グラデーションメーカー
2色を指定してCanvas上にグラデーションを描画するアプリ。色の補間計算とCanvas操作を学べる。
1. アプリ概要
2色を指定してCanvas上にグラデーションを描画するアプリ。色の補間計算とCanvas操作を学べる。
このアプリはbasicsカテゴリの実践的なPythonアプリです。使用ライブラリは tkinter(標準ライブラリ)、難易度は ★★☆ です。
このアプリは「入門」カテゴリです。ウィンドウ・ウィジェット・イベントの基本構造を反復することで、後から複雑なアプリを作るときの骨格が身につきます。tkinter(標準ライブラリ) を活かして実装するこの構造は、他のアプリにも応用が効きます。
動かしながら読むことが理解の最短経路です。まずはコードをコピーして実行し、想定どおりに動くことを確認したうえで解説と照らし合わせてください。
カスタマイズでは「機能追加」「UI 改善」「エラー耐性」の三方向で考えると視野が広がります。練習問題にもそれぞれの方向の具体例を用意しています。
2. 機能一覧
- 「 」ボタン(
_pick())・「 」ボタン(_pick())・「描画」ボタン(draw())で操作 messagebox.showerror()によるダイアログ通知- ウィンドウはタイトル「グラデーションメーカー」・サイズ 700x561 で起動
3. 事前準備・環境
Python 3.10 以上 / Windows 11(実機)で起動・基本操作を確認 / Linux Mint 22.3(仮想マシン)で起動・画面表示を確認(macOS は未検証)
Windows 11(実機)で起動と基本操作を確認しています(全機能の網羅テストではありません)。Linux Mint 22.3(仮想マシン)では起動と画面表示を確認しました。macOS は標準ライブラリの範囲で動作する想定ですが、未検証です。
- Python 3.10 以上
- OS: Windows 11(実機で起動・基本操作を確認)・Linux Mint 22.3(仮想マシンで起動・画面表示を確認)
4. 完全なソースコード
右上の「コピー」ボタンをクリックするとコードをクリップボードにコピーできます。
import tkinter as tk
from tkinter import colorchooser, messagebox, ttk
def hex_to_rgb(h: str):
"""16進カラー(#rrggbb)を (r,g,b) タプルに変換する"""
h = h.lstrip("#")
if len(h) != 6:
raise ValueError(f"不正なカラー: {h}")
return int(h[0:2], 16), int(h[2:4], 16), int(h[4:6], 16)
def rgb_to_hex(rgb) -> str:
"""(r,g,b) を #rrggbb 文字列に変換する"""
return "#{:02x}{:02x}{:02x}".format(*[max(0, min(255, int(v))) for v in rgb])
class App084:
"""グラデーションメーカー"""
def __init__(self, root):
self.root = root
self.root.title("グラデーションメーカー")
self.root.geometry("700x561")
self.root.minsize(700, 561)
self.root.configure(bg="#f8f9fc")
self.color1 = "#3776ab"
self.color2 = "#ffd43b"
self._build_ui()
self.draw()
def _build_ui(self):
"""UI を構築する"""
title_frame = tk.Frame(self.root, bg="#3776ab", pady=12)
title_frame.pack(fill=tk.X)
tk.Label(
title_frame, text="グラデーションメーカー",
font=("Noto Sans JP", 16, "bold"),
bg="#3776ab", fg="white"
).pack()
ctrl = ttk.LabelFrame(self.root, text="操作パネル", padding=10)
ctrl.pack(fill=tk.X, padx=20, pady=10)
ttk.Label(ctrl, text="色1:").grid(row=0, column=0, padx=4, pady=4)
self.btn1 = tk.Button(ctrl, text=" ", bg=self.color1, width=6,
command=lambda: self._pick(1))
self.btn1.grid(row=0, column=1, padx=4)
ttk.Label(ctrl, text="色2:").grid(row=0, column=2, padx=4)
self.btn2 = tk.Button(ctrl, text=" ", bg=self.color2, width=6,
command=lambda: self._pick(2))
self.btn2.grid(row=0, column=3, padx=4)
ttk.Label(ctrl, text="方向:").grid(row=0, column=4, padx=8)
self.dir_var = tk.StringVar(value="横")
ttk.Combobox(ctrl, textvariable=self.dir_var, values=["横", "縦"],
state="readonly", width=6).grid(row=0, column=5, padx=4)
ttk.Label(ctrl, text="ステップ:").grid(row=0, column=6, padx=8)
self.step_var = tk.IntVar(value=200)
ttk.Spinbox(ctrl, from_=10, to=400, textvariable=self.step_var, width=6).grid(row=0, column=7)
ttk.Button(ctrl, text="描画", command=self.draw).grid(row=0, column=8, padx=8)
self.canvas = tk.Canvas(self.root, width=640, height=360, bg="white",
highlightthickness=1, highlightbackground="#ccc")
self.canvas.pack(padx=20, pady=10)
self.status = tk.Label(self.root, text="", bg="#f8f9fc", fg="#555")
self.status.pack()
def _pick(self, idx: int):
"""カラーピッカーで色を選択する"""
initial = self.color1 if idx == 1 else self.color2
_rgb, hexv = colorchooser.askcolor(color=initial, title="色を選択")
if hexv is None:
return
if idx == 1:
self.color1 = hexv
self.btn1.configure(bg=hexv)
else:
self.color2 = hexv
self.btn2.configure(bg=hexv)
def draw(self):
"""グラデーションを Canvas に描画する"""
try:
r1, g1, b1 = hex_to_rgb(self.color1)
r2, g2, b2 = hex_to_rgb(self.color2)
steps = max(2, int(self.step_var.get()))
except (ValueError, tk.TclError) as e:
messagebox.showerror("エラー", f"入力が不正です: {e}")
return
self.canvas.delete("all")
w = int(self.canvas["width"])
h = int(self.canvas["height"])
direction = self.dir_var.get()
for i in range(steps):
t = i / (steps - 1)
color = rgb_to_hex((r1 + (r2 - r1) * t,
g1 + (g2 - g1) * t,
b1 + (b2 - b1) * t))
if direction == "横":
x0 = int(w * i / steps)
x1 = int(w * (i + 1) / steps) + 1
self.canvas.create_rectangle(x0, 0, x1, h, outline="", fill=color)
else:
y0 = int(h * i / steps)
y1 = int(h * (i + 1) / steps) + 1
self.canvas.create_rectangle(0, y0, w, y1, outline="", fill=color)
self.status.config(text=f"{self.color1} → {self.color2} ({direction}, {steps} ステップ)")
if __name__ == "__main__":
root = tk.Tk()
app = App084(root)
root.mainloop()
5. コード解説
グラデーションメーカーのコードを、実際に書かれている実装に沿って解説します。
クラス設計とコンストラクタ
App084 クラスにアプリの全機能をまとめています(メソッド4個・全118行)。__init__ ではタイトル「グラデーションメーカー」とウィンドウサイズ 700x561 を設定します。あわせて状態を保持する変数(self.color1・self.color2)を初期化し、そのあと _build_ui() → draw() の順に呼び出して初期状態を作ります。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
ウィジェット構成
画面は tk.Frame・tk.Label×2・ttk.LabelFrame・ttk.Label×4・tk.Button×2・ttk.Combobox・ttk.Spinbox・ttk.Button・tk.Canvas で構成しています。見出し付きの枠(LabelFrame)は「操作パネル」のラベルでエリアを区切っています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
イベント処理とボタンの接続
「 」ボタン(_pick())・「 」ボタン(_pick())・「描画」ボタン(draw())を command= で接続しています。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
例外処理
try-except で ValueError・tk.TclError を捕捉しています。あわせて messagebox.showerror() のダイアログで、ユーザーへの通知・確認を行います。
※ 該当部分のコード本体は 「4. 完全なソースコード」 をご参照ください(重複表示を避けるため再掲を省略しています)。
6. ステップバイステップガイド
このアプリをゼロから自分で作る手順を解説します。コードをコピーするだけでなく、実際に手順を追って自分で書いてみましょう。
-
1ファイルを作成する
新しいファイルを作成して app084.py と保存します。使うのは
tkinterだけなので、追加インストールは不要です。 -
2クラスの骨格を作る
App084クラスを定義し、__init__と、末尾のroot = tk.Tk()~mainloop()の最小構成を書いて、まず空のウィンドウが出ることを確認します。 -
3ウィンドウを設定する
title("グラデーションメーカー")・geometry("700x561")・configure(bg="#f8f9fc")・minsize(700, 561)をコンストラクタで設定します。 -
4画面部品を並べる
_build_ui()の中で、tk.Frame・tk.Label×2・ttk.LabelFrame・ttk.Label×4・tk.Button×2・ttk.Combobox・ttk.Spinbox・ttk.Button・tk.Canvasを作って配置します(掲載コードと同じ並び順で書くとレイアウトが一致します)。まず表示だけ確認しましょう。 -
5イベントを接続する
「2. 機能一覧」で挙げた各ボタンを
command=で対応するメソッド(_pick()・_pick()・draw())につなぎます。 -
6中心になるメソッドを実装する
アプリの本体である
draw()(30行)・_pick()(12行) を実装します。 -
7動作確認する
python app084.pyで起動し、各ボタンが反応することを確認します。
7. カスタマイズアイデア
基本機能を習得したら、以下のカスタマイズに挑戦してみましょう。
💡 ダークモードを追加する
bg色・fg色を辞書で管理し、ボタン1つでダークモード・ライトモードを切り替えられるようにしましょう。
💡 結果をファイルに保存する
このコードに保存処理はないため、表示中の数値や結果はアプリを閉じると消えます。テキストファイルへ書き出して、次回起動時に読み込む機能を追加してみましょう。
💡 設定ダイアログ
フォントサイズや色などの設定をユーザーが変更できるオプションダイアログを追加しましょう。
8. よくある問題と解決法
❌ 文字のフォントが崩れる・見た目が違う
原因:このコードは font=("Noto Sans JP", ...) のようにフォント名を直接指定しています。環境にこのフォントが入っていないと、OS が代わりのフォントで表示するため、見本と見た目が変わることがあります。
解決法:動作には支障ありません。気になる場合は font 引数の名前を自分の OS に入っているフォントへ書き換えるか、font 引数を省略してください。
❌ ウィンドウの大きさが画面に合わない
原因:geometry("700x561") の固定サイズで起動するためです。
解決法:geometry() と minsize() の両方の数値を書き換えて起動サイズを調整してください。なお、このコードにはウィンドウサイズを固定する設定(resizable の指定)が無いため、ウィンドウの端をドラッグしたサイズ変更は既定どおり可能です。ただし minsize(700, 561) を指定しているため、起動時の大きさより小さくは縮められません(縮めると画面部品が表示されなくなるのを防ぐためです)。
9. 練習問題
アプリの理解を深めるための練習問題です。気になるものから挑戦してみてください(課題3は定型の発展課題です)。描き直しが起きるのは「描画」ボタンを押したときだけ(61行)なので、どちらの課題も設定を変えたあとに押して確かめます。
-
課題1:色コードを直接入力できるようにする
いまは色ボタン(46〜52行)からカラーピッカーで選ぶ方法しかありません。
#e74c3cのような色コードを打ち込んでも使えるようにしましょう。期待結果:入力欄に
#e74c3cと入れて「描画」を押すと赤から色2へのグラデーションになり、112行のステータスの表示も#e74c3cから始まる合格条件
- 打ち込んだ色コードが色1として使われる
#zzzzzzのような使えない値では90行のエラーダイアログが出る- エラーのときは前に描いたグラデーションが残る
ヒント①(どこを触るか): 触るのは2か所です。操作パネル(42〜59行)に入力欄を足す部分と、
draw()の先頭(85行のtry:の手前)です。
ヒント②(使うもの): 入力欄はttk.Entry(ctrl, textvariable=self.hex1_var)をgridで並べます(45〜59行が手本です)。読み取った文字をself.color1に入れてからtry:に進めば、86行のhex_to_rgb()が形を確かめ、使えない値は89〜90行のダイアログにつながります。
つまずきやすい点: 入力された色をボタンの見た目にも反映したくなりますが、self.btn1.configure(bg=...)に使えない文字列を渡すとその場でエラーになります。89行のexceptが拾うのは86〜88行だけだからです。ボタンに反映するのはhex_to_rgb()を通ったあとにします。なお#を付け忘れても7〜10行は6文字かどうかだけを見るため、e74c3cはそのまま読めます。 -
課題2:色1と色2を入れ替えるボタンを足す
向きを逆にしたいだけでも、2色を選び直す必要があります。1回で入れ替えられるボタンを足しましょう。
期待結果:「入れ替え」を押してから「描画」を押すと、左右(方向が縦なら上下)の色が反対のグラデーションになる
合格条件
self.color1とself.color2の両方が入れ替わる- 2つの色ボタン(46〜52行)の見た目も入れ替わる
- 方向(横・縦)とステップ数は変わらない
ヒント①(どこを触るか): 触るのは2か所です。操作パネルにボタンを足す部分(61行の「描画」ボタンの隣)と、入れ替えを行う新しいメソッドです。
ヒント②(使うもの): 値の入れ替えはself.color1, self.color2 = self.color2, self.color1の1行で書けます。ボタンの見た目は_pick()の78行・81行と同じconfigure(bg=...)で合わせます。
つまずきやすい点: 値を入れ替えただけでは、46行・50行のbg=で決めた見た目が残ります。112行のステータスもdraw()の最後でしか書き換わらないので、押した直後に表示までそろえたいならdraw()を呼びます。 -
課題3:保存機能の追加
処理結果をファイルに保存する機能を追加しましょう。
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