで分かりません。
期待結果:月曜1限に「数学」がある状態で月曜3限にも「数学」と入れると、「月曜日に「数学」が2つあります」と出る
合格条件
- 空欄のセルは、いくつあっても知らせが出ない
- 別の曜日に同じ授業名があるときは知らせない
- 知らせが出ても入力した授業名はセルに表示され、
timetable.jsonにも保存される
ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。
edit_cell()の79行で値を入れたあと、80行の_save()の前です。
ヒント②(使うもの):self.dataの並びはdata[時限][曜日]です(20〜21行)。同じ曜日は列cが同じなので、[i for i in range(self.PERIODS) if i != r and self.data[i][c] == self.data[r][c]]で他の時限を探せます。DAYS・PERIODSは10〜11行の定数です。
つまずきやすい点: 77〜78行より前へ置くと、ダイアログで「キャンセル」を押しただけで知らせが出ます。val.strip()の前の値で比べると、「数学 」と「数学」が別物に見えます。比べるのは79行のあとです。空のセルを数えないよう、if self.data[r][c]:を先に確かめてください。 -
課題3:新しいボタンを追加する
既存のボタンと同じ書き方で新しいボタンを1つ足し、押されたときに動くメソッドを自作してみましょう。ボタンの作成と
command=の接続がセットで身に付きます。
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