初心者向け No.086

ひらがな練習

ひらがなを表示してローマ字で入力する練習アプリ。制限時間付きで正解数・スピードを計測する。

🎯 難易度: ★★☆ 📦 ライブラリ: tkinter(標準ライブラリ) ⏱️ 制作時間: 30〜90分

1. アプリ概要

ひらがなを表示してローマ字で入力する練習アプリ。制限時間付きで正解数・スピードを計測する。

このアプリはtoolsカテゴリの実践的なPythonアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ)、難易度は ★★☆ です。

このアプリは「ツール」カテゴリです。日々の作業を自動化する実用ツールは Python が最も得意とする領域です。短いコードで実用性のある成果物が作れる点が魅力です。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。

完成形を見てから細部の解説に進む流れが効果的です。実行→気になる箇所を解説で確認→自分の手で改造、というサイクルで定着が早まります。

カスタマイズ章では具体的な拡張アイデアを示しています。一つ実装するごとに動作確認することで、変更が予期せぬ副作用を起こさないかも体感できます。

ひらがな練習 実行画面(Windows)
実行画面(Windows)
ひらがな練習 実行画面(Linux Mint)
実行画面(Linux Mint)

2. 機能一覧

  • 「スタート」ボタン(start())・「判定」ボタン(_check())・「リセット」ボタン(reset())で操作
  • キー <Return> から _check() を実行
  • after(500, ...) による500ミリ秒間隔の _tick() 呼び出し(画面の自動更新)
  • messagebox.showinfo() によるダイアログ通知
  • ウィンドウはタイトル「ひらがな練習」・サイズ 640x460 で起動

3. 事前準備・環境

ℹ️
動作確認環境

Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)

Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。

  • Python 3.10 以上
  • OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)

4. 完全なソースコード

💡
コードのコピー方法

右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。

追加インストール不要(標準ライブラリのみ使用)
app086.py
import random
import time
import tkinter as tk
from tkinter import messagebox, ttk


# ひらがな → ローマ字 (主要なものを網羅)
HIRA_ROMA = {
    "あ": "a", "い": "i", "う": "u", "え": "e", "お": "o",
    "か": "ka", "き": "ki", "く": "ku", "け": "ke", "こ": "ko",
    "さ": "sa", "し": "shi", "す": "su", "せ": "se", "そ": "so",
    "た": "ta", "ち": "chi", "つ": "tsu", "て": "te", "と": "to",
    "な": "na", "に": "ni", "ぬ": "nu", "ね": "ne", "の": "no",
    "は": "ha", "ひ": "hi", "ふ": "fu", "へ": "he", "ほ": "ho",
    "ま": "ma", "み": "mi", "む": "mu", "め": "me", "も": "mo",
    "や": "ya", "ゆ": "yu", "よ": "yo",
    "ら": "ra", "り": "ri", "る": "ru", "れ": "re", "ろ": "ro",
    "わ": "wa", "を": "wo", "ん": "n",
    "が": "ga", "ぎ": "gi", "ぐ": "gu", "げ": "ge", "ご": "go",
    "ざ": "za", "じ": "ji", "ず": "zu", "ぜ": "ze", "ぞ": "zo",
    "だ": "da", "ぢ": "ji", "づ": "zu", "で": "de", "ど": "do",
    "ば": "ba", "び": "bi", "ぶ": "bu", "べ": "be", "ぼ": "bo",
    "ぱ": "pa", "ぴ": "pi", "ぷ": "pu", "ぺ": "pe", "ぽ": "po",
}


class App086:
    """ひらがな練習"""

    def __init__(self, root):
        self.root = root
        self.root.title("ひらがな練習")
        self.root.geometry("640x460")
        self.root.configure(bg="#f8f9fc")
        self.time_limit = 60  # 秒
        self.start_ts = None
        self.current = None
        self.correct = 0
        self.miss = 0
        self.running = False
        self._build_ui()

    def _build_ui(self):
        """UI を構築する"""
        title = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
        title.pack(fill=tk.X)
        tk.Label(title, text="ひらがな練習", font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
                 bg="#3776ab", fg="white").pack()

        info = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
        info.pack(pady=10)
        self.time_label = tk.Label(info, text=f"残り時間: {self.time_limit}秒",
                                   font=("Noto Sans JP", 12), bg="#f8f9fc")
        self.time_label.pack(side=tk.LEFT, padx=10)
        self.score_label = tk.Label(info, text="正解: 0  ミス: 0",
                                    font=("Noto Sans JP", 12), bg="#f8f9fc")
        self.score_label.pack(side=tk.LEFT, padx=10)

        self.q_label = tk.Label(self.root, text="開始ボタンを押してね",
                                font=("Noto Sans JP", 60, "bold"),
                                bg="white", fg="#3776ab", width=4, height=1,
                                relief=tk.GROOVE)
        self.q_label.pack(pady=15)

        self.entry = ttk.Entry(self.root, font=("Arial", 18), justify="center", width=12)
        self.entry.pack(pady=5)
        self.entry.bind("<Return>", lambda e: self._check())

        btns = tk.Frame(self.root, bg="#f8f9fc")
        btns.pack(pady=10)
        ttk.Button(btns, text="スタート", command=self.start).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
        ttk.Button(btns, text="判定", command=self._check).pack(side=tk.LEFT, padx=4)
        ttk.Button(btns, text="リセット", command=self.reset).pack(side=tk.LEFT, padx=4)

        self.status = tk.Label(self.root, text="", bg="#f8f9fc", fg="#555")
        self.status.pack()

    def start(self):
        """ゲームを開始する"""
        self.correct = 0
        self.miss = 0
        self.start_ts = time.time()
        self.running = True
        self.entry.delete(0, tk.END)
        self.entry.focus_set()
        self._next_question()
        self._tick()

    def reset(self):
        """状態をリセットする"""
        self.running = False
        self.start_ts = None
        self.q_label.config(text="-")
        self.entry.delete(0, tk.END)
        self.time_label.config(text=f"残り時間: {self.time_limit}秒")
        self.score_label.config(text="正解: 0  ミス: 0")
        self.status.config(text="")

    def _next_question(self):
        """新しい問題を出題する"""
        self.current = random.choice(list(HIRA_ROMA.keys()))
        self.q_label.config(text=self.current)
        self.entry.delete(0, tk.END)

    def _check(self):
        """入力されたローマ字を判定する"""
        if not self.running or self.current is None:
            return
        ans = self.entry.get().strip().lower()
        expected = HIRA_ROMA[self.current]
        if ans == expected:
            self.correct += 1
            self.status.config(text=f"正解! ({self.current} = {expected})", fg="green")
            self._next_question()
        else:
            self.miss += 1
            self.status.config(text=f"ミス: 正解は {expected}", fg="red")
            self.entry.delete(0, tk.END)
        self.score_label.config(text=f"正解: {self.correct}  ミス: {self.miss}")

    def _tick(self):
        """1秒ごとにタイマー更新"""
        if not self.running or self.start_ts is None:
            return
        elapsed = time.time() - self.start_ts
        remain = self.time_limit - int(elapsed)
        if remain <= 0:
            self.running = False
            self.time_label.config(text="残り時間: 0秒")
            speed = self.correct / (self.time_limit / 60)  # 文字/分
            messagebox.showinfo("結果",
                                f"終了!\n正解: {self.correct}  ミス: {self.miss}\n"
                                f"スピード: {speed:.1f} 文字/分")
            return
        self.time_label.config(text=f"残り時間: {remain}秒")
        self.root.after(500, self._tick)


if __name__ == "__main__":
    root = tk.Tk()
    app = App086(root)
    root.mainloop()

5. コード解説

ひらがな練習のコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。

クラス設計とコンストラクタ

App086 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド7個・全142行)。__init__ ではタイトル「ひらがな練習」とウィンドウサイズ 640x460 を設定します。あわせて状態を保持する変数(self.time_limitself.start_tsself.currentself.correct)を初期化し、最後に _build_ui() で画面を組み立てます。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

ウィジェット構成

画面は tk.Frame×3・tk.Label×5・ttk.Entryttk.Button×3 で構成しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

イベント処理とボタンの接続

「スタート」ボタン(start())・「判定」ボタン(_check())・「リセット」ボタン(reset())を command= で接続しています。また bind("<Return>", ...) から _check() を呼べるようにイベントも登録しています。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

after() による定期処理

_tick() の末尾で after(500, ...) を呼び、500ミリ秒後に自分自身の再実行を予約しています。tkinter では while ループで待つと画面が固まるため、この「予約の連鎖」で定期処理を作るのが定石です。

※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。

6. ステップバイステップガイド

このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。

  1. 1
    ファイルを作成する

    新しいファイルを作成して app086.py と保存します。使うのは randomtimetkinter だけなので、追加インストールは不要です。

  2. 2
    クラスの骨格を作る

    App086 クラスを定義し、__init__ と、末尾の root = tk.Tk()mainloop() の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。

  3. 3
    ウィンドウを設定する

    title("ひらがな練習")geometry("640x460")configure(bg="#f8f9fc") をコンストラクタで設定します。

  4. 4
    画面部品を並べる

    _build_ui() の中で、tk.Frame×3・tk.Label×5・ttk.Entryttk.Button×3 を作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。

  5. 5
    イベントを接続する

    「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを command= で対応するメソッド(start()_check()reset())につなぎます。bind("<Return>", ...) の登録も忘れずに。

  6. 6
    中心になるメソッドを実装する

    アプリの本体である _tick()(16行)・_check()(15行)・start()(10行)・reset()(9行) を実装します。定期処理は after(500, ...) で自分自身を予約し続ける形にします。

  7. 7
    動作確認する

    python app086.py で起動し、各ボタンが反応すること・表示が自動で更新されること・キー操作(<Return>)が効くことを確認します。

7. カスタマイズアイデア

基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。

💡 ダークモードを追加する

bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。

💡 更新間隔を変えてみる

after(500, ...) の 500 が更新間隔(ミリ秒)です。大きくすると更新頻度が下がって CPU 負荷が軽くなり、小さくすると更新が細かくなります(表示の刻み幅より細かくしても見た目は変わりません)。数値を変えて違いを確かめてみましょう。

💡 設定ダイアログ

フォントサイズや色などの設定をユーザーが変更できるオプションダイアログを追加しましょう。

8. よくある問題と解決法

❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う

原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。

解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。

❌ 改造したら表示の更新が二重になった・速くなった

原因:_tick()after(500, ...) で自分自身を予約し続ける構造です。予約を止めずにもう一度開始経路を通ると、予約の連鎖が2本になり、更新が倍速になります。

解決法:開始処理の前に動作中かどうかをフラグで判定してください。

<Return> キーを押しても反応しない

原因:bind("<Return>", ...) はウィジェット単位で登録されるため、ウィンドウ(またはバインド先)にキーボードフォーカスが無いとイベントが届きません。

解決法:一度ウィンドウ内をクリックしてフォーカスを与えてから、キーを押してください。

❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない

原因:geometry("640x460") の固定サイズで起動するためです。

解決法:この数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。

9. 練習問題

アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。

  1. 課題1:ローマ字の別の書き方も正解にする

    いまの判定は HIRA_ROMA に登録された1通りだけを正解にしています。「し」は shi のみ正解で、si と打つとミスになります。よく使われる別の書き方も受け付けましょう。

    期待結果:「し」の問題で si と打つと、いまは「ミス: 正解は shi」と出る。別表記を足すと正解になり、正解数が1増えて次の問題へ進む。

    合格条件

    • 「し」で si と打っても正解になる
    • 「し」で shi と打った場合も今までどおり正解
    • 「か」で si と打てば、いままでどおりミスになる

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは2か所です。モジュール先頭の HIRA_ROMA の下に別表記の辞書を1つ足し、_check()if ans == expected: を書き換えます。_next_question() は触りません。
    ヒント②(使うもの): ALT_ROMA = {"し": ["si"], "つ": ["tu"], "ち": ["ti"], "ふ": ["hu"]} のような辞書を作り、判定を if ans == expected or ans in ALT_ROMA.get(self.current, []): に変えます。正解表示は expected を使うので、代表の書き方が出たままになります。
    つまずきやすい点: HIRA_ROMA の値そのものを書き換えると、出題の答えと画面の表示が同時に変わります。なお「じ」と「ぢ」はどちらも ji、「ず」と「づ」はどちらも zu で登録されているため、入力だけではこの2組を区別できません。

  2. 課題2:残り時間が10秒を切ったら色で知らせる

    残り時間はいま文字だけの表示で、終わりが近いことに気づきにくい作りです。_tick() はもともと0.5秒ごとに呼ばれているので、そこで文字色も切り替えましょう。

    期待結果:スタートから50秒たつと「残り時間: 10秒」の表示が赤くなる。もう一度スタートを押せば残り60秒から始まるため、色は元に戻る。

    合格条件

    • 残り10秒以下で文字が赤くなる
    • 開始直後(残り60秒)は赤くならない
    • 一度赤くなったあと、スタートを押し直すと色が戻る

    ヒント①(どこを触るか): 触るのは _tick() の末尾にある self.time_label.config(...) の1か所です。after(500, self._tick) の行はそのままにします。reset() にも同じラベルを書き戻す行がありますが、次のスタートで _tick() が色を上書きするので触らなくても動きます。
    ヒント②(使うもの): config() に色の指定を足すだけです。self.time_label.config(text=f"残り時間: {remain}秒", fg="red" if remain <= 10 else "black") の形にします。remain は、その少し上で計算済みの残り秒数です。
    つまずきやすい点: 赤にする指定だけを書くと、一度赤くなったラベルは次のゲームでも赤いままになります。fg は指定したときだけ変わるので、戻す色も必ず書いてください。残り0秒のときは手前の ifreturn するため、この行は通りません。

  3. 課題3:保存機能の追加

    処理結果をファイルに保存する機能を追加しましょう。

🚀
次に挑戦するアプリ

このアプリをマスターしたら、次のアプリに挑戦しましょう。

🐛
エラーが出て動かないときは

写経中に赤いエラー文が出たら、Pythonエラー一覧&解決法(英語メッセージ逆引き)で原因と直し方をすぐ確認できます。

📖
独学を1冊で体系化するなら

写経しながら「なぜこう書くのか」が気になり始めたら、入門書を1冊通して読むと断片的な知識がつながります。Python入門書のおすすめ2冊(当サイトの参考書ランキング総合1〜2位)で、独学者向けの最初の1冊を比較しています。