ひらがな練習
ひらがなを表示してローマ字で入力する練習アプリ。制限時間付きで正解数・スピードを計測する。
1. アプリ概要
ひらがなを表示してローマ字で入力する練習アプリ。制限時間付きで正解数・スピードを計測する。
このアプリはtoolsカテゴリの実践的なPythonアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ)、難易度は ★★☆ です。
このアプリは「ツール」カテゴリです。日々の作業を自動化する実用ツールは Python が最も得意とする領域です。短いコードで実用性のある成果物が作れる点が魅力です。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。
完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。
カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。
2. 機能一覧
- 「スタート」ボタン(
start())・「判定」ボタン(_check())・「リセット」ボタン(reset())で操作 - キー
<Return>から_check()を実行 after(500, ...)による500ミリ秒間隔の_tick()呼び出し(画面の自動更新)messagebox.showinfo()によるダイアログ通知- ウィンドウはタイトル「ひらがな練習」・サイズ 640x460 で起動
3. 事前準備・環境
Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)
Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。
- Python 3.10 以上
- OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)
4. 完全なソースコード
右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。
import random
import time
import tkinter as tk
from tkinter import messagebox, ttk
# ひらがな → ローマ字 (主要なものを網羅)
HIRA_ROMA = {
"あ": "a", "い": "i", "う": "u", "え": "e", "お": "o",
"か": "ka", "き": "ki", "く": "ku", "け": "ke", "こ": "ko",
"さ": "sa", "し": "shi", "す": "su", "せ": "se", "そ": "so",
"た": "ta", "ち": "chi", "つ": "tsu", "て": "te", "と": "to",
"な": "na", "に": "ni", "ぬ": "nu", "ね": "ne", "の": "no",
"は": "ha", "ひ": "hi", "ふ": "fu", "へ": "he", "ほ": "ho",
"ま": "ma", "み": "mi", "む": "mu", "め": "me", "も": "mo",
"や": "ya", "ゆ": "yu", "よ": "yo",
"ら": "ra", "り": "ri", "る": "ru", "れ": "re", "ろ": "ro",
"わ": "wa", "を": "wo", "ん": "n",
"が": "ga", "ぎ": "gi", "ぐ": "gu", "げ": "ge", "ご": "go",
"ざ": "za", "じ": "ji", "ず": "zu", "ぜ": "ze", "ぞ": "zo",
"だ": "da", "ぢ": "ji", "づ": "zu", "で": "de", "ど": "do",
"ば": "ba", "び": "bi", "ぶ": "bu", "べ": "be", "ぼ": "bo",
"ぱ": "pa", "ぴ": "pi", "ぷ": "pu", "ぺ": "pe", "ぽ": "po",
}
class App086:
"""ひらがな練習"""
def __init__(self, root):
self.root = root
self.root.title("ひらがな練習")
self.root.geometry("640x460")
self.root.configure(bg="#f8f9fc")
self.time_limit = 60 # 秒
self.start_ts = None
self.current = None
self.correct = 0
self.miss = 0
self.running = False
self._build_ui()
def _build_ui(self):
"""UI を構築する"""
title = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
title.pack(fill=tk.X)
tk.Label(title, text="ひらがな練習", font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
bg="#3776ab", fg="white").pack()
info = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
info.pack(pady=10)
self.time_label = tk.Label(info, text=f"残り時間: {self.time_limit}秒",
font=("Noto Sans JP", 12), bg="#f8f9fc")
self.time_label.pack(side=tk.LEFT, padx=10)
self.score_label = tk.Label(info, text="正解: 0 ミス: 0",
font=("Noto Sans JP", 12), bg="#f8f9fc")
self.score_label.pack(side=tk.LEFT, padx=10)
self.q_label = tk.Label(self.root, text="開始ボタンを押してね",
font=("Noto Sans JP", 60, "bold"),
bg="white", fg="#3776ab", width=4, height=1,
relief=tk.GROOVE)
self.q_label.pack(pady=15)
self.entry = ttk.Entry(self.root, font=("Arial", 18), justify="center", width=12)
self.entry.pack(pady=5)
self.entry.bind("<Return>", lambda e: self._check())
btns = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
btns.pack(pady=10)
ttk.Button(btns, text="スタート", command=self.start).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
ttk.Button(btns, text="判定", command=self._check).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
ttk.Button(btns, text="リセット", command=self.reset).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
self.status = tk.Label(self.root, text="", bg="#f8f9fc", fg="#555")
self.status.pack()
def start(self):
"""ゲームを開始する"""
self.correct = 0
self.miss = 0
self.start_ts = time.time()
self.running = True
self.entry.delete(0, tk.END)
self.entry.focus_set()
self._next_question()
self._tick()
def reset(self):
"""状態をリセットする"""
self.running = False
self.start_ts = None
self.q_label.config(text="-")
self.entry.delete(0, tk.END)
self.time_label.config(text=f"残り時間: {self.time_limit}秒")
self.score_label.config(text="正解: 0 ミス: 0")
self.status.config(text="")
def _next_question(self):
"""新しい問題を出題する"""
self.current = random.choice(list(HIRA_ROMA.keys()))
self.q_label.config(text=self.current)
self.entry.delete(0, tk.END)
def _check(self):
"""入力されたローマ字を判定する"""
if not self.running or self.current is None:
return
ans = self.entry.get().strip().lower()
expected = HIRA_ROMA[self.current]
if ans == expected:
self.correct += 1
self.status.config(text=f"正解! ({self.current} = {expected})", fg="green")
self._next_question()
else:
self.miss += 1
self.status.config(text=f"ミス: 正解は {expected}", fg="red")
self.entry.delete(0, tk.END)
self.score_label.config(text=f"正解: {self.correct} ミス: {self.miss}")
def _tick(self):
"""1秒ごとにタイマー更新"""
if not self.running or self.start_ts is None:
return
elapsed = time.time() - self.start_ts
remain = self.time_limit - int(elapsed)
if remain <= 0:
self.running = False
self.time_label.config(text="残り時間: 0秒")
speed = self.correct / (self.time_limit / 60) # 文字/分
messagebox.showinfo("結果",
f"終了!\n正解: {self.correct} ミス: {self.miss}\n"
f"スピード: {speed:.1f} 文字/分")
return
self.time_label.config(text=f"残り時間: {remain}秒")
self.root.after(500, self._tick)
if __name__ == "__main__":
root = tk.Tk()
app = App086(root)
root.mainloop()
5. コード解説
ひらがな練習のコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。
クラス設計とコンストラクタ
App086 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド7個・全142行)。__init__ ではタイトル「ひらがな練習」とウィンドウサイズ 640x460 を設定します。あわせて状態を保持する変数(self.time_limit・self.start_ts・self.current・self.correct)を初期化し、最後に _build_ui() で画面を組み立てます。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
ウィジェット構成
画面は tk.Frame×3・tk.Label×5・ttk.Entry・ttk.Button×3 で構成しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
イベント処理とボタンの接続
「スタート」ボタン(start())・「判定」ボタン(_check())・「リセット」ボタン(reset())を command= で接続しています。また bind("<Return>", ...) から _check() を呼べるようにイベントも登録しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
after() による定期処理
_tick() の末尾で after(500, ...) を呼び、500ミリ秒後に自分自身の再実行を予約しています。tkinter では while ループで待つと画面が固まるため、この「予約の連鎖」で定期処理を作るのが定石です。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
6. ステップバイステップガイド
このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。
-
1ファイルを作成する
新しいファイルを作成して app086.py と保存します。使うのは
random・time・tkinterだけなので、追加インストールは不要です。 -
2クラスの骨格を作る
App086クラスを定義し、__init__と、末尾のroot = tk.Tk()~mainloop()の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。 -
3ウィンドウを設定する
title("ひらがな練習")・geometry("640x460")・configure(bg="#f8f9fc")をコンストラクタで設定します。 -
4画面部品を並べる
_build_ui()の中で、tk.Frame×3・tk.Label×5・ttk.Entry・ttk.Button×3 を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。 -
5イベントを接続する
「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを
command=で対応するメソッド(start()・_check()・reset())につなぎます。bind("<Return>", ...)の登録も忘れずに。 -
6中心になるメソッドを実装する
アプリの本体である
_tick()(16行)・_check()(15行)・start()(10行)・reset()(9行) を実装します。定期処理はafter(500, ...)で自分自身を予約し続ける形にします。 -
7動作確認する
python app086.pyで起動し、各ボタンが反応すること・表示が自動で更新されること・キー操作(<Return>)が効くことを確認します。
7. カスタマイズアイデア
基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。
💡 ダークモードを追加する
bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。
💡 更新間隔を変えてみる
after(500, ...) の 500 が更新間隔(ミリ秒)です。大きくすると更新頻度が下がって CPU 負荷が軽くなり、小さくすると更新が細かくなります(表示の刻み幅より細かくしても見た目は変わりません)。数値を変えて違いを確かめてみましょう。
💡 設定ダイアログ
フォントサイズや色などの設定をユーザーが変更できるオプションダイアログを追加しましょう。
8. よくある問題と解決法
❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う
原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。
解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。
❌ 改造したら表示の更新が二重になった・速くなった
原因:_tick() は after(500, ...) で自分自身を予約し続ける構造です。予約を止めずにもう一度開始経路を通ると、予約の連鎖が2本になり、更新が倍速になります。
解決法:開始処理の前に動作中かどうかをフラグで判定してください。
❌ <Return> キーを押しても反応しない
原因:bind("<Return>", ...) はウィジェット単位で登録されるため、ウィンドウ(またはバインド先)にキーボードフォーカスが無いとイベントが届きません。
解決法:一度ウィンドウ内をクリックしてフォーカスを与えてから、キーを押してください。
❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない
原因:geometry("640x460") の固定サイズで起動するためです。
解決法:この数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。
9. 練習問題
アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。
-
課題1:ローマ字の別の書き方も正解にする
いまの判定は
HIRA_ROMAに登録された1通りだけを正解にしています。「し」はshiのみ正解で、siと打つとミスになります。よく使われる別の書き方も受け付けましょう。期待結果:「し」の問題で
siと打つと、いまは「ミス: 正解は shi」と出る。別表記を足すと正解になり、正解数が1増えて次の問題へ進む。合格条件
- 「し」で
siと打っても正解になる - 「し」で
shiと打った場合も今までどおり正解 - 「か」で
siと打てば、いままでどおりミスになる
ヒント①(どこを触るか): 触るのは2か所です。モジュール先頭の
HIRA_ROMAの下に別表記の辞書を1つ足し、_check()のif ans == expected:を書き換えます。_next_question()は触りません。
ヒント②(使うもの):ALT_ROMA = {"し": ["si"], "つ": ["tu"], "ち": ["ti"], "ふ": ["hu"]}のような辞書を作り、判定をif ans == expected or ans in ALT_ROMA.get(self.current, []):に変えます。正解表示はexpectedを使うので、代表の書き方が出たままになります。
つまずきやすい点:HIRA_ROMAの値そのものを書き換えると、出題の答えと画面の表示が同時に変わります。なお「じ」と「ぢ」はどちらもji、「ず」と「づ」はどちらもzuで登録されているため、入力だけではこの2組を区別できません。 - 「し」で
-
課題2:残り時間が10秒を切ったら色で知らせる
残り時間はいま文字だけの表示で、終わりが近いことに気づきにくい作りです。
_tick()はもともと0.5秒ごとに呼ばれているので、そこで文字色も切り替えましょう。期待結果:スタートから50秒たつと「残り時間: 10秒」の表示が赤くなる。もう一度スタートを押せば残り60秒から始まるため、色は元に戻る。
合格条件
- 残り10秒以下で文字が赤くなる
- 開始直後(残り60秒)は赤くならない
- 一度赤くなったあと、スタートを押し直すと色が戻る
ヒント①(どこを触るか): 触るのは
_tick()の末尾にあるself.time_label.config(...)の1か所です。after(500, self._tick)の行はそのままにします。reset()にも同じラベルを書き戻す行がありますが、次のスタートで_tick()が色を上書きするので触らなくても動きます。
ヒント②(使うもの):config()に色の指定を足すだけです。self.time_label.config(text=f"残り時間: {remain}秒", fg="red" if remain <= 10 else "black")の形にします。remainは、その少し上で計算済みの残り秒数です。
つまずきやすい点: 赤にする指定だけを書くと、一度赤くなったラベルは次のゲームでも赤いままになります。fgは指定したときだけ変わるので、戻す色も必ず書いてください。残り0秒のときは手前のifでreturnするため、この行は通りません。 -
課題3:保存機能の追加
処理結果をファイルに保存する機能を追加しましょう。
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