初心者向け No.082

時間割ビューアー

曜日×時限グリッドに授業を入力・表示する時間割アプリ。セルクリックで編集しJSONに保存する。

🎯 難易度: ★★☆ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) ⏱️ 制作時間: 30〜90分

1. アプリ概要

曜日×時限グリッドに授業を入力・表示する時間割アプリ。セルクリックで編集しJSONに保存する。

このアプリはorganizersカテゴリの実践的なPythonアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ)、難易度は ★★☆ です。

このアプリは「整理ツール」カテゴリです。整理・分類系のツールはデータ構造とユーザー操作を結びつける書き方を学ぶ好機です。設計次第で書きやすさが大きく変わります。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。

完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。

カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。

時間割ビューアー 実行画面(Windows)
実行画面(Windows)
時間割ビューアー 実行画面(Linux Mint)
実行画面(Linux Mint)

2. 機能一覧

  • 「保存」ボタン(_save())・「クリア」ボタン(clear_all())で操作
  • マウス操作 <Button-1> から edit_cell() を実行
  • JSON ファイルの保存(「保存」ボタン)・読み込み(起動時に自動実行)
  • messagebox.askyesno()messagebox.showerror() によるダイアログ通知
  • ウィンドウはタイトル「時間割ビューアー」・サイズ 680x485 で起動

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.10 以上
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app082.py
import tkinter as tk
from tkinter import ttk, simpledialog, messagebox
import json
import os


class App082:
    """時間割ビューアー"""

    DAYS = ("月", "火", "水", "木", "金")
    PERIODS = 6
    SAVE_FILE = "timetable.json"

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("時間割ビューアー")
        self.root.geometry("680x485")
        self.root.minsize(680, 485)
        self.root.configure(bg="#f8f9fc")
        # data[period][day] = subject
        self.data = [["" for _ in self.DAYS] for _ in range(self.PERIODS)]
        self._build_ui()
        self._load()
        self._refresh()

    def _build_ui(self):
        """UIを構築する"""
        title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=10)
        title_frame.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(
            title_frame, text="時間割ビューアー",
            font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
            bg="#3776ab", fg="white"
        ).pack()

        main_frame = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc", padx=20, pady=20)
        main_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)

        grid_frame = tk.Frame(main_frame, bg="#f8f9fc")
        grid_frame.pack(fill=tk.BOTH, expand=True)

        # ヘッダー
        tk.Label(grid_frame, text="", width=8, bg="#dee2e6", relief=tk.RIDGE).grid(row=0, column=0, sticky="nsew")
        for c, day in enumerate(self.DAYS):
            tk.Label(grid_frame, text=day, bg="#dee2e6", relief=tk.RIDGE, font=("Noto Sans JP", 11, "bold")).grid(row=0, column=c + 1, sticky="nsew")

        self.cell_labels = []  # [[label]]
        for r in range(self.PERIODS):
            tk.Label(grid_frame, text=f"{r+1}限", bg="#dee2e6", relief=tk.RIDGE, font=("Noto Sans JP", 11, "bold")).grid(row=r + 1, column=0, sticky="nsew")
            row_labels = []
            for c in range(len(self.DAYS)):
                lab = tk.Label(grid_frame, text="", bg="white", relief=tk.RIDGE, font=("Noto Sans JP", 11), height=2)
                lab.grid(row=r + 1, column=c + 1, sticky="nsew", padx=1, pady=1)
                lab.bind("<Button-1>", lambda e, r=r, c=c: self.edit_cell(r, c))
                row_labels.append(lab)
            self.cell_labels.append(row_labels)

        for c in range(len(self.DAYS) + 1):
            grid_frame.columnconfigure(c, weight=1)
        for r in range(self.PERIODS + 1):
            grid_frame.rowconfigure(r, weight=1)

        btn_frame = tk.Frame(main_frame, bg="#f8f9fc")
        btn_frame.pack(pady=8)
        ttk.Button(btn_frame, text="保存", command=self._save).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
        ttk.Button(btn_frame, text="クリア", command=self.clear_all).pack(side=tk.LEFT, padx=4)

        tk.Label(main_frame, text="セルをクリックして授業名を入力してください。",
                 bg="#f8f9fc", fg="#666").pack(anchor="w")

    def edit_cell(self, r, c):
        """セルをクリックで編集"""
        cur = self.data[r][c]
        val = simpledialog.askstring(
            "授業入力", f"{r+1}限 {self.DAYS[c]}曜日の授業名:", initialvalue=cur
        )
        if val is None:
            return
        self.data[r][c] = val.strip()
        self._save()
        self._refresh()

    def clear_all(self):
        """全セルクリア(要確認)"""
        if not messagebox.askyesno("確認", "全セルをクリアしますか?"):
            return
        self.data = [["" for _ in self.DAYS] for _ in range(self.PERIODS)]
        self._save()
        self._refresh()

    def _refresh(self):
        """表示を再描画"""
        for r in range(self.PERIODS):
            for c in range(len(self.DAYS)):
                v = self.data[r][c]
                self.cell_labels[r][c].config(text=v if v else "—", fg="#222" if v else "#bbb")

    def _load(self):
        """JSON保存ファイルを読込"""
        if os.path.exists(self.SAVE_FILE):
            try:
                with open(self.SAVE_FILE, "r", encoding="utf-8") as f:
                    d = json.load(f)
                if isinstance(d, list) and len(d) == self.PERIODS:
                    self.data = [[(row[c] if c < len(row) else "") for c in range(len(self.DAYS))] for row in d]
            except Exception:
                pass

    def _save(self):
        """JSONに保存"""
        try:
            with open(self.SAVE_FILE, "w", encoding="utf-8") as f:
                json.dump(self.data, f, ensure_ascii=False, indent=2)
        except Exception as e:
            messagebox.showerror("エラー", f"保存失敗: {e}")


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App082(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

時間割ビューアーのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App082 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド7個・全121行)。__init__ ではタイトル「時間割ビューアー」とウィンドウサイズ 680x485 を設定します。そのあと _build_ui()_load()_refresh() の順に呼び出して初期状態を作ります。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×4・tk.Label×8(ほかにループでも生成)・ttk.Button×2 で構成しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「保存」ボタン(_save())・「クリア」ボタン(clear_all())を command= で接続しています。また bind("<Button-1>", ...) から edit_cell() を呼べるようにイベントも登録しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

JSON への保存と読み込み

保存は「保存」ボタンから _save() が呼ばれ、json.dump() でファイルへ書き出します。起動時は json.load() で読み戻します。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

クラス定数によるデータ定義

クラスの先頭でデータを定数として定義しています:DAYS = ('月', '火', '水', '木', '金')PERIODS = 6。ロジックの中に直接書かず定数にまとめておくと、内容を変えたいときに1か所を書き換えるだけで済みます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

例外処理

try-except で Exception を捕捉しています。あわせて messagebox.askyesno()messagebox.showerror() のダイアログで、ユーザーへの通知・確認を行います。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app082.py と保存します。使うのは jsonostkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App082 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk()mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("時間割ビューアー")geometry("680x485")configure(bg="#f8f9fc")minsize(680, 485) をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×4・tk.Label×8(ほかにループでも生成)・ttk.Button×2 を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(_save()clear_all())につなぎます。bind("<Button-1>", ...) の登録も忘れずに。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である edit_cell()(11行)・clear_all()(7行)・_save()(7行) を実装します。

  7. 7
    動作確認する

    python app082.py で起動し、各ボタンが反応すること・マウス操作(クリック・ホイールなど)が効くことを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 クラス定数を書き換えて動きを変える

データはクラス定数(DAYSPERIODS)にまとまっています。中身を書き換えて動きが変わることを確かめましょう。複数の定数が対応関係にある場合は、セットで整合させる必要がある点に注意してください。

💡 設定ダイアログ

フォントサイズや色などの設定をユーザーが変更できるオプションダイアログを追加しましょう。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。

❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない

原因:geometry("680x485") の固定サイズで起動するためです。

解決法:geometry()minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(680, 485) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。セルに入れた授業名は timetable.json へ自動で保存されます(74〜81行)。先生や同級生の名前など、他人の個人情報は入れないでください。保存先は「起動したフォルダ」で、実行の仕方によって場所が変わります。この点は課題1で扱います。

  1. 課題1:保存先をスクリプトと同じフォルダに固定する

    12行の SAVE_FILE はファイル名だけの相対パスです。open() は起動したフォルダを基準に探します(100行・102行・112行)。別のフォルダへ移動してからフルパスで起動すると、前に入力した時間割が読み込まれません。空の表が出て、そこで保存すると新しい timetable.json がそのフォルダに作られます。

    期待結果:どのフォルダから起動しても、app082.py と同じフォルダの timetable.json を読み書きする

    合格条件

    • 別のフォルダに移動してフルパスで起動しても、前に入力した授業名が表示される
    • 「保存」(65行)と「クリア」(66行)も同じファイルに効く
    • これまでに別の場所へ作られた timetable.json は自動では移動しない(必要なら手で移す)

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。12行の SAVE_FILE = "timetable.json" だけです。クラス定数なので、100行・102行・112行の3か所が同時に新しい場所を見ます。
    ヒント②(使うもの): os.path.dirname(os.path.abspath(__file__)) で、このファイルが置かれたフォルダが取れます。os.path.join() でファイル名とつなぎます。os は4行目で読み込み済みです。
    つまずきやすい点: os.getcwd() を使うと、今までと同じ「起動したフォルダ」のままなので直りません。12行はクラス本体なので、この計算はクラスを読み込むときに1回だけ動きます。そこにはまだ self がないため、self.SAVE_FILE とは書けません。

  2. 課題2:同じ曜日に同じ授業名が2つ入ったら知らせる

    セルは入力された文字列をそのまま受け取ります(74〜79行)。同じ曜日の別の時限に「数学」を2回入れても、確認は何も出ません。入力ミスなのか本当に2コマあるのかは、表を見比べるまで分かりません。

    期待結果:月曜1限に「数学」がある状態で月曜3限にも「数学」と入れると、「月曜日に「数学」が2つあります」と出る

    合格条件

    • 空欄のセルは、いくつあっても知らせが出ない
    • 別の曜日に同じ授業名があるときは知らせない
    • 知らせが出ても入力した授業名はセルに表示され、timetable.json にも保存される

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは1か所です。edit_cell() の79行で値を入れたあと、80行の _save() の前です。
    ヒント②(使うもの): self.data の並びは data[時限][曜日] です(20〜21行)。同じ曜日は列 c が同じなので、[i for i in range(self.PERIODS) if i != r and self.data[i][c] == self.data[r][c]] で他の時限を探せます。DAYSPERIODS は10〜11行の定数です。
    つまずきやすい点: 77〜78行より前へ置くと、ダイアログで「キャンセル」を押しただけで知らせが出ます。val.strip() の前の値で比べると、「数学 」と「数学」が別物に見えます。比べるのは79行のあとです。空のセルを数えないよう、if self.data[r][c]: を先に確かめてください。

  3. 課題3:新しいボタンを追加する

    既存のボタンと同じ書き方で新しいボタンを1つ足し、押されたときに動くメソッドを自作してみましょう。ボタンの作成と command= の接続がセットで身に付きます。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリに挑戦しましょう。

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